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第8回みんな集まれ! ふれあい鉄道フェスティバル [汽車旅2008番外編]

◆注目のE655系  

2008年11月22日(土曜日)10時26分、JR東日本東北本線尾久へ。この日は尾久車両センターで、『第8回みんな集まれ! ふれあい鉄道フェスティバル』を開催されており、駅前は長蛇の列で、整列入場という方式。2007年の第7回に初めて行ったが、当時は雨が強く、午後に乗り込んだこともあってか、客足は少なかったが、今回の第8回は“天晴れ(Appare)秋晴れ”となった。  

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タイムカプセル平成ロード(尾久駅地下通路)を通り、意外と待たされずに済み、10時30分過ぎには入ることができた。ちょうどディーゼル機関車に引っ張られ、寝台特急〈北斗星〉の客車が入ってきた。方向幕は生ビールの「サッポロ」じゃなくて、漢字の「札幌」を表示。ちなみに札幌市交通局南北線の駅名に「さっぽろ」がある。

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Fゾーンでは架線作業用のトラック、『マジックボーイ』にはイエローヘルメットをかぶった作業員と子供たちが天高く、親御さんを見守っているのかなぁー?(普通は逆だけど) 小さい子供にとって、親は大きな存在。おそらく、マジックボーイに乗って、“偉大な人”の小さい姿を見たのは初めてではないだろうか。

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Cゾーンへ行き、お目当ての展示車両、E655系へ。2008年11月12日(水曜日)、ついにE655系の目玉である特別車両(天皇陛下、皇后陛下、皇族、国賓の公務や行事で御利用になるための車両)、E655-1(付随車)が初めて運行された。天皇陛下、皇后陛下、スペインの国王と王妃を乗せ、“お召列車”として、上野-土浦間の片道運行をしたのである。復路は首都圏新都市鉄道のTX-2000系増備車が用意され、つくば-南千住間を運行。日本の歴史に大きな1ページが刻み込まれたのである。  

E655系は尾久車両センターの所属だが、特別車両のみ東京総合車両センターの配置となっており、通常は5両編成での運行である。また、事前の情報通り、特別車両を抜いた通常編成での展示となった。  

E655系はハイグレード車両と位置づけ、5両すべて、グリーン車の構成となっているが、今のところ、ジョイフルトレインの位置づけをされており、『和(Nagomi)』という愛称を持つ。果たして、特急形電車としての量産車が姿を現すことはあるのだろうか?(全車グリーン車ということはないだろう)  

大柄の車体にはダークブラウンの塗装を施しており、JR東日本の最新ジョイフルトレイン、『みのり』を彷彿させるが、E655系の場合、ムラサキっぽい色に見える。私鉄だと阪急電鉄の車両も天候や時間帯によってはマルーンの車体の色調が異なる。また、E655系はピカピカの車体であるせいか、鏡のように映る場合もある。デジカメだとホワイトバランスが標準装備されている機種が多いので、変えてみるとダークブラウン軽快さや重厚さを生み出すのではないかと思う。さらに車体には金色の帯を3本巻いており、ハイグレード感を高めている。

 

電車なのにE655系の1号車はディーゼルエンジンの音がするので、おかしいなと思ったら、パンタグラフがあがっていないことに気づいた。小屋の中で展示しているのも電車に装備されたディーゼルエンジンの音を聴かせるためなのか?  

E655系の特長は非電化区間の乗り入れが可能なことで、蒸気機関車が牽引したら、注目を集めそうだが、ディーゼル機関車の連結が可能である。そのため、連結器はJR東日本の在来線特急車とは異なったものを採用している。  

かつて、JR九州では全線非電化時代の豊肥本線にエル特急〈有明〉が乗り入れていたことがあった。ディーゼル機関車のほか、国鉄の貨物列車に使われていた車掌車を電源車に改造し、非電化区間でも照明や冷暖房が作動できるようになっていた。JR東日本でも何度か電車の非電化区間直通運転を実施している。

E655系の非電化区間運用時、発電用のディーゼルエンジンは1号車の床下に装備されており、燃料タンク、ラジエータ、注水口、蓄電池箱、エンジン、発電機がある。ちなみにエンジンと発電機は2台あり、常用と予備に分けている。

