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東京メトロスマイルフェスタ’09 in AYASE [汽車旅2009番外編]
◆マッコウクジラと久々の再会
2009年12月5日(土曜日)12時50分頃、東京地下鉄(通称、「東京メトロ」)千代田線北綾瀬(C-20)へ。ホームの屋根は太陽光発電を行なっており、駅の照明やエスカレーターに活用しているという。
下車して、駅前のコンビニエンスストアで昼食を購入。レジを打ってもらっている最中、突然、幼児が“乱入”してきた。
「すいません、これ弟が勝手に持って行ったんですけど、どこへ置けばいいですか?」
この幼児は兄貴で、弟が万引きしたことを告白した。万引きというのは、発覚すれば警察へ通報されるものだが、この店員(女性)はどう対応するか?
「いいよ、ここへ置いといて」
と言って、“なかった”ことにした。防犯カメラが設置されても気づかなかったのかもしれないが、杓子定規にとらわれない対応はお見事。また、私はチョコレート入りの菓子パンとホットコーヒーを購入したが、いっしょに入れると、チョコレートが溶けるため、レジ袋を別々にするという暖かい配慮に感激。いっしょにしても問題はないのだが、食品に関する知識が豊富といえる。
チョコレートといえば、小学校の遠足前日になると、“チョコレートは溶けるからダメ”と担任の先生に言われたものだが、言うこと聞かずにチョコレートを持参する生徒がいて、本当に溶けていたことを思い出した。
昼食は歩きながら食べるという、けっして行儀のよくないことをしているが、この日は30分前までJR東日本207系試作車を追っていたため、ゆっくり昼食をとる時間がない。
ぐるっと車輪くんは、小学生以下に限定されたもので、大人の力を借りれば、車輪はコロコロ動かせる。
工場棟を出ると、雨がポツリと降り出し、休憩用車両へ移動。7000系副都心線用で、8両編成では運行されることがありえない「急行渋谷」を表示。その後も車両を撮影していたが、イベント終了の15時が近づくと、本降りとなり、JR東日本207系試作車の別れを惜しむ涙雨のようであった。
★東京メトロからのお知らせ
危険物の持ち込みは厳禁です。
★備考
①eyeVio「東京メトロスマイルフェスタ’09 in AYASE」
②参考資料として、交通新聞社刊行、『鉄道ダイヤ情報2008年7月号』を使用。
③参考資料として、鉄道ジャーナル社刊行、『鉄道ジャーナル1994年10月号』を使用。
④岸田法眼のRailway Blog.「JR東日本207系フォーエヴァーTHE LAST RUN.」
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2009年12月5日(土曜日)12時50分頃、東京地下鉄(通称、「東京メトロ」)千代田線北綾瀬(C-20)へ。ホームの屋根は太陽光発電を行なっており、駅の照明やエスカレーターに活用しているという。
下車して、駅前のコンビニエンスストアで昼食を購入。レジを打ってもらっている最中、突然、幼児が“乱入”してきた。
「すいません、これ弟が勝手に持って行ったんですけど、どこへ置けばいいですか?」
この幼児は兄貴で、弟が万引きしたことを告白した。万引きというのは、発覚すれば警察へ通報されるものだが、この店員(女性)はどう対応するか?
