拙著『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)、発売中!! くわしくは、こちらへ。
拙著『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)、2021年2月9日(火曜日)発売!! くわしくは、こちらへ。
拙著『大阪の地下鉄大研究』(天夢人刊)、2023年10月3日(火曜日)発売!! くわしくは、こちらへ。
●お問い合わせ、御依頼はこちらへ。
・Railway Blogのコメント、トラックバック承認制になっておりますので、御了承願います。
・Railway Blogに掲載されている本文、画像などの著作権は、各国の著作権法、各種条約及び、その他の法律で保護されています。これらのデータなどについて、私的使用、その他、法律で明示されている範囲を超えて、許可なく引用、複製、改編、転用、電磁的加工、送信、頒布、二次使用するなどの一切の行為は禁止しております。著作権法に関係なく、ルール、マナー、エチケットをすべて守っていただきますよう、お願いいたします(該当する行為があった場合、当方の顧問弁護士より、賠償金を請求させていただきます。必ずお支払いください)。また、新聞、雑誌など、各種メディア関係者で本文や画像の利用等を希望される場合は、お問い合わせフォームを御利用ください(原則として、本文や画像は有償とさせていただきます)。
2008年の汽車旅6-2(急行〈つやま〉フォーエヴァー) [汽車旅2008]
◆下記の記事をまだ御覧になっていない方はURLにクリックして下さい。
・2008年の汽車旅6-1
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2009-02-15
◆急行〈つやま〉フォーエヴァー
姫路で一旦下車し、青春18きっぷを使用しているため、Suicaで山陽新幹線のきっぷを購入し、12番のりばへ。すでに〈こだま645号〉広島行き(2号車自由席126-3020)が到着しており、隣りの11番のりばでは、なんと500系7000番台の〈こだま628号〉新大阪行きが停まっている。2008年12月1日(月曜日)、500系7000番台の〈こだま〉がデビューしたものの、違和感かつ戸惑いを持つ。
山陽新幹線は東海道新幹線より利用客が少ないこともあり、JR西日本では居住性のアップに努めているが、100系3000・5000番台ではすべて、2人掛けとなっており、グリーン車の座席が転用されている。足のせとひじかけのテーブルは撤去されているが、それでも快適に過ごせる。
〈ひかり455号〉レールスター博多行きの通過待ちをしたあと、10時28分に発車。山陽本線を走る特急〈スーパーはくと3号〉倉吉行きに追いつくかのような感じで、10時38分、相生に到着。5分停車し、車内でくつろいでいたら、なんと、500系の〈のぞみ9号〉博多行きが通過。とてつもなく速かったが、やっぱ500系は〈のぞみ〉でなくちゃ!!
10時43分に発車すると、デッキ寄りにある情報案内装置で、読売新聞ニュースが流れ、JR東日本北陸新幹線上り便が車両故障で立往生し、乗客は下り便で避難。前日は奥羽本線(山形新幹線)で倒木に見舞われている。
山陽新幹線の“100系〈こだま〉”は2003年7月以来、2回目の乗車。座席はイイし、窓は大きいから、すこぶる快適。かつての隆盛を取り戻すことは「ない」といっていいと思うが、“昭和の古きよき時代”を感じさせる。100系はウケがよかったが、300系以降は“ないないづくし”で、スピードに躍起となってしまった。500系はインパクトが強烈過ぎたため、“ないないづくし”をカバーすることができた。
“35分で降りるのは惜しい”と思いながら。11時03分、岡山22番のりばに到着。乗り換えルートが多いせいか、降りる利用客が多かった。
9番のりばへまわり、津山線の急行〈つやま〉津山行きの発車時刻がせまりつつある。急行〈つやま〉は2009年3月14日(土曜日)のダイヤ改正で、快速〈ことぶき〉に吸収されることになっており、JRグループの昼行急行は臨時便を除き、姿を消すことになる(JR東日本は勝田車両センター所属の485系1500番台を臨時急行に使用することがある)。