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車体側面の行先表示はフルカラーLEDを採用しており、号車とグリーン車のマークが表示できるようになっているが、サイズが小さいのが難点。もっとも、JR東日本の方向LEDはサイズがちっちゃいのだが…  

ほかに外幌はステンレス車と同じグレーを使っているが、どうやら標準色と見ていいようだ。そして、ドアを開けてデッキを公開し、まるでJR九州の特急車と錯覚しそうだ。  

機会があればハイグレードをウリとするE655系に乗ってみたいが、団体運用ではなく、臨時特急で乗ってみたい。ハイグレードをウリにするならば、夜行列車のほうがよさそうな気がする。

◆車体ジャッキアップ実演  

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小屋の中では寝台特急〈北斗星〉のヘッドマークを掲げた金帯の24系をモデルに車体ジャッキアップ実演を行なわれる。時刻は実演開始時刻の11時が近づこうとしているので急ごう。


 

すでにギャラリーの列はおり、後方からでしか見られないが、ジャッキアップは意外と静かな音で、気がついたら上がっていた。“世紀の瞬間”を撮ろうとデジカメを天高く上げて、適当にシャッターを切る。中には幼い我が子を肩車させて、撮影を任せるお父さんがいた。そのほうがより高い位置で撮影できるわけだから。

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そんなに高く上がるわけではないが、そのあと、退散するギャラリーがいて、前へ進むことができた。すると、車両の手前には台車が1台ポツンと展示。触れることも可能で、ギャラリーは興味津々。普段、台車と車体は一心同体の姿しか見ない人が多いわけだから。

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そのあと、ヘッドマークがまわり、まずは臨時寝台特急〈エルム〉が登場。2段式B寝台のみで上野-札幌間を運行していたが、北海道新幹線の工事が本格化していることもあり、走ることはもうないのかもしれない。
 
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次は臨時寝台特急〈夢空間わくら〉で、JR西日本七尾線和倉温泉まで運行し、しばらくすると、臨時寝台特急〈夢空間北東北〉に変化。『夢空間』はジョイフルトレインではないが、3両しか新製されず、営業運転時はブルートレイン客車も連結されていた。

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ヘッドマークは一旦、寝台特急〈北斗星〉に戻ったあと、臨時寝台特急〈北斗星トマムスキー〉へ。これは横浜-トマム間で運行され、スキー客向けの列車だった。“〈北斗星〉派生シリーズ”はこのほか、寝台特急〈北斗星1号〉札幌行きを小樽へ延長運転した臨時寝台特急〈北斗星小樽号〉、ニセコ経由で上野-札幌間で運行された臨時寝台特急〈北斗星ニセコスキー〉、上野-新得間の臨時寝台特急〈北斗星トマムサホロ〉もあるが、〈北斗星宇宙号〉はなんだろう?(いくら調べても、その列車名で運転された実績がないのだ)

余談だが、JR北海道管内だと運行の臨時寝台特急〈北斗星まりも〉〈北斗星利尻〉がある。

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そのあとは寝台特急〈出羽〉が登場。上野-秋田間を運行していたブルートレインだったが、利用客の減少により、平成5年(1993年)12月3日(土曜日)で消えた。これは夜行列車削減の本格化に火をつけたのだ。  

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次に登場したのは『夢空間』で、団体列車としての運行もあり、このようなヘッドマークが作られた。

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最後は寝台特急〈北陸〉〈あけぼの〉で締めくくった。特に寝台特急〈北陸〉は14系の運行だから、貴重なショットと言える。  

引き上げようとするところで、フリーライターの吉田一紀さん、裏辺研究所の裏辺金好所長、デューク所員と合流。実は8時過ぎに吉田さんからメールがあり、急きょ行くことになったという知らせを受けた。私は最初から行くことは決めていたが、土休は昼まで寝ていることが多いため、朝早く起きられる自信がなかった。この日、3時近くに就寝したというのに、意外と早く起きることができた。それでも8時40分過ぎで、メールの着信音で起きたわけではない。