「いいよ、ここへ置いといて」
と言って、“なかった”ことにした。防犯カメラが設置されても気づかなかったのかもしれないが、杓子定規にとらわれない対応はお見事。また、私はチョコレート入りの菓子パンとホットコーヒーを購入したが、いっしょに入れると、チョコレートが溶けるため、レジ袋を別々にするという暖かい配慮に感激。いっしょにしても問題はないのだが、食品に関する知識が豊富といえる。
チョコレートといえば、小学校の遠足前日になると、“チョコレートは溶けるからダメ”と担任の先生に言われたものだが、言うこと聞かずにチョコレートを持参する生徒がいて、本当に溶けていたことを思い出した。
昼食は歩きながら食べるという、けっして行儀のよくないことをしているが、この日は30分前までJR東日本207系試作車を追っていたため、ゆっくり昼食をとる時間がない。
綾瀬車両管理所へ到着。ここは2年に1回の割合で、イベントが行なわれているイメージがあり、2007年秋には『タモリ倶楽部』のロケを実施していた。それを知っている人々は少なくないようで、口にする人々を見かけた。ちなみに私が『タモリ倶楽部』を見るようになったのは、2007年の地下鉄80周年特集だった。また、そのあとに放送していた『爆笑問題の検索ちゃん。』は面白かったものの、2009年9月に惜しまれつつ終了した。
さて、綾瀬車両管理所に入って目につくのは、駐輪場。今まで車両基地イベントで駐輪場を見かけたことがなく、新鮮な光景だ。綾瀬車両管理所は住宅地にあるため、御近所からだと気軽に行けるようだ。
さぁー、まずは日比谷線初代車両、「マッコウクジラ」こと、3000系と御対面。帝都高速度交通営団(通称、「営団地下鉄」)時代の車両で、中間車は4000形、4500形が存在していた。また、東武鉄道(次からは「東武」と略す)と東京急行電鉄(通称、「東急」)のいずれかに乗り入れられない編成も存在していた。これでは柔軟な運用が組めず、冷房がないのもネックになり、昭和63年(1988年)に2代目車両の03系が投入されると、平成元年度(1989年度)から廃車が進み、平成6年(1994年)7月23日(土曜日)で役目を終えた。
中小私鉄にとって、3000系は“優良車両”で、台車やブレーキ装置といった下回りは富山地方鉄道、日立電鉄などに譲渡され、ボディーは別の車両と組み合わせて使用。平成4年度(1992年度)からは長野電鉄へ移籍し、平成10年(1998年)2月には、長野オリンピックのアクセス輸送をこなした。3000系は昭和39年(1964年)10月に行なわれた東京オリンピックのアクセス輸送をこなしており、同年以前に製造された車両は“2度目のオリンピック輸送”という快挙を成し遂げた。
その後、営団地下鉄時代には実現しなかった冷房改造が一部の車両で行なわれたものの、東急8500系が移籍して、今後は特急車以外でも冷房化が進むようだ。そのせいか、非冷房のまま役目を終えた3000系トップナンバー車が帰京(「帰郷」のほうが正しいか)。再び営業運転に就くことはないものの、綾瀬車両管理所でのんびり過ごしている。 日比谷線に戻れなかったのは、8両編成に組み直せないことやCS-ATC化されているためであろう。いまや東京メトロは、線路上に信号機がなくなったため、走る場所がない。
方向幕は「中目黒」を表示しているが、その後、「北千住」「東武動物公園」「仲御徒町」へ変わった。
3000系に入ってみるが、車内は東武っぽい。8000系が修繕される前や1800系ラストナンバー車のデッキと同じ茶系の化粧版が、“昭和”を物語る。私は営団地下鉄、長野電鉄ともに乗ったことがあり、前者は地下鉄のため、寒色系の雰囲気があった。これは私が初めて日比谷線を利用したときの車両は、当時、“売出し中”の03系だったため、3000系や東武2000系に乗ったときは、“古さ”を感じたものだ。
ところが、長野電鉄利用時は、営団地下鉄時代と同じような思いはしなかった。地上主体を走ることや、冬に乗っていることが多いとあり、暖色系の雰囲気を感じた。営団地下鉄時代は2~3回しか利用しなかったこともあり、“乗ってよかった”という思いもあるのだろう。 吊り手は意外にも人間工学に優れた三角形で、製造された昭和36年(1961年)には実用化されたということになるのだろうか? それとも、長野電鉄移籍時に取り替えたのか? 気になるところだ。
車内は暖房がポッカポッカに効いている。長野電鉄移籍時に耐寒耐雪改造が施されているので、そのせいなのだろう。首都圏の車両はガンガンかかっているわけではないから。