近年、急行の衰退は私鉄にも及んでおり、阪急電鉄京都本線は2007年3月17日(土曜日)のダイヤ改正で、準急に置き換え。京阪電気鉄道京阪本線は2008年10月19日(日曜日)のダイヤ改正で、大幅に減便。東武鉄道は2006年3月18日(土曜日)のダイヤ改正で、「東武本線」と呼ばれる部分(東上本線と越生線を除く)では東上本線に合わせるかの如く、急行券なしで急行に乗れるようになった。これは急行券を払う急行は「特急」に格上げし、通勤準急は「急行」に変更されたためである。そして、2009年3月20日(金曜日・春分の日)、阪神電気鉄道はダイヤ改正を行ない、本線の急行の運行区間を梅田-西宮間に短縮されることになっている。
さて、急行〈つやま〉が消えるのは納得がいく。それは車両がキハ48系だからである。いくら体質改善車を使用して、「急行」の種別幕や「急行つやま」のサボを用意しても、快速〈ことぶき〉や普通列車にも使われるのだから、急行料金を払うことに抵抗がある。しかも、停車駅は法界院以外、快速〈ことぶき〉最速バージョンと同じである。
しかし、急行〈つやま〉津山行きは意外と人気。ボックスシートは先手必勝のようで、急行券でロングシートにおとなしく坐る利用客もいるのだ。また、急行券を買って急ぐ利用客もいる。ちなみに2009年2月17日(火曜日)時点、運賃以外で料金をとるロングシートは私が知っている限り、急行〈つやま〉、東武鉄道のライナー〈TJライナー〉の2つだけである。
意外と人気な背景はダイヤにあり、11時台の津山行きは急行〈つやま〉しかなく、10時25分発の普通列車(ワンマン列車)に乗り遅れると、12時13分発まで待たなければならないのだ(そのあいだに11時51分発の普通列車福渡行きワンマン列車がある)。これだと急行料金を払いたくなくても、選択せざるを得ない利用客も多いのかもしれない。
急行〈つやま〉津山行きは号車表示がないものの、2両全車自由席かつ禁煙車、そして、ドアは半自動扱いとなっている。
急行〈つやま〉は快速〈ことぶき〉と共に平成9年(1997年)11月29日(土曜日)に誕生。前日まで津山線には急行〈砂丘〉が岡山-鳥取間を津山経由で結んでいたが、ルートを山陽本線と智頭急行智頭線に変えて、キハ181系を使用した特急〈いなば〉に変更されたのだ。距離は急行〈砂丘〉が9.7キロ短いものの、山陽本線の複線、単線ながら智頭線の線形のよさで、スピードアップをはかり、所要時間が30分近くも短縮されたのである。2003年10月1日(水曜日)にはキハ187系500番台の投入により、特急〈スーパーいなば〉に改称されている。
急行〈つやま〉は当初から1往復体制で、岡山-智頭間を結んでいた(津山-智頭間は快速)。車両は急行〈砂丘〉で使われたものを継承したが、平成11年(1999年)10月2日(土曜日)から運行区間は岡山-津山間に短縮。また、急行形気動車の老朽化にともない、2003年10月1日(水曜日)から快速〈ことぶき〉と同じ車両に変わってしまった。それから2009年3月13日(金曜日)まで、6年間も一般形気動車で急行〈つやま〉を運行するのだから、利用客もよくガマンしていたものである。
かつて、JR北海道では客車で運行していた宗谷本線急行を気動車化するにあたり、キハ40系・キハ48系を急行形に改造して、キハ400系・キハ480系に改めたが、JR西日本はそういうことは考えていなかったようだ(その後、キハ400系・キハ480系は2000年3月11日、宗谷本線急行の特急格上げにともない、お座敷改造車以外、再び、元の形式に戻った)。
11時13分、急行〈つやま〉津山行きは発車した。
◆2両編成でも乗車口が違う理由
隣りの宇野線8番のりばではエル特急〈しおかぜ9号〉宇和島行き“アンパンマン列車”が発車を待っている。気動車では長い部類に入る8両編成で、6~8号車は松山止まりである。そのうえ、4号車以外は夢塗装車(アンパンマン列車)なのだから、子供たちは大喜びだろう。ちなみに通常は宇多津でエル特急〈いしづち13号〉松山行き“アンパンマン列車”とドッキングするが、この日はアンパンマンなしの高松-多度津間の単独運行だった。これはエル特急〈しおかぜ9号〉宇和島行き“アンパンマン列車”の座席定員を増やすことを優先したからである。また、JR四国は別の特急に乗り換えても特急料金は通算されるため、なせるワザといえる。
