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2009年の汽車旅4-5 [汽車旅2009]

◆下記の記事をまだ御覧になっていない方は、下記のURLへクリックしてください。

・2009年の汽車旅4-1
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2010-01-07

・2009年の汽車旅4-2
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2010-01-13

・2009年の汽車旅4-3
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2010-01-17

・2009年の汽車旅4-4
http://railway583.blog.so-net.ne.jp/2010-02-01

◆再び本州へ

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関門橋方面へ歩く。早鞆ノ瀬戸(Hayatomo-no-Seto)は、曇り空だけど綺麗で、“真っ正直な色”をしている。江戸時代の東京湾(当然のことながら、江戸時代は「東京湾」と呼ばれていない)もこういう感じだったと思うが、その時代から埋め立てをしており、昭和の高度経済成長期になると、東京側は工業地帯化させるため、海を浄化する役割を持つ干潟が消されてしまい、現在のような汚れた海へ悪化してしまった。しかし、東京湾の房総半島側は干潟が残っているため、海は綺麗な色をしている。また、サンゴがあり、東京湾は、すべて汚いわけではない。



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関門海峡は船の往来が多く、交通の要衝であることを実感する。今まで関門海峡はJR九州でしか渡ったことがなく、山口県下関市は本当に目と鼻の先にある。また、地図を見る限り、門司港駅と下関駅の位置は意外と横並びになっている。そして、関門トンネルの本州側は、彦島という離島に設置されている。ちなみに関門海峡は、明治5年(1872年)8月、我が国で初めて、約900メートルの海底電信線が敷設されている。下関市と北九州市は、明治時代から“地続き”となっていた。また、関門トンネルは世界初の海底トンネルである。

関門国道トンネルの人道入口に到着。人道は6時から22時までしか使えないという難点があり、もし、間に合わなかった場合は、関門国道トンネルを経由するバスを利用することになる。また、人道は基本的に無料だが、原付50cc以下と自転車は20円かかる(料金はすべて、本州側で払う)。さらに二輪車用トラック、自転車用トラックが運行されており、こちらも便利だ。

定員40人のエレベーターに乗り、約30秒で地下10階に相当するという人道へ。下関市側のエレベーターまでの所要時間は、13分かかるというが、関門国道トンネル人道にチャレンジ!!

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人道内は冷房がなく、“イイ汗かいてるぅー”という感覚だ。ここをジョギングコースにする人がいる。もしかすると、通勤コースにしている人もいるのかもしれない。天井はクルマの往来が、ひっきりなしに聞こえてくる。



関門国道トンネルは、昭和12年(1937年)に計画され、昭和14年(1939年)5月12日(金曜日)に着工した。すでに関門トンネルは工事が進んでおり、昭和17年(1942年)6月20日(土曜日)に貨物列車、11月15日(日曜日)に旅客列車の運行を開始。当時は単線だったが、上り線用の単線トンネルを増設したことにより、昭和19年(1944年)9月9日(土曜日)に複線化されている。このため、関門トンネルの下り線は全長3614メートル、上り線は全長3604メートルと異なっている。

関門国道トンネルは、昭和19年(1944年)12月に道杭が貫通したものの、第2次世界大戦の激化により、昭和20年(1945年)7月から7年間の中断を余儀なくされたが、昭和33年(1958年)3月9日(日曜日)に開通。全長3461.4メートル(人道は780メートル)あり、上層は車道(国道2号線)、下層は人道になっているが、後者は海底部分のみに設けている。また、道路整備特別措置法により、工事が再開されたため、関門国道トンネルは当初から有料道路になっている(参考までに総工事費は57億円)。ちなみに民主党のマニフェストで、高速道路の無料化を掲げているが、関門国道トンネルについては、有料のままになりそうだ。

さて、関門国道トンネルは海底トンネルのため、1日4800トンの海水がトンネルの中にしみ出しており、山口・福岡両県側に水抜き専用の立杭を設け、排水ポンプで地上にくみ出しているという。また、万一に備え、自家用発電設備を設けて、停電が発生した際に使われている。

関門国道トンネルの開通は、本州と九州をより身近にさせ、昭和38年(1963年)4月1日(月曜日)に北九州市が誕生。その一方で、下関―門司間の国鉄航路は、利用客が減少し、昭和39年(1964年)10月31日(木曜日)で運航を終了している。

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昭和48年(1973年)11月14日(水曜日)、全長1068メートルの関門橋が開通し、本州と九州は高速道路でも結ばれた。のちに関門橋を通り、大阪(阪急梅田)―西鉄天神バスセンター間を結ぶ夜行高速バス、〈ムーンライト号〉が誕生し、成功を収めると、次々と新しい路線が開拓され、夜行列車を蹴散らしてゆく。

10時36分、山口県へ。再び本州入りしたことになる。携帯電話(ドコモのFOMA)を見ると、福岡県側は電波が立っていたが、山口県へ入ると、圏外主体だった。



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10時43分、地上へ。関門橋は九州に向いており、風は強く、ひんやりした空模様だ。横断歩道を渡ると、みもすそ川公園があり、九州に向けて、大量の大砲がセッティングされている。そのうちの1つは東屋にセッティングされており、“個性的”だ。

これは天保製長州砲で、江戸時代末期に使われたもの。しかし、戦利品として外国に運び去られてしまい、国内から姿を消していたが、昭和41年(1966年)春、作家の古川薫がパリの軍事博物館で、天保製長州砲を発見。それ以来、政府は返還交渉を行なったところ、安倍晋太郎外務大臣(当時。安倍晋三元総理大臣は息子にあたる)の熱意と、フランス政府の好意により、昭和59年(1984年)6月、「貸与」というカタチで、下関市へ里帰りをした。