ワインレッドのロングシートに坐ると、驚いたことに坐り心地がいい。JR東日本209系以来、ロングシートは硬めが標準となっており、評判がよくない声を聞くが、昔の車両は坐り心地がよかったことを実感する。ただ、坐り心地がいいぶん、定員通りに着席できない難点があり、バケットタイプにするのが実情である。
天井には換気扇のようなものがあり、非常灯が備わっている。昔の鉄道車両は非常灯がついており、照明が切れたときには点灯していたが、今では一部がそれを兼ねているのが主流だ。
乗務員室は車内と同じ化粧版が使われており、一体感がある。03系に限ったことではないが、乗務員室の多くは綺麗に見えないグリーンで、車両によっては、客室との差が明確過ぎる。それに色を見ると、“陰湿”な印象を利用客に与えるのではないだろうか。
関西の私鉄の多くは、乗務員室も見栄えを重視しているようだ。例えば、阪急電鉄は乗務員室も木目調だし、JR西日本221系、207系などは前面展望を考慮して、窓を大きくしているため、客室のイメージを損なわないようにしている。関東地方は1990年代後半から、乗務員室の内装をグレーにするところが増えており、見栄えは改善されている。
◆予定変更の車両撮影会
車両撮影会へ向かう。車両基地イベントの目玉の1つといえるもので、3つの車両がモデルを務めている。
左から順に紹介すると、まずは10000系。副都心線のエースであるが、有楽町線にも使われる。当初は20編成を投入する予定だったが、増備が続いており、VVVFインバータ化改造されないオリジナルの7000系を置き換えている模様である。ちなみに種別と行先は「各停市ヶ谷」であるが、この車両撮影会は、時間帯によって行先表示がコロコロ変わり、再び足を向けると、「準急新木場」に変わっていた。
次は千代田線06系。わずか1編成しかなく、増備されるかどうかは未定。種別と行先は「多摩急行取手」を表示。実際に多摩急行がJR東日本常磐線に直通する運用がある。また、多摩急行は誕生当初、小田急電鉄の種別表示が緑は「多摩」、赤は「急行」と表示されていたが、2004年からはピンク字に白抜きの文字に変わっている。東京メトロは6000系方向幕車について、小田急電鉄に準じているものの、06系や6000系方向LED車はフルカラーLEDを搭載していないため、旧来の表示を続けている。
06系は『東京メトロスマイルフェスタ’09 in AYASE』のステッカーを貼り、主役であることをアピール。また、再び足を向けたとき、方向LEDは「代々木上原」に変わっていた。
最後に南北線9000系。こちらは最新増備車の第23編成で、フェイスチェンジのほか、火災対策の強化、ドア上にある情報案内装置をLCD化、冷房能力の向上、座席幅を1センチ拡大、車端部の荷棚と優先席の吊り手位置を低くして、安全性と使いやすさの向上を図っている。また、従来の9000系は4M2Tだったが、第22・23編成は3M3Tに改めている。ちなみに南北線は東急目黒線との相互直通運転時に、8両編成化する予定だったものの、いまだ6両編成のままである。
方向LEDは「麻布十番」を表示。昔はテレビのCMで、「カステラ1番、電話は2番、麻布は十番」というフレーズはなく、「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂」というのはあった。ちなみに再び足を向けたとき、方向LEDは「白金高輪」に変わっていた。
さて、入場受付で案内チラシをいただいたが、車両撮影会は当初、左側は9000系、右側は10000系になる予定だった。ところが、なんらかの事情により、左右入れ替わった。チラシの右下に「各イベントの内容、実施時間、設置場所、車両形式等は都合により変更になることがあります」と書かれているので、気にすることはない。
千代田線の車両基地を兼ねている綾瀬車両管理所に、10000系と9000系フェイスチェンジ車が姿を見せている理由は、千代田線霞ケ関(C-08)と有楽町線桜田門(Y-17)は線路がつながっているからである。また、有楽町線市ヶ谷(Y-14)は、南北線(N-09)にワープできる。
ところで、この記事を作成中、「霞ケ関」と「市ヶ谷」は、「が」の字がなぜか異なっていることに気づいた。ちなみにJR東海の東海道本線のセキガハラ駅を漢字で書くと、「関ケ原駅」となる。つまり、「関ヶ原駅」は間違えなのだ。