1号車の半室指定席はシートモケットや内装がアンパンマン仕様になっており、自動放送もアンパンマン(もちろん、車掌の肉声放送も入る)。これは小さな子供から、大きなお年寄りまで大喜びになること長井秀和じゃないけど、間っ違いない!! ただ、子供にとって、自動放送の声がアンパンマンであると確信しているが、大人はその“正体”が戸田恵子であることを知っている。子供たちには幼児でなくなる年齢までは話さないだろう。
11時34分にエル特急〈しおかぜ9号〉宇和島行き“アンパンマン列車”が発車したあと、11時40分、8番のりばにN2000系のエル特急〈南風9号〉高知行きが入線。軽油の香りが鼻腔にツンとくる。壮絶な走りを展開していたのだろう。
津山線9番のりばに戻り、12時13分発の普通列車津山行きワンマン列車が入るのだが、乗車位置が○ではなく、◇になっており、疑問があった。そして、入線するのだが、なんとキハ120系300番台!!(キハ120-355に乗車) 車体の長さが短いため、乗車位置が国鉄産気動車とは異なるのである。もちろん、定員も少ない。ちなみに岡山地区のキハ120系シリーズは貫通扉の渡り板部分にハイフンがついており、車内と車体側面にはない。
数少ないボックスシートをGETし、エル特急〈しおかぜ12号〉が遅れたため、1分遅れの12時14分に発車。山陽新幹線N700系の〈のぞみ20号〉東京行きも同時に発車し、そのあと、山陽本線の普通電車相生行きが襲いかかるかのように追いつかれるが、振り切るかのように別れ、法界院に到着する。
法界院を発車し、しばらく進むとローカル線らしい田舎のたたずまいとなる。
玉柏(Tamagashi)を発車すると、カーブが多くなり、旭川リバーショー。ディーゼルエンジンもうねりをあげるようになる。そして、山間部も近づきつつある。
ワンマン列車ながら、精算係の車掌も乗務しており、牧山に到着。ここで快速〈ことぶき〉岡山行きワンマン列車と行き違い、勢いよく通過していった。
◆意外と多かった全区間利用客
12時32分に牧山を発車すると、登り坂をゆき、ついにトンネルへ。登り坂を挑み続け、トンネルを抜けると、沿線にはオレンジに色づいた柿がある。もし、止めてくれるのなら、キハ48系といった国鉄産気動車の場合、窓を開けることができるので、通販でおなじみの高枝切りバサミと虫取りあみを持って、いただきたいところ。
いつのまにか旭川リバーショーが終わり、御津(Mitsu)郵便局を通り過ぎ、神奈川じゃなかった金川(Kanagawa)に到着。津山線では数少ない有人駅だが、乗降は少ない。
12時43分に金川を発車。道は険しさを増してゆく。林の中をかき分け、そこを抜けると、“田舎の楽園”が待っていた。12時52分、建部(Takebe)に到着したのである。ここでは普通列車岡山行きワンマン列車と行き違う。
建部を発車すると、軽やかに走り、刈り取った稲は実りの証拠。旭川を渡ると、有人駅の福渡に到着。岡山-福渡間は本数が多いものの、ここから先は“栄えていない田舎なのかな”と思う。
12時57分、福渡を発車し、トンネルを抜けると、誕生寺川リバーショー。しかし、長く続かず、弓削(Yuge)でキハ120系300番台の普通列車岡山行きワンマン列車と行き違う。
普通列車津山行きワンマン列車は軽やかに進んでゆく。気動車だとディーゼルエンジンのうねる音が消えたとき、心地よさを感じるのだ。
意外と終点津山まで乗り通す人が多いように思えるが、この日の天気は曇ったり、晴れたりと安定しない。
13時27分に佐良山を発車すると、急速に速くなり、残雪が見えるようになる。
津山口はかつて、2面3線だったが、今や1面1線のみ。ホームは残っているが、私有地と化したようだ。
※次は津山 終点
※まもなく津山 終点
足元にご注意ください。
右側のドアが開きます
進行方向左側から姫新線と合流し、13時34分、終点津山3番のりばに到着し、津山線全線完乗を達成。向かいの4番のりばには快速〈ことぶき〉岡山行きワンマン列車が発車を待っていた。
★備考
①今回の動画はこちらにクリック!!
