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近未来予測車両-JR東日本サハE230形500番台- [鉄道評論]



※動画はイメージです。


JR東日本は2008年6月3日(火曜日)、山手線にホームゲート(可動式ホーム柵)を2010年度に恵比寿と目黒に先行設置することを発表した。但し、全駅の設置完了には時間がかかる模様である。

山手線は平成4年(1992年)3月18・19日(水・木曜日)、目黒に試験設置されている。

設置場所は外回りホームの最後部で、東京急行電鉄目蒲線乗り換え階段付近(現在は目蒲線時代に地下化され、路線名も目黒線に改称されている)。2種類3台が用意され、作動のタイミング、利用客の流動状況、警報装置の効果などを確認したが、実用化されなかった。当時は言わずと知れた205系を使用していたが、車両面で折り合いがつかなかったのだろう(ATO運転の機器が搭載できないとか)。

P1310167.JPG

現在はE231系500番台に統一されており、デジタルATCを搭載し、2007年3月18日(日曜日)のダイヤ改正で使用開始。205系時代と同様、6M5Tの11両編成で運行している。

山手線のホームゲート設置は決定したが、衝撃的なのは6ドア車が消えることである。混雑緩和の切札として投入され、E231系500番台では205系時代の10号車のほか、7号車にも連結して、パワーアップをはかったが、京浜東北線で209系の置き換えを進めているE233系1000番台は6ドア車を用意しておらず、オール4ドアとなっている。どうやら、E233系1000番台の投入決定の段階で、山手線ホームゲートの論議を進めていたのかもしれない。

209系とE231系・E233系シリーズは中間車のドアの配置箇所はグリーン車を除き、共通しているが、先頭車は異なっている。これは衝撃吸収構造により、乗務員室を広くとっているためで、ロングシートは6人掛けで窓のサイズもちょっと小さくなっているところもあるのだ。また、E231系・E233系近郊形タイプの1号車は車椅子対応の大型トイレを設置しているが、付近のドアの位置は左右異なっている。

P1310168.JPG

京浜東北線209系を早急に置き換えている背景には、いつまでも走らせていると山手線にホームゲートが設置できないこともあるのだろう。また、209系500番台以外、6号車に6ドア車を連結している。つまり、10両編成の京浜東北線と11両編成の山手線とは6ドア車の連結位置も異なるのだ。更にホームゲートの幅は200センチで、車両のドア幅は130センチだから、70センチの差がある。この差は大きく、6ドア車だと200センチのホームゲートをつけることができないのだ。

御存知の方も多いと思うが、山手線と京浜東北線は田端-田町間は“路線別複々線”になっており、秋になると日中時間帯に保線工事を行なうため、どちらかの線路を共用している。205系・209系シリーズと6ドア車は“ホームゲートの敵”だったのだ。  

7・10号車を4ドア車に変更するのはまだ先で、恵比寿、目黒に先行設置するのは1~6号車、8・9・11号車の部分。すべての7・10号車が4ドア車になった暁には晴れて設置になる。  

6ドア車をなくすことによる疑問はたった1つ。それはサハE231形500番台を大量増備して、サハE230形500番台を廃車にするのか、他線で運行しているサハE231形を差し替えるのかだ。  

E231系500番台は2002年に入団しており、7年目のシーズンを迎えている。すでに“若手”から脱しており、首都圏ではE233系シリーズに生産を移行している。そうなると、E231系通勤形タイプのサハE231形とトレードするのがいいように思われる。しかし、ドア上の情報案内装置はLCDではなく、LEDで、総武線用に投入されたものは1段表示なのに対し、常磐線用は2段表示なのだ。ちなみにE231系近郊形タイプは増備途中から、ドア上のLEDは2段表示に変わっているものの、グリーン車を投入した関係で、編成の一部は転用された初期車(情報案内装置はLED1段表示)を新規車両にはさみ込んでいることもある。  

E231系500番台のLCDが利用客に浸透しているだろうから、“LEDの山手線”に違和感を持つ利用客は少なくないだろう。こうなると改造して差し替えるほうが好ましいのかもしれない。  

一方、総武線用は6ドア車を5号車に連結しているが、これを2両化することになるものの、どこに連結するのかも課題。常磐線用は6ドア車を連結されておらず、ラッシュの混雑緩和の切札になるのだろうが、グリーン車を連結したE531系も走るため、乗車位置に混乱をきたす恐れもある。また、15両運転時の付属編成は基本編成より、乗車率が高いほうではないため、そこに連結しても乗降時間短縮の効果が薄いものと思われる。よって、基本編成に2両連結したほうがいいだろう。  

山手線のホームゲート設置には多くの課題があり、ホームの構造を改良しなければならない駅が多いこと、なにがあってもオーバーランが許されないので、E231系500番台に定位置停止装置(運転士のブレーキ操作をサポート)をつけなければならないこと。また、多額の費用がかかり、ホームゲート設置、ホームの改良工事、車両設備の改良に総額550億円もかかる難題がある(工事の総額は変わる可能性もある)  

余談だが、京浜東北線にホームゲートが設置できない大きな理由として、東神奈川-横浜間は横浜線205系や臨時特急〈はまかいじ号〉も乗り入れることである。また、東神奈川のホームは外側が京浜東北線、内側は横浜線になっているが、近辺に鎌倉車両センター東神奈川派出所が存在しているため、横浜線もデジタルATC化及び定位置停止装置の設置、臨時特急〈はまかいじ号〉の運行を終了しないことには永久にないと言っていいだろう。