車両撮影会の近くでは、6000系が休んでいる。ここまで1両も廃車されていないが、40年近くなると、そろそろ気になるところ。6000系は平成2年(1990年)まで20年近く増備されたため、すぐなくなるわけではない。また、一部は電機子チョッパ制御の方向幕から、VVVFインバータ制御の方向LEDに更新されており、延命を図っている(電機子チョッパ制御でも、方向LEDに更新した編成もある)。画像の右端にある第3編成の側扉を見ると、大阪市交通局30系、60系にそっくりだが、初期の6000系は開閉が大雑把である(30系、60系は滑らかな開閉であるが、後者は2003年に退役した)。
先日、千代田線6000系第34編成を利用したが、1・10号車以外、大幅に入れ替えていた。2号車は6300形、3号車は6400形、4号車は6500形、5号車は6700形、6号車は6800形で、7~9号車は発車されてしまったため、残念ながらすべてチェックできなかったが、見当はつく。これは私の予想だが、7号車は6600形、8号車は6200形、9号車は6900形だろう。
根拠は7000系で、VVVFインバータ10両車の6M4T編成は、副都心線兼用になるため、編成替えが行なわれているからだ。その順序は6000系第34編成の1~6・10号車と同じなのである(詳細はデーターを参照)。
6000系第34編成は、電機子チョッパ制御のままだが、なぜ組み替えたのかは不明。おそらく、副都心線運用を兼ねる7000系10両車のモデルケースとなったのではないかと思われる。
◆どこでも人気の車体吊り上げ
工場棟に入ると、高所作業車乗車体験が行なわれている。これは事前応募制だが、実際に作業員が使っているものに乗り、電車の屋根を間近で見られるものだ。屋根には冷房機、パンタグラフなどがある。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
ドア開閉操作体験は、幼児に大人気。実車ではなく、9000系をモデルにしたものを使用。ドア上には、1行の文字数が少ない2段式情報案内装置があり、実車の雰囲気をできるだけ醸し出しているが、ドアチャイムはJR東日本首都圏のATSの音である。東京メトロのドアチャイムは「パンポーン、パンポーン」だが、9000系は南北線の駅は目黒以外、ガラス張りのホームドアがあるせいか、「パンポーン」のみ。10000系はJR東日本首都圏の通勤・近郊形電車と同じで、2010年春にデビューする予定の15000系が気になるところ。
いよいよ、車体吊上げ実演へ。1時間ごとに行なわれており、14時は最後の回となる。
モデルは6000系第16編成の10号車6016。工場棟には6~10号車が置かれており、検査を受けている。1~5号車は車庫に留置されているのだろう。
徐々にギャラリーが集まり、いよいよスタート。年輪を感じさせるクレーンで高々というほどでもないが、電車は上がり、宙を舞う。そのあと、右へ移動し、下で待ち構えている台車へ。慎重に下ろし、台車を履く。これが終わると、元の位置へ戻す。車体や機器類を傷つけてはいけないため、こちらも慎重に下ろしてゆく。
6000系第16編成の気になるところは重量。電機子チョッパ制御から、VVVFインバータ制御に変わったせいか、若干の変動があった。また、新製時は重量を「瓲」という漢字を使っていたが、重量変更時は「t」のシールを貼っている。
さて、綾瀬車両管理所に入って目につくのは、駐輪場。今まで車両基地イベントで駐輪場を見かけたことがなく、新鮮な光景だ。綾瀬車両管理所は住宅地にあるため、御近所からだと気軽に行けるようだ。
さぁー、まずは日比谷線初代車両、「マッコウクジラ」こと、3000系と御対面。帝都高速度交通営団(通称、「営団地下鉄」)時代の車両で、中間車は4000形、4500形が存在していた。また、東武鉄道(次からは「東武」と略す)と東京急行電鉄(通称、「東急」)のいずれかに乗り入れられない編成も存在していた。これでは柔軟な運用が組めず、冷房がないのもネックになり、昭和63年(1988年)に2代目車両の03系が投入されると、平成元年度(1989年度)から廃車が進み、平成6年(1994年)7月23日(土曜日)で役目を終えた。
中小私鉄にとって、3000系は“優良車両”で、台車やブレーキ装置といった下回りは富山地方鉄道、日立電鉄などに譲渡され、ボディーは別の車両と組み合わせて使用。平成4年度(1992年度)からは長野電鉄へ移籍し、平成10年(1998年)2月には、長野オリンピックのアクセス輸送をこなした。3000系は昭和39年(1964年)10月に行なわれた東京オリンピックのアクセス輸送をこなしており、同年以前に製造された車両は“2度目のオリンピック輸送”という快挙を成し遂げた。