「岸田さん、駅弁どうですか?」  

と吉田さんは冷やかす。時刻は11時15分を過ぎたところで、Cゾーンの弁当販売に目を向ける。私は駅弁を好んで食べるほうではないし、昼食にしては時間が早過ぎる。  

3人は短時間でほとんどまわったそうで、別件のため、尾久車両センターを去った。会っていた時間は15分もなかったように思う。

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尾久車両センターの事務所玄関ではヘッドマークを展示。第7回とはすべて違ったものを展示した。


◆現役から退いた車両も展示  

Dゾーンでは車両の展示が行なわれている。架線のないところで電車が撮影できるというのは画期的なように思う。  

今回の車両展示でビックリしたのは現役から退いた車両を展示していたことで、それも2車種ある。

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まずは2008年3月9日(日曜日)で現役から退いたジョイフルトレイン、『ゆとり』で、中間車は外されており、すでにこの世から姿を消しているのかもしれないが、1・6号車は残されていた。元々、この車両は国鉄時代の昭和58年(1983年)に欧風客車、『サロンエクスプレス東京』に改造され、ジョイフルトレインの先駆車で、昭和59年(1984年)に鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した。車体の塗装を見ると、E655系と阪急電鉄の車両っぽい。

しかし、平成9年(1997年)、お座敷客車に再改造され、1両減車の6両編成にして『ゆとり』に改称された。個人的には『サロンエクスプレス東京』のままでいて欲しかったが、これはJR東日本のジョイフルトレインの稼働率は欧風車両よりもお座敷車両のほうが高いからである。そのため、『リゾートエクスプレスゆう』はお座敷車両、『シルフィード』は“洋風お座敷”と言えるカーペット車に再改造のうえ、『NO・DO・KA』に改称された。

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Dゾーンを一旦、離脱して、子供駅長撮影会場へ。高速試験車両、E954形、『FASTECH360』のパネルをバックに撮影する。小さい子供は白いジャケットを着用して記念撮影に挑む。制服は幼児向けに作られており、これならば1日駅長の幼児起用もありえる。

Dゾーンに戻り、EF60形の『ゆとり』のヘッドマークをつけたものを撮影しようとするが、4人家族のうち、男の子の1人が手を汚したらしく、母は電気機関車の前でふくものの、汚れはなかなか落ちないらしい。しかし、後方には撮影隊の姿があり、待っている状態だが、時間がかかり過ぎ、いつしか“空気が読めない一家”という目で見る人が多くなる。

「早くどけよ!!」  

と私の隣りにいた男性がマジギレ[むかっ(怒り)]。親御さんは撮影隊をチラッとにらむような目つきで、ようやく移動。これは親御さんが場所を選ばなかったのがいけない。撮影に支障のない場所を見つけて、子供の手をふいてあげるべきではなかったのではないだろうか。  

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ようやくEF60形を撮影し、ウラには寝台特急〈彗星〉のヘッドマークを掲げていた。まさかJR東日本エリアで寝台特急〈彗星〉のヘッドマークを見ることができるとは思ってもみなかったが、記憶がよみがえってくる。個人的に寝台特急〈彗星〉は寝台特急〈なは〉もそうだが、583系のイメージが強く、ブルートレインのほうはしっくりこなかった。

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次にDD51形で、寝台特急〈はくつる〉を掲示。この列車も583系のイメージが強く、ブルートレインは違和感があった。また、583系が「ブルートレイン」と呼ばれなかったのも不思議だった。

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そのウラは寝台特急〈あけぼの〉で、かつては山形新幹線工事(福島-山形間の標準軌化)で陸羽東線を経由していたことがあり、小牛田-新庄間はディーゼル機関車を牽引していたが、DD51形ではなく、DE10形の重連だった。でも、寝台特急〈あけぼの〉がディーゼル機関車で牽引していた時代があったことをなつかしく感じる。

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お次はジョイフルトレイン、『宴』で485系シリーズを改造したもの。お座敷車両で、車体側面にロゴマークがあるが、JR東日本は漢字1字のジョイフルトレインがほかにもあるので、けっこうお好きなようだ。

世界の国旗クイズ

漢字1字といえば、毎年12月になれば、“今年1年はこうだった”というものを漢字1字の巨大書道で発表される。2007年は「偽」だったが、2008年は「食」か「高」のどちらかになるのではないだろうか。

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話を軌道修正し、ジョイフルトレイン、『宴』はパープルを基調に金帯を巻いている。フェイスは1本だが、車体側面は2本を巻いており、ブルートレインならぬ、“パープルトレイン”と言いたくなるほどだ。
 