②参考文献として、鉄道ジャーナル社刊行、『鉄道ジャーナル1998年2月号』を使用。
③フリー百科事典『Wikipedia「つやま(列車)」』はこちらにクリック!!
④岸田法眼のRailway Blog.「ライナー〈TJライナー1号〉森林公園行き」はこちらにクリック!!
※来訪御礼のみや記事に関係のないコメントをされる方は上にクリックして下さい(コメントは承認いたしません)。また、我がブログのコメント、トラックバック承認制になっておりますので、御了承願います。
・2008年の汽車旅6-1
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2009-02-15
◆急行〈つやま〉フォーエヴァー
姫路で一旦下車し、青春18きっぷを使用しているため、Suicaで山陽新幹線のきっぷを購入し、12番のりばへ。すでに〈こだま645号〉広島行き(2号車自由席126-3020)が到着しており、隣りの11番のりばでは、なんと500系7000番台の〈こだま628号〉新大阪行きが停まっている。2008年12月1日(月曜日)、500系7000番台の〈こだま〉がデビューしたものの、違和感かつ戸惑いを持つ。
山陽新幹線は東海道新幹線より利用客が少ないこともあり、JR西日本では居住性のアップに努めているが、100系3000・5000番台ではすべて、2人掛けとなっており、グリーン車の座席が転用されている。足のせとひじかけのテーブルは撤去されているが、それでも快適に過ごせる。
〈こだま645号〉広島行き編成表 | |||||
乗車区間 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 | |
岡山 | 1 | 121- | 5004 | × | 自由席 |
2 | 126- | 3020 | ○ | 自由席 | |
3 | 125- | 3704 | ○ | 自由席 | |
4 | 126- | 3206 | ○ | 指定席 | |
5 | 125- | 3011 | ○ | 自由席 | |
姫路 | 6 | 122- | 5004 | × | 自由席 |
〈ひかり455号〉レールスター博多行きの通過待ちをしたあと、10時28分に発車。山陽本線を走る特急〈スーパーはくと3号〉倉吉行きに追いつくかのような感じで、10時38分、相生に到着。5分停車し、車内でくつろいでいたら、なんと、500系の〈のぞみ9号〉博多行きが通過。とてつもなく速かったが、やっぱ500系は〈のぞみ〉でなくちゃ!!
10時43分に発車すると、デッキ寄りにある情報案内装置で、読売新聞ニュースが流れ、JR東日本北陸新幹線上り便が車両故障で立往生し、乗客は下り便で避難。前日は奥羽本線(山形新幹線)で倒木に見舞われている。
山陽新幹線の“100系〈こだま〉”は2003年7月以来、2回目の乗車。座席はイイし、窓は大きいから、すこぶる快適。かつての隆盛を取り戻すことは「ない」といっていいと思うが、“昭和の古きよき時代”を感じさせる。100系はウケがよかったが、300系以降は“ないないづくし”で、スピードに躍起となってしまった。500系はインパクトが強烈過ぎたため、“ないないづくし”をカバーすることができた。
“35分で降りるのは惜しい”と思いながら。11時03分、岡山22番のりばに到着。乗り換えルートが多いせいか、降りる利用客が多かった。
9番のりばへまわり、津山線の急行〈つやま〉津山行きの発車時刻がせまりつつある。急行〈つやま〉は2009年3月14日(土曜日)のダイヤ改正で、快速〈ことぶき〉に吸収されることになっており、JRグループの昼行急行は臨時便を除き、姿を消すことになる(JR東日本は勝田車両センター所属の485系1500番台を臨時急行に使用することがある)。
近年、急行の衰退は私鉄にも及んでおり、阪急電鉄京都本線は2007年3月17日(土曜日)のダイヤ改正で、準急に置き換え。京阪電気鉄道京阪本線は2008年10月19日(日曜日)のダイヤ改正で、大幅に減便。東武鉄道は2006年3月18日(土曜日)のダイヤ改正で、「東武本線」と呼ばれる部分(東上本線と越生線を除く)では東上本線に合わせるかの如く、急行券なしで急行に乗れるようになった。これは急行券を払う急行は「特急」に格上げし、通勤準急は「急行」に変更されたためである。そして、2009年3月20日(金曜日・春分の日)、阪神電気鉄道はダイヤ改正を行ない、本線の急行の運行区間を梅田-西宮間に短縮されることになっている。