★備考

①JR東日本ホームページは
こちらにクリック!!(プレスリリース参照)

②山手線の正式な区間は品川-新宿-田端間で、田端-東京間は東北本線、東京-品川間は東海道本線を走っている。また、京浜東北線は大宮-田端-東京間は東北本線、東京-横浜間の東海道本線を走っている。

③「総武線」は総武本線千葉-御茶ノ水間及び、中央本線御茶ノ水-代々木間と新宿-三鷹間、山手線代々木-新宿間の各駅停車をさす。車両の方向LEDでは「中央・総武線」と表示しているものの、総武線は“千葉-三鷹間、タイガースカラーの電車”をさすのが一般的である。よって、「中央・総武線」は利用客に浸透されていないし、違和感がある。

④参考文献として、鉄道ジャーナル社刊行、『鉄道ジャーナル1992年6月号』1992年6月号と2007年6月号を参照。

⑤イメージ動画はこちらにクリック!!

⑥岸田法眼のRailway Blog.「JR東日本E231系500番台入団!!」は
こちらにクリック!!



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む〜さん

ホームドアの設置に付き詳しく解説頂き有難う御座いました。単一形式車輌の走る線区でないと難しい事も、保安設備その他、もろもろの因子が絡まって、難しいということも、良く判りました。
by む〜さん (2008-06-07 08:42) 

鉄道美術館館長♪

E231系500番台の6扉車の動向が気になりますね!
私の考えだと、他線で活躍中のE231系には6扉車は連結されずに、最悪の場合は廃車・解体になると思います!
何故かと申しますと、もしLCD案内表示機の車両とLED案内表示機の車両が連結できるなら、東海道線に投入されたE233系3000番台で採用されていた筈で、私も当初は東海道線E233系もLCD案内表示機になるのでは?…と思っていましたが、E231系従来車と将来的に連結を行なう関係上、2段LEDが採用されたと聞きます!
岸田法眼様の記事上でも出ております他線への転属ですが、総武線は1段LEDと機器が異なる為に難しく、常磐線は総武線と同じ理由とグリーン車やドア位置が多数混在してしまう為に難しく、各駅停車に関しては地下鉄線の車両限界OVER、京浜東北線はホームドアの関係で不可、中央線は車両設備と運行形態上で困難、京葉線は連接台車の上、現在運行から離脱する等の状況も考え困難、私鉄の相模鉄道も総武線と同じく1段LED、東急も常磐線各駅停車と同じく車両限界OVER…、個人的に色々と引き受け先を考えてみましたが、やはり難しいですね…(汗
by 鉄道美術館館長♪ (2008-06-07 08:52) 

岸田法眼

む〜さん、どうもありがとうございます。

ホームドアやホームゲートは、車両規格が統一していないとつけることはできません。新幹線は安全柵で対応する駅もありますが、500系のように先頭車の乗務員室寄りにドアがない車両もあれば、在来線に直通する“ミニ新幹線”もあります。

新幹線通過駅にホームゲートはありますが、新神戸の場合、6・8両編成でも、すべての乗車口に開閉するため、構造を改良しないといけないでしょう。

プレスリリースを見る限り、山手線ホームゲートの設置完了は2020年前後までかかりそうですね。
by 岸田法眼 (2008-06-07 11:02) 

岸田法眼

鉄道美術館館長♪、どうもありがとうございます。

E231系500番台は20年以上の使用を想定しているようですね。

6ドア車の転用先はない可能性もありますが、なんせ私は田舎者特有といえる“もったいない症候群”ですから、廃車は避けたいと考えるのです。

他社のホームゲートはどうなのかは知りませんが、JR東日本は一部の戸袋部に緊急脱出口を設けるというので、6ドア車を続投させても問題ないのではと思っておりました。“開かずのドア”となる2か所に「非常口」のステッカーを貼ればいいと思ったのですが、4ドア車とはドアの配置が異なるのです。

これは東京メトロ03系の5ドア車はホームの乗車口に混乱をきたさないよう、既存の3ドア車の乗車位置を崩していないことが頭にあったからですが、本文にしていたら、とんでもない間違いを犯すところでした。
by 岸田法眼 (2008-06-07 11:20) 

うたに

当時目黒駅を利用していたのですが、試験設置されていたのを覚えてます。すぐになくなってしまったので「やっぱり時期尚早だったんだな」なんて思ってました。
サハE230-500、どうするんでしょうね。。
by うたに (2008-06-07 18:11) 

岸田法眼

うたにさん、どうもありがとうございます。

試験設置されたホームゲートですが、この当時はホームドアは新交通システムや営団地下鉄南北線に存在していたぐらいなんですよね。この当時は技術的な問題もあったと思います。

山手線6ドア車ですが、できることなら廃車は避けて欲しいと思います。まさかE231系近郊形タイプと差し替えるような展開になる可能性もあるかもしれませんが、あれで高崎-小田原間を走るのはムリがあり過ぎるでしょうね(E231系シリーズは「一般形電車」と称されております)。
by 岸田法眼 (2008-06-07 18:49) 

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