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Eゾーンへ移り、2種類のレールスターが走っている。エンジンつきのほうは両運転台方式に変わり、第7回のように係員が総出で持ち上げることはない。足こぎ式は“レールの上でサイクリング”をしているようなもので、廃線跡地の有効利用になるのかもしれない。そして、奥には寝台特急〈北斗星〉〈北陸〉の車両が同じ線路上に留置されている。ちなみに足こぎ式の赤羽寄りは『びゅうびゅう号』、上野寄りは『すいすい号』となっていた。上下線で愛称が異なるのはJR九州の各駅停車〈いさぶろう〉〈しんぺい〉を思い出す。でも、足こぎ式のレールスターは“列車”ではないのよね。

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Eゾーン赤羽寄りのレールスターのりばの先には寝台特急〈北斗星〉と貨物列車がドッキング!! 今回、展示車両の対象には入っていないが、面白い組み合わせだ。

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Dゾーンに戻り、面白い車両に遭遇。その名は三遊亭楽太郎ではなく、永谷園のすし太郎でもない。保守用車両の大型道床掘削機、『青太郎』で、枕木の運搬車、機関車、砕石(Saiseki.バラスト)をたっぷり搭載できるっぽいものが3つ1組になっている。  

これは線路に敷き詰められた古い砕石を取り出し、新しいものに取り替えるという。また、枕木は幅が40センチと広く、1本につき約350㎏だという。この枕木を使うと従来よりも本数を減らすことができる。また、幅の広い枕木は1本あたりの価格が安いため、経費削減にも貢献している。  

枕木を交換したあと、新しい砕石を敷き詰め、『マルチプルタイタンパー』で、つき固め作業を行ない、1番電車が運行する前に仕上げる。また、JR東日本はTC型省力化軌道を進めており、砕石のスキマにセメント系てん充材を流し込み、1時間ほどで固まり、完成する。

JR東日本の“TC型省力化軌道政策”に北島三郎なら、こう歌い上げるだろう(若い人はメロディーがわからないと思う)。

「♪軌道ぉー、変えるぅーなぁーらぁー、このぉーあぁーおぉーたぁーろうぉー♪」  

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さて、EF81形は寝台特急〈ゆうづる〉のヘッドマークを掲示。かつては客車と電車の“二刀流”で運行していた時期が長く、583系のほうが似合っていた。また、現役時代、寝台特急〈ゆうづる〉のEF81形には車体側面に流れ星はついておらず、これは貴重なショットと言えるだろう。

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そのウラは臨時寝台特急〈エルム〉で、時刻は12時30分を過ぎ、Bゾーンでは転車台の回転実演が行なわれているので、直行しよう。




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途中参加のため、うしろから眺めるしかなかったが、転車台はゆっくりと慎重に回してゆく。モデルのEF81形81号機は臨時快速〈エキスポライナー〉のヘッドマークと国旗2つのお召列車を掲示。昔は蒸気機関車の運転台が両方向になかったため、転車台を設置して、向きを変えていたが、電気機関車やディーゼル機関車の普及により、不要となり、撤去されているところが多い。ちなみに蒸気機関車はうしろ向きの走行も可能だが、運転しにくいものであることが想像できる。

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ところで、尾久車両センターの線路の多くはレールとレールのあいだに空間があることに気づいた。いわゆる「継ぎ目」という部分で、列車に乗っていると、「ガタン、ゴトン」という音が聞こえる。技術の開発により、ロングレール化や継ぎ目の改良により、空間がなくなっているが、昔の鉄道を感じさせる部分である。

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Dゾーンに戻り、ジョイフルトレイン、『スーパーエクスプレスレインボー』の牽引機だったEF65形1118号機はなんと、寝台急行〈銀河〉フォーエヴァーヘッドマークを掲示。なんで、これを2008年3月14日(金曜日)の始発駅発車時からつけてくれなかったのだろう? このヘッドマークがなかったことが悔やまれるが、そのうしろ4両は高崎車両センター所属の旧型客車を連結。今回、この旧型客車は休憩車両として、開放しているが、まるで往年の〈銀河〉を再現しているようだ。

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EF65形1118号機と旧型客車の隣りは『夢空間』で、2008年3月3日(月曜日)に営業運行を終えた。まだ19年しかたっていないこともあってか、車両の姿は残っていた。面白いことに車番のダイニングカーとラウンジカーは欧風調の文字であるのに対し、A寝台個室デラックススリーパーはステンレスの切り文字による国鉄フォントだ。

いつかは寝台特急〈あけぼの〉で、その勇姿を見たいところだが、その夢は叶うだろうか?
 