さて、急行〈つやま〉が消えるのは納得がいく。それは車両がキハ48系だからである。いくら体質改善車を使用して、「急行」の種別幕や「急行つやま」のサボを用意しても、快速〈ことぶき〉や普通列車にも使われるのだから、急行料金を払うことに抵抗がある。しかも、停車駅は法界院以外、快速〈ことぶき〉最速バージョンと同じである。
しかし、急行〈つやま〉津山行きは意外と人気。ボックスシートは先手必勝のようで、急行券でロングシートにおとなしく坐る利用客もいるのだ。また、急行券を買って急ぐ利用客もいる。ちなみに2009年2月17日(火曜日)時点、運賃以外で料金をとるロングシートは私が知っている限り、急行〈つやま〉、東武鉄道のライナー〈TJライナー〉の2つだけである。
意外と人気な背景はダイヤにあり、11時台の津山行きは急行〈つやま〉しかなく、10時25分発の普通列車(ワンマン列車)に乗り遅れると、12時13分発まで待たなければならないのだ(そのあいだに11時51分発の普通列車福渡行きワンマン列車がある)。これだと急行料金を払いたくなくても、選択せざるを得ない利用客も多いのかもしれない。
急行〈つやま〉津山行きは号車表示がないものの、2両全車自由席かつ禁煙車、そして、ドアは半自動扱いとなっている。
急行〈つやま〉津山行き編成表 | |||||
運行区間 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 | |
津山 | なし | キハ47 | 5 | ○ | 体質改善車 |
岡山 | なし | キハ47 | 1003 | ○ | 体質改善車 |
急行〈つやま〉は快速〈ことぶき〉と共に平成9年(1997年)11月29日(土曜日)に誕生。前日まで津山線には急行〈砂丘〉が岡山-鳥取間を津山経由で結んでいたが、ルートを山陽本線と智頭急行智頭線に変えて、キハ181系を使用した特急〈いなば〉に変更されたのだ。距離は急行〈砂丘〉が9.7キロ短いものの、山陽本線の複線、単線ながら智頭線の線形のよさで、スピードアップをはかり、所要時間が30分近くも短縮されたのである。2003年10月1日(水曜日)にはキハ187系500番台の投入により、特急〈スーパーいなば〉に改称されている。
急行〈つやま〉は当初から1往復体制で、岡山-智頭間を結んでいた(津山-智頭間は快速)。車両は急行〈砂丘〉で使われたものを継承したが、平成11年(1999年)10月2日(土曜日)から運行区間は岡山-津山間に短縮。また、急行形気動車の老朽化にともない、2003年10月1日(水曜日)から快速〈ことぶき〉と同じ車両に変わってしまった。それから2009年3月13日(金曜日)まで、6年間も一般形気動車で急行〈つやま〉を運行するのだから、利用客もよくガマンしていたものである。
かつて、JR北海道では客車で運行していた宗谷本線急行を気動車化するにあたり、キハ40系・キハ48系を急行形に改造して、キハ400系・キハ480系に改めたが、JR西日本はそういうことは考えていなかったようだ(その後、キハ400系・キハ480系は2000年3月11日、宗谷本線急行の特急格上げにともない、お座敷改造車以外、再び、元の形式に戻った)。
11時13分、急行〈つやま〉津山行きは発車した。
◆2両編成でも乗車口が違う理由
隣りの宇野線8番のりばではエル特急〈しおかぜ9号〉宇和島行き“アンパンマン列車”が発車を待っている。気動車では長い部類に入る8両編成で、6~8号車は松山止まりである。そのうえ、4号車以外は夢塗装車(アンパンマン列車)なのだから、子供たちは大喜びだろう。ちなみに通常は宇多津でエル特急〈いしづち13号〉松山行き“アンパンマン列車”とドッキングするが、この日はアンパンマンなしの高松-多度津間の単独運行だった。これはエル特急〈しおかぜ9号〉宇和島行き“アンパンマン列車”の座席定員を増やすことを優先したからである。また、JR四国は別の特急に乗り換えても特急料金は通算されるため、なせるワザといえる。