その後、営団地下鉄時代には実現しなかった冷房改造が一部の車両で行なわれたものの、東急8500系が移籍して、今後は特急車以外でも冷房化が進むようだ。そのせいか、非冷房のまま役目を終えた3000系トップナンバー車が帰京(「帰郷」のほうが正しいか)。再び営業運転に就くことはないものの、綾瀬車両管理所でのんびり過ごしている。 日比谷線に戻れなかったのは、8両編成に組み直せないことやCS-ATC化されているためであろう。いまや東京メトロは、線路上に信号機がなくなったため、走る場所がない。
方向幕は「中目黒」を表示しているが、その後、「北千住」「東武動物公園」「仲御徒町」へ変わった。
3000系に入ってみるが、車内は東武っぽい。8000系が修繕される前や1800系ラストナンバー車のデッキと同じ茶系の化粧版が、“昭和”を物語る。私は営団地下鉄、長野電鉄ともに乗ったことがあり、前者は地下鉄のため、寒色系の雰囲気があった。これは私が初めて日比谷線を利用したときの車両は、当時、“売出し中”の03系だったため、3000系や東武2000系に乗ったときは、“古さ”を感じたものだ。
ところが、長野電鉄利用時は、営団地下鉄時代と同じような思いはしなかった。地上主体を走ることや、冬に乗っていることが多いとあり、暖色系の雰囲気を感じた。営団地下鉄時代は2~3回しか利用しなかったこともあり、“乗ってよかった”という思いもあるのだろう。 吊り手は意外にも人間工学に優れた三角形で、製造された昭和36年(1961年)には実用化されたということになるのだろうか? それとも、長野電鉄移籍時に取り替えたのか? 気になるところだ。
車内は暖房がポッカポッカに効いている。長野電鉄移籍時に耐寒耐雪改造が施されているので、そのせいなのだろう。首都圏の車両はガンガンかかっているわけではないから。
ワインレッドのロングシートに坐ると、驚いたことに坐り心地がいい。JR東日本209系以来、ロングシートは硬めが標準となっており、評判がよくない声を聞くが、昔の車両は坐り心地がよかったことを実感する。ただ、坐り心地がいいぶん、定員通りに着席できない難点があり、バケットタイプにするのが実情である。
天井には換気扇のようなものがあり、非常灯が備わっている。昔の鉄道車両は非常灯がついており、照明が切れたときには点灯していたが、今では一部がそれを兼ねているのが主流だ。
乗務員室は車内と同じ化粧版が使われており、一体感がある。03系に限ったことではないが、乗務員室の多くは綺麗に見えないグリーンで、車両によっては、客室との差が明確過ぎる。それに色を見ると、“陰湿”な印象を利用客に与えるのではないだろうか。
関西の私鉄の多くは、乗務員室も見栄えを重視しているようだ。例えば、阪急電鉄は乗務員室も木目調だし、JR西日本221系、207系などは前面展望を考慮して、窓を大きくしているため、客室のイメージを損なわないようにしている。関東地方は1990年代後半から、乗務員室の内装をグレーにするところが増えており、見栄えは改善されている。
◆予定変更の車両撮影会
車両撮影会へ向かう。車両基地イベントの目玉の1つといえるもので、3つの車両がモデルを務めている。
左から順に紹介すると、まずは10000系。副都心線のエースであるが、有楽町線にも使われる。当初は20編成を投入する予定だったが、増備が続いており、VVVFインバータ化改造されないオリジナルの7000系を置き換えている模様である。ちなみに種別と行先は「各停市ヶ谷」であるが、この車両撮影会は、時間帯によって行先表示がコロコロ変わり、再び足を向けると、「準急新木場」に変わっていた。
次は千代田線06系。わずか1編成しかなく、増備されるかどうかは未定。種別と行先は「多摩急行取手」を表示。実際に多摩急行がJR東日本常磐線に直通する運用がある。また、多摩急行は誕生当初、小田急電鉄の種別表示が緑は「多摩」、赤は「急行」と表示されていたが、2004年からはピンク字に白抜きの文字に変わっている。東京メトロは6000系方向幕車について、小田急電鉄に準じているものの、06系や6000系方向LED車はフルカラーLEDを搭載していないため、旧来の表示を続けている。
06系は『東京メトロスマイルフェスタ’09 in AYASE』のステッカーを貼り、主役であることをアピール。また、再び足を向けたとき、方向LEDは「代々木上原」に変わっていた。