◆旧型客車は21世紀の時代劇に必要なアイテム  

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『夢空間』の隣りは寝台特急〈カシオペア〉の予備電源車、カヤ27形を展示。出番は少ないが、車端部の連結器を変えているため、ブルートレインに使えないことがよくわかる。そして、外幌の中を見るが、空間になっており、まるで、もうすぐトンネルを抜け出すような明るい未来を感じさせる。天気のよくない日や夜間ではちがった見え具合になるけども。

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いよいよ、旧型客車による休憩所へ入ってみる。

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まずは客室ではなく、乗務員室を覗いてみる。木材が使われているところがあり、クリーム色に塗られている。そして、窓の近くにハンドルがあるけど、これは非常ブレーキ装置である。

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乗降用ドアは手動式となっており、車掌はロックをかける方式になっている。かつて、初代ブルートレインの20系もドアは手動式だった。  

洗面所とトイレは老朽化しているため、実際の営業運転でも使えないらしく、長野支社エリアで運行していた実績があるのか、貼り紙を掲示していた。旧型客車は国鉄時代の雰囲気を維持するのが最大条件となっているようで、現代車両のようなリニューアル工事ができないのだ。ちなみに4両全車、自由席かつ非冷房車である。  

空いているボックスシートがなく、このまま通り抜けるだけかと覚悟していたが、運よく4号車に空席があったので、陣取る。

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網棚はホンモノの網を使い、照明は昔も今も天井の左右にあるものの、東芝のメロウホワイトを使用。家庭用の一般的な照明器具を使っている。直線タイプではないのだ。

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窓ワクは木製で、年季を感じさせるが、国鉄ブルーのボックスシートでは昼食をとる利用客が多く、ほとんどは歩きっぱなしの見学状態である。  

旧型客車に乗る(この場合、「入る」と言ったほうが適切かもしれない)のは初めてで、冷房がないせいか、天井が高いことが印象に残る。夏場は汗ダクになるのではないかという不安はあるものの、まだまだ現役でいてくれなければ困る存在だ。  

なぜならば、1990年代から時代劇の視聴率は低迷し、2008年には『水戸黄門・第39部』の第2回は番組が始まって以来、初の視聴率が10パーセントに届かなかった。これは質の低下が大きな要因ではあるものの、21世紀に入ってからは明治から昭和30年代(1955年から1964年まで)を舞台にするドラマや映画が増えている。考えられるのは時代劇の舞台設定が移行しているのである。“江戸時代は時代遅れ”というのが時代劇の現状ではないだろうか。時代劇好きの私にとっては、こういうことを述べるのは悲しいことではあるけれど、現実を受け止めざるを得ないのかもしれない。  

国鉄車両に郷愁を抱くのはレールファンだけではない。映画やドラマを制作する人たちも含まれるのだ。おそらく、今も昭和に郷愁を抱く人たちは多いのではないかと思う(平成20年はわからなくても、“昭和83年なら2008年”とわかる人が多いようだ)。  

13時40分過ぎ、尾久車両センターを出たが、前回に比べ、お天気がよかったことや利用客も多かったこともあり、心地よかった。

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なお、尾久駅及び、尾久車両センターへは東京都交通局都電荒川線荒川遊園前電停からでも行くことができる。

★備考

①今回の動画はこちらにクリック!!



②1日1鉄! 鉄道写真家・中井精也ブログ「11月12日(水曜日)」はこちらにクリック!!

③鉄道ニュース「E655系使用のお召列車運転」はこちらにクリック!!

④鉄道ニュース「つくばエクスプレスでお召列車運転」はこちらにクリック!!

⑤鉄道ニュース「E655系『なごみ(和)』の団臨 東京地下駅に乗入れ」は
こちらにクリック!!