1号車の半室指定席はシートモケットや内装がアンパンマン仕様になっており、自動放送もアンパンマン(もちろん、車掌の肉声放送も入る)。これは小さな子供から、大きなお年寄りまで大喜びになること長井秀和じゃないけど、間っ違いない!! ただ、子供にとって、自動放送の声がアンパンマンであると確信しているが、大人はその“正体”が戸田恵子であることを知っている。子供たちには幼児でなくなる年齢までは話さないだろう。
11時34分にエル特急〈しおかぜ9号〉宇和島行き“アンパンマン列車”が発車したあと、11時40分、8番のりばにN2000系のエル特急〈南風9号〉高知行きが入線。軽油の香りが鼻腔にツンとくる。壮絶な走りを展開していたのだろう。
津山線9番のりばに戻り、12時13分発の普通列車津山行きワンマン列車が入るのだが、乗車位置が○ではなく、◇になっており、疑問があった。そして、入線するのだが、なんとキハ120系300番台!!(キハ120-355に乗車) 車体の長さが短いため、乗車位置が国鉄産気動車とは異なるのである。もちろん、定員も少ない。ちなみに岡山地区のキハ120系シリーズは貫通扉の渡り板部分にハイフンがついており、車内と車体側面にはない。
数少ないボックスシートをGETし、エル特急〈しおかぜ12号〉が遅れたため、1分遅れの12時14分に発車。山陽新幹線N700系の〈のぞみ20号〉東京行きも同時に発車し、そのあと、山陽本線の普通電車相生行きが襲いかかるかのように追いつかれるが、振り切るかのように別れ、法界院に到着する。
普通列車津山行きワンマン列車編成表 | |||||
乗車区間 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 | |
津山 | なし | キハ120- | 355 | ○ | セミクロスシート |
岡山 | なし | キハ120- | 338 | ○ | セミクロスシート |
法界院を発車し、しばらく進むとローカル線らしい田舎のたたずまいとなる。
玉柏(Tamagashi)を発車すると、カーブが多くなり、旭川リバーショー。ディーゼルエンジンもうねりをあげるようになる。そして、山間部も近づきつつある。
ワンマン列車ながら、精算係の車掌も乗務しており、牧山に到着。ここで快速〈ことぶき〉岡山行きワンマン列車と行き違い、勢いよく通過していった。
◆意外と多かった全区間利用客
12時32分に牧山を発車すると、登り坂をゆき、ついにトンネルへ。登り坂を挑み続け、トンネルを抜けると、沿線にはオレンジに色づいた柿がある。もし、止めてくれるのなら、キハ48系といった国鉄産気動車の場合、窓を開けることができるので、通販でおなじみの高枝切りバサミと虫取りあみを持って、いただきたいところ。
いつのまにか旭川リバーショーが終わり、御津(Mitsu)郵便局を通り過ぎ、神奈川じゃなかった金川(Kanagawa)に到着。津山線では数少ない有人駅だが、乗降は少ない。
12時43分に金川を発車。道は険しさを増してゆく。林の中をかき分け、そこを抜けると、“田舎の楽園”が待っていた。12時52分、建部(Takebe)に到着したのである。ここでは普通列車岡山行きワンマン列車と行き違う。
建部を発車すると、軽やかに走り、刈り取った稲は実りの証拠。旭川を渡ると、有人駅の福渡に到着。岡山-福渡間は本数が多いものの、ここから先は“栄えていない田舎なのかな”と思う。
12時57分、福渡を発車し、トンネルを抜けると、誕生寺川リバーショー。しかし、長く続かず、弓削(Yuge)でキハ120系300番台の普通列車岡山行きワンマン列車と行き違う。
普通列車津山行きワンマン列車は軽やかに進んでゆく。気動車だとディーゼルエンジンのうねる音が消えたとき、心地よさを感じるのだ。
意外と終点津山まで乗り通す人が多いように思えるが、この日の天気は曇ったり、晴れたりと安定しない。
13時27分に佐良山を発車すると、急速に速くなり、残雪が見えるようになる。
津山口はかつて、2面3線だったが、今や1面1線のみ。ホームは残っているが、私有地と化したようだ。
※次は津山 終点
※まもなく津山 終点
足元にご注意ください。
右側のドアが開きます
進行方向左側から姫新線と合流し、13時34分、終点津山3番のりばに到着し、津山線全線完乗を達成。向かいの4番のりばには快速〈ことぶき〉岡山行きワンマン列車が発車を待っていた。
★備考
①今回の動画はこちらにクリック!!