最後に南北線9000系。こちらは最新増備車の第23編成で、フェイスチェンジのほか、火災対策の強化、ドア上にある情報案内装置をLCD化、冷房能力の向上、座席幅を1センチ拡大、車端部の荷棚と優先席の吊り手位置を低くして、安全性と使いやすさの向上を図っている。また、従来の9000系は4M2Tだったが、第22・23編成は3M3Tに改めている。ちなみに南北線は東急目黒線との相互直通運転時に、8両編成化する予定だったものの、いまだ6両編成のままである。
方向LEDは「麻布十番」を表示。昔はテレビのCMで、「カステラ1番、電話は2番、麻布は十番」というフレーズはなく、「カステラ1番、電話は2番、3時のおやつは文明堂」というのはあった。ちなみに再び足を向けたとき、方向LEDは「白金高輪」に変わっていた。
さて、入場受付で案内チラシをいただいたが、車両撮影会は当初、左側は9000系、右側は10000系になる予定だった。ところが、なんらかの事情により、左右入れ替わった。チラシの右下に「各イベントの内容、実施時間、設置場所、車両形式等は都合により変更になることがあります」と書かれているので、気にすることはない。
千代田線の車両基地を兼ねている綾瀬車両管理所に、10000系と9000系フェイスチェンジ車が姿を見せている理由は、千代田線霞ケ関(C-08)と有楽町線桜田門(Y-17)は線路がつながっているからである。また、有楽町線市ヶ谷(Y-14)は、南北線(N-09)にワープできる。
ところで、この記事を作成中、「霞ケ関」と「市ヶ谷」は、「が」の字がなぜか異なっていることに気づいた。ちなみにJR東海の東海道本線のセキガハラ駅を漢字で書くと、「関ケ原駅」となる。つまり、「関ヶ原駅」は間違えなのだ。
車両撮影会の近くでは、6000系が休んでいる。ここまで1両も廃車されていないが、40年近くなると、そろそろ気になるところ。6000系は平成2年(1990年)まで20年近く増備されたため、すぐなくなるわけではない。また、一部は電機子チョッパ制御の方向幕から、VVVFインバータ制御の方向LEDに更新されており、延命を図っている(電機子チョッパ制御でも、方向LEDに更新した編成もある)。画像の右端にある第3編成の側扉を見ると、大阪市交通局30系、60系にそっくりだが、初期の6000系は開閉が大雑把である(30系、60系は滑らかな開閉であるが、後者は2003年に退役した)。
先日、千代田線6000系第34編成を利用したが、1・10号車以外、大幅に入れ替えていた。2号車は6300形、3号車は6400形、4号車は6500形、5号車は6700形、6号車は6800形で、7~9号車は発車されてしまったため、残念ながらすべてチェックできなかったが、見当はつく。これは私の予想だが、7号車は6600形、8号車は6200形、9号車は6900形だろう。
6000系第34編成の編成替え表 | ||||
千代田線 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 |
代々木上原 | 1 | 6134 | ○ | 女性専用車 |
2 | 6334 | ○ | なし | |
3 | 6434 | ○ | なし | |
4 | 6534 | ○ | 弱冷房車 | |
5 | 6734 | ○ | なし | |
6 | 6834 | ○ | なし | |
7 | 6634 | ○ | 予想 | |
8 | 6234 | ○ | 予想 | |
9 | 6934 | ○ | 予想 | |
綾瀬 | 10 | 6034 | ○ | なし |
女性専用車について | ||||
①平日7時10分から9時30分まで、綾瀬及び代々木上原を発車する便に該当。 | ||||
②JR東日本常磐線は、平日の綾瀬7時10分から9時30分までに発車する各駅停車に該当。 | ||||
③小田急電鉄は、平日の代々木上原7時10分から9時30分までに発車する急行、準急に該当。 | ||||
④平日9時30分で一斉終了となる。 | ||||
⑤小学生以下や、身障者と介護者の男性は乗車できる。 |
7000系副都心線兼用車編成表 | ||||
有楽町線 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 |
和光市 | 1 | 7000 | ○ | 女性専用車 |
2 | 7900 | ○ | なし | |
3 | 7200 | ○ | なし | |
4 | 7600 | ○ | なし | |
5 | 7800 | ○ | なし | |
6 | 7700 | ○ | なし | |
7 | 7500 | ○ | なし | |