⑥鉄道ニュース「『ふれあい鉄道フェスティバル』展示車両が回送される」は
こちらにクリック!!

⑦鉄道ニュース「尾久で『ふれあい鉄道フェスティバル』開催」は
こちらにクリック!!

⑧参考文献として、吉田一紀著、オーム社刊行、『モハようございます。あの人はなぜ、鉄道にハマるのか?』を使用。

⑨フリー百科事典『Wikipedia「北斗星(列車)」』は
こちらにクリック!!

⑩フリー百科事典『Wikipedia「つくば科学万博の交通」』は
こちらにクリック!!

⑪豊岡真澄の連心通心「ろくごーごー」は
こちらにクリック!!

⑫『日本の旅・鉄道見聞録』は
こちらにクリック!!(企画特集記事はこちらにクリック!!

⑬岸田法眼のRailway Blog.「暴れん坊583系2002(臨時寝台特急〈はくつる81号〉青森行き)」は
こちらにクリック!! 

⑭岸田法眼のRailway Blog.「暴れん坊583系2002Ⅳ(上野ハロープロジェクト第4弾、寝台特急〈はくつる〉フォーエヴァー)」はこちらにクリック!!

⑮岸田法眼のRailway Blog.「暴れん坊583系2002Ⅲ(上野ハロープロジェクト第2弾、臨時寝台特急〈ゆうづる1・2号〉)」はこちらにクリック!!

⑯岸田法眼のRailway Blog.「2008年の汽車旅1-1(寝台急行〈銀河〉フォーエヴァー)」はこちらにクリック!! 

⑰岸田法眼のRailway Blog.「寝台急行〈銀河〉フォーエヴァーTHE LAST RUN.」はこちらにクリック!!

⑱岸田法眼のRailway Blog.「第7回みんな集まれ! ふれあい鉄道フェスティバル」は
こちらにクリック!!





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★お知らせ

2008年11月も2者択一サイト、『Unow?』で、「アノ人はなぜハマル?(モハよう著者からの20の質問)」が公開されており、質問28・33・39・43で私の画像と解説が掲載されております。ぜひ、アクセスしてみて下さい。

なお、質問を回答するには会員登録が必要となりますので、あらかじめ御了承下さい。

①『Unow?』は
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②『Unow?「モハよう著者からの20の質問」』はこちらにクリック!!

③『Unow?「モハよう著者からの20の質問」』の質問28は
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④『Unow?「モハよう著者からの20の質問」』の質問33はこちらにクリック!!

⑤『Unow?「モハよう著者からの20の質問」』の質問39は旧式はこちらにクリック!! そして、新式はこちらにクリック!!



⑥『Unow?「アノ人はなぜハマル?」』の質問43はこちらにクリック!!



※②~⑥は2008年11月30日(日曜日)まで公開予定です(翌日以降は削除されている可能性がありますので、あらかじめ御了承下さい)。



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下総弾正くま

尾久は少年時代に、田端の模型屋(グリンーンマックス)に行った帰りに、父親に連れられて歩いて行った記憶があります。ホームから客車を眺めていただけでしたが。
ところで、地元の松戸は、E655系のお召列車が「千葉県内で初めて通った場所」、松戸駅は「千葉県内で最初に通った駅」ということになるわけで、そう考えると感慨深いものがあります。
by 下総弾正くま (2008-11-24 10:50) 

PochiPapa

僕も当日、ふれあい鉄道フェスティバルに行っておりましたが、岸田法眼さんのblogを拝見しながら、当日の展示を振り返っています。

今年はJR東日本がヘッドマークに粋な計らいをしてくれました。往年の寝台特急のヘッドマークが良かったですね。

また、先日はトラックバックして頂き、ありがとうございます。
by PochiPapa (2008-11-24 11:04) 

schnitzer

E655は5両だったんですね。
窓の形から特別車両と思ってしまいました。
早速修正します。
空気の読めない方、多かったですねえ。写真を撮るのはよいのですが、撮ったら速やかに移動することができないのですね。
by schnitzer (2008-11-24 11:54) 

岸田法眼

下総弾正くまさん、どうもありがとうございます。

E655系の“お召列車デビュー”は常磐線でしたので、交直流電車のメリットが発揮されましたね。以前の車両は直流電化区間しか走ることができませんでしたから。

今後もE655系の特別車両が運行されるといいですね。
by 岸田法眼 (2008-11-24 13:38) 