②参考文献として、鉄道ジャーナル社刊行、『鉄道ジャーナル1998年2月号』を使用。
③フリー百科事典『Wikipedia「つやま(列車)」』はこちらにクリック!!
④岸田法眼のRailway Blog.「ライナー〈TJライナー1号〉森林公園行き」はこちらにクリック!!
※来訪御礼のみや記事に関係のないコメントをされる方は上にクリックして下さい(コメントは承認いたしません)。また、我がブログのコメント、トラックバック承認制になっておりますので、御了承願います。
タグ:こだま JR西日本 山陽本線 山陽新幹線 100系シリーズ 500系シリーズ スーパーはくと のぞみ ひかり N700系シリーズ JR東日本 北陸新幹線 奥羽本線 山形新幹線 長野新幹線 津山線 全線完乗 つやま フォーエヴァー ことぶき キハ48系シリーズ キハ120系シリーズ 485系シリーズ 阪急電鉄 京都本線 京阪電気鉄道 京阪本線 阪神電気鉄道 本線 東武鉄道 伊勢崎線 イーハー東武 日光線 東上本線 越生線 TJライナー 砂丘 智頭急行 智頭線 いなば キハ181系 キハ187系シリーズ スーパーいなば JR北海道 宗谷本線 キハ400系 キハ480系 JR四国 2000系 しおかぜ いしづち 宇野線 N2000系 南風 姫新線 あさま つばさ
〈つやま〉がなくなると、急行には一度も乗れなかったことになります。
「急行」という響き自体になんとなく「昭和の匂い」を感じるだけに、残念です。
by 下総弾正くま (2009-02-17 07:47)
下総弾正くまさん、どうもありがとうございます。
JRの急行は全滅したわけではありませんが、残るは夜行だけとなりました。車両も30年以上、使われているので、予断を許さない状況でしょう。ちなみに私が乗ったJRの急行は〈東海〉〈アルプス〉〈きたぐに〉〈能登路〉〈ちくま〉〈はまなす〉で、2005年を最後に乗っておりません。
御存知かとは思いますが、北海道東日本パスなら、急行券を買わなくても〈はまなす〉の自由席に乗れますので、御利用は今のうちかもしれません。
by 岸田法眼 (2009-02-17 19:55)
つやま号には、2007年の8月に乗車したことがありますが、クロスシートはほぼ満席だったような記憶があります。
子連れが多かったのが印象に残っていますが、子連れで立ちっぱなしは大変でしょうから、空席を求めてのつやま号利用だったのか・・・。
個人的には、「よくぞここまで残った」と思うものです。
by おおみや (2009-02-17 20:27)
おおみやさん、どうもありがとうございます。
車両が一般形気動車なので、“どうなのかな?”と思いながら見たのですが、意外にも盛況なのには驚きました。
一説によると、津山市が「急行」にこだわっていたらしく、〈砂丘〉なきあと、1往復だけ〈つやま〉として残したらしいのですが、気動車チェンジによって、サービスにそぐわない状況となり、JR西日本もようやく決断したように思えます。快速〈ことぶき〉のほうが気軽に乗れることやスピードは快速〈マリンライナー〉のほうが速いですから。
by 岸田法眼 (2009-02-17 22:34)