8 | 7400 | ○ | なし | |
9 | 7300 | ○ | 弱冷房車 | |
新木場 | 10 | 7100 | ○ | なし |
女性専用車について | ||||
①有楽町線と副都心線は平日7時06分以降に和光市、7時20分以降に小竹向原を発車する便に該当。 | ||||
②東武鉄道東上本線は平日の和光市7時06分以降発、西武鉄道池袋線・西武有楽町線は平日の小竹向原7時20分以降発の便に該当。 | ||||
③有楽町線と副都心線は平日9時20分で一斉に終了する。 | ||||
④小学生以下や、身障者と介護者の男性は乗車できる。 |
根拠は7000系で、VVVFインバータ10両車の6M4T編成は、副都心線兼用になるため、編成替えが行なわれているからだ。その順序は6000系第34編成の1~6・10号車と同じなのである(詳細はデーターを参照)。
6000系第34編成は、電機子チョッパ制御のままだが、なぜ組み替えたのかは不明。おそらく、副都心線運用を兼ねる7000系10両車のモデルケースとなったのではないかと思われる。
◆どこでも人気の車体吊り上げ
工場棟に入ると、高所作業車乗車体験が行なわれている。これは事前応募制だが、実際に作業員が使っているものに乗り、電車の屋根を間近で見られるものだ。屋根には冷房機、パンタグラフなどがある。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
ドア開閉操作体験は、幼児に大人気。実車ではなく、9000系をモデルにしたものを使用。ドア上には、1行の文字数が少ない2段式情報案内装置があり、実車の雰囲気をできるだけ醸し出しているが、ドアチャイムはJR東日本首都圏のATSの音である。東京メトロのドアチャイムは「パンポーン、パンポーン」だが、9000系は南北線の駅は目黒以外、ガラス張りのホームドアがあるせいか、「パンポーン」のみ。10000系はJR東日本首都圏の通勤・近郊形電車と同じで、2010年春にデビューする予定の15000系が気になるところ。
いよいよ、車体吊上げ実演へ。1時間ごとに行なわれており、14時は最後の回となる。
モデルは6000系第16編成の10号車6016。工場棟には6~10号車が置かれており、検査を受けている。1~5号車は車庫に留置されているのだろう。
徐々にギャラリーが集まり、いよいよスタート。年輪を感じさせるクレーンで高々というほどでもないが、電車は上がり、宙を舞う。そのあと、右へ移動し、下で待ち構えている台車へ。慎重に下ろし、台車を履く。これが終わると、元の位置へ戻す。車体や機器類を傷つけてはいけないため、こちらも慎重に下ろしてゆく。
6000系第16編成の気になるところは重量。電機子チョッパ制御から、VVVFインバータ制御に変わったせいか、若干の変動があった。また、新製時は重量を「瓲」という漢字を使っていたが、重量変更時は「t」のシールを貼っている。
東京メトロ6000系第16編成重量表 | ||||||
号車 | 車両番号 | 前重量 | → | 現重量 | ||
6 | 6616 | 22.9 | 瓲 | → | 26.5 | t |
7 | 6716 | 33 | 瓲 | → | 34.9 | t |
8 | 6816 | 30.2 | 瓲 | → | 31.2 | t |
9 | 6916 | 33 | 瓲 | → | 34.9 | t |
10 | 6016 | 31.5 | 瓲 | → | 33.4 | t |
ぐるっと車輪くんは、小学生以下に限定されたもので、大人の力を借りれば、車輪はコロコロ動かせる。
工場棟を出ると、雨がポツリと降り出し、休憩用車両へ移動。7000系副都心線用で、8両編成では運行されることがありえない「急行渋谷」を表示。その後も車両を撮影していたが、イベント終了の15時が近づくと、本降りとなり、JR東日本207系試作車の別れを惜しむ涙雨のようであった。
★東京メトロからのお知らせ
危険物の持ち込みは厳禁です。
★備考
①eyeVio「東京メトロスマイルフェスタ’09 in AYASE」
②参考資料として、交通新聞社刊行、『鉄道ダイヤ情報2008年7月号』を使用。
③参考資料として、鉄道ジャーナル社刊行、『鉄道ジャーナル1994年10月号』を使用。
④岸田法眼のRailway Blog.「JR東日本207系フォーエヴァーTHE LAST RUN.」
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