岸田法眼

PochiPapaさん、どうもありがとうございます。

尾久車両センターは色々なモノがそろっているようですね。ヘッドマークの在庫はどのくらいあるかが気になるところですが、面白いイベントだと思います。
by 岸田法眼 (2008-11-24 13:43) 

岸田法眼

schnitzerさん、どうもありがとうございます。

E655系の特別車両は普段、東京車両センターで保管されているようで、車窓から見ることもできない貴重な車両となっております。おそらく、多くのレールファンは“6両フル編成”を見たかったのかもしれません。

空気の読めない件ですが、そこを読む、あるいはスキをつくレールファンがおりまして、ヘッドマークを間近で撮影していました。
by 岸田法眼 (2008-11-24 13:50) 

まるたろう

自分も車内でのマナーについて書いたことがありますが、この記事を
読みまして、イベント時の写真撮影も気をつけようと思いました。
神戸市交通局のイベントでも、KYな人がいましたからね。

by まるたろう (2008-11-24 18:06) 

makoto

E655系の特別車両E655-1は
なぜかこれだけ東京総合車両センター所属だそうですね。

そろそろお召し1号編成もお役ごめんなのでしょうか。

車体ジャッキアップにたくさんのHM展示と、
鉄道ファン大満足のようでしたね。
by makoto (2008-11-24 18:15) 

トータン

皆さん尾久へ行かれたのですね~ 色々な方々が写真をUPしています 私も行きたかったなァ 最近実車を見る機会が少なくて・・・・ この様な機会はどのように知るのでしょうか? でも、この様に大混雑だと少し気が引けてしまいます!
by トータン (2008-11-24 18:47) 

はいてんしょん

イベント全体を見ると子供に鉄道に興味を持ってもらうって形になっている気がします
大きな大人が大きな声で叫ぶほうがKYなのかもしれませんが(^^;;
(両方の気持ちわかるので困った気分)

by はいてんしょん (2008-11-24 22:18) 

岸田法眼

まるたろうさん、どうもありがとうございます。

空気が読めない人は世の中、多いと思います。ホームでもそこへい続ける人もいますからね。

車両の撮影も距離が自然とできるのですから、面白いものだと思います。
by 岸田法眼 (2008-11-24 23:57) 

岸田法眼

makotoクン、どうもありがとうございます。

E655系や157系の特別車両は東京総合車両センターの所属で、まず外から眺めることができないほどの厳戒態勢ですね。

157系のほうは48年が経過していることもありますので、復帰する可能性は低いでしょう。ちなみに特別車両は乗る方によって、「お召列車」とは言わない場合があります。くわしくは私が執筆した雑誌、『TRAIN MODELING MANUAL Vol.1』を御覧下さい。
by 岸田法眼 (2008-11-25 00:01) 

岸田法眼

トータンさん、どうもありがとうございます。

このイベントは日比谷公園の鉄道フェスティバルで知りました。来週日曜日は南栗橋で東武ファンフェスタが行なわれますので、混雑することが予想されます。
by 岸田法眼 (2008-11-25 00:03) 

岸田法眼

はいてんしょんさん、どうもありがとうございます。

車両基地のイベントは鉄道に親しんでもらうのが大きな目的のようですが、ターゲットはお子様なのでしょう。

確かに「大の大人が大人気ない」と言う人もいるのでしょうが、太田総理のようにハッキリ言わなきゃダメってときもありますので、それはその場の空気によるのかもしれません。

またのお越しをお待ちしております。
by 岸田法眼 (2008-11-25 00:05) 

sirokuma

鉄道界の一文字はやはり0系引退による一つの時代の終焉...という事で「退」で良いのでしょうか?
by sirokuma (2008-11-27 13:06) 

岸田法眼

sirokumaさん、この日、3回目のコメント、ありがとうございます。

鉄道業界の漢字1文字は「華」でしょうね。新規路線の開幕や延伸が多かったことや0系もオリジナルカラーに戻りましたので、華やかさが印象に残る1年になると思いますよ。
by 岸田法眼 (2008-11-28 01:42) 

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