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みもすそ川公園には、源義経、平知盛の各像があり、そこにはNHK大河ドラマ、『義経』の出演者、滝沢秀明、小泉孝太郎、中越典子の手形とサインが飾られている。2つの像は、いずれも後方に見える関門海峡から目を背けており、九州に視線を向けていない。下関市の観光名所であることをアピールするかのようだ。

下関市の山側に目を向けると、ロープウェイが見える。これは壇の浦―火の山間を結ぶもので、下関市が事業者として運行している。ちなみにロープウェイやゴンドラリフトなどは「普通索道」、リフトなどは「特殊索道」とみなされており、これらを「索道事業」と呼ぶ。

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さて、下関駅側から2階建ての真っ赤なロンドンバスが姿を現した。高速道路を走る2階建てバスに比べると、小ぶりだが、そのぶん、英国の雰囲気とお茶目な姿が目立つ。1階と2階の境界線を表すかのような金帯がアクセントになっており、ボディーカラーの単調さをなくしている。

◆2つの日本記録を持つ門司港レトロ観光線

10時56分、関門国道トンネル人道へ戻り、10時59分にスタート。往路は歩いていたが、今度は走ってみることにしよう。

県境で1分“停車”し、11時04分に再び九州側のエレベーターに到着。人道は徒歩13分、走ると5分で、往復のジョギングには便利かもしれない。

11時06分に地上へあがり、関門海峡めかり駅へ戻るものの、レールがどこで果てるのかが気になり、再び道路を歩く。さいわい、道路は線路に沿っており、見つけやすそう。



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途中、鉄道敷地が広々としているところがあり、ここは田野浦公共臨港鉄道雨ケ窪駅が存在していたところだ。回送線上のレールは雑草が生えており、回送線であるせいか、刈り取ろうという意思がなく、廃線とカン違いされても仕方がないほど。また、回送線の外側は、古びたレール、信号、枕木などは廃材と化しており、放置している状態。古びたレールが再利用される日があるかどうか?

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大久保踏切を渡ったところで、レールが果てるところを見つけた。ネグラ小屋となる瀬戸町車庫を突破したところで、車止めはないものの、レールが「へ」の字に曲げている。その先もレールが延びているが、立ち入り禁止になっており、時間の都合もあって、深追いはしなかった。

瀬戸町車庫は“新築”されたもので、その先にある建物はボロボロ。使いものにならないようだが、取り壊されていない。ちなみに瀬戸町車庫から先は、意外にも立ち入り禁止になっておらず、しかも、軽自動車が駐車していることから、あっさり入った。軽自動車が駐車できるということは、廃線跡という証である。

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11時48分に関門海峡めかり駅へ戻り、復路の『潮風号』を待つ。12時00分に発車する九州鉄道記念館行き(1号車自由席トラ701:非冷房車)は、全車自由席で、11時55分に入線。2両とも満席という状況で降りていったが、復路は全員ラクに坐れた。

九州鉄道記念館行き編成表
乗車区間号車車両番号禁煙備考
九州鉄道記念館なしDB102全区間牽引
 2トラ702自由席、非冷房車
 1トラ701自由席、非冷房車
関門海峡めかりなしDB101全区間牽引

12時00分に発車。雨がやんだせいか、窓はほぼ全開。スタッフは全員手を振って、「いってらっしゃーい」と、すべての乗客に声をかける。そして、沿線で保線作業をしていた係員も中断して、「いってらっしゃーい」と言いたげに手を振る。先頭のディーゼル機関車、DB102は和布刈トンネルへ入るときと、出るときに警笛を鳴らすが、大阪市交通局10系オリジナル車っぽい音色だ。



次はノーフォーク広場

距離の短い旅客路線ベスト3
順位鉄道事業社名路線名営業キロ
第1位平成筑豊鉄道門司港レトロ観光線2.1キロ
第2位芝山鉄道芝山鉄道線2.2キロ
第3位紀州鉄道紀州鉄道線2.7キロ

女性スタッフによると、門司港レトロ観光線は、旅客路線わずか2.1キロ(回送線は除外)しかなく、日本一短い旅客路線の記録を塗り替えた。また、『潮風号』の最高速度は、たった15㎞/h!! 日本一最高速度が低い旅客路線にもなり、2つの日本記録を更新した(2番目に最高速度が低い路線は、どこなのでしょう?)。

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和布刈トンネルを抜け、黒川紀章デザインのマンション、レトロマイハートが見えると、出光美術館へ。意外にも下車客が多く、12時10分、終点九州鉄道記念館に到着した。折り返し、12時15分発の臨時便として、関門海峡めかりへ向かうが、ホームは大盛況で、いくら自由席があっても、“全員着席重視”のため、“積み残し”が発生した。

門司港レトロ観光線の2009年シーズンは、18萬人以上を動員し、12月以降は“冬眠”に入る予定だったが、2010年3月12日(金曜日)まで、団体利用の貸し切り列車のみ運行することが決定した(ただし、2009年12月31日から2010年1月3日までと、2月15日から2月28日までを除く)。また、2010年シーズンは3月13日(土曜日)に開幕。定期便は1往復増発して、1日14往復になる。

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この好調が強い追い風となり、国土交通省の日本鉄道賞表彰選考委員会は、機能しなくなった貨物線の再利用、ほかの鉄道で使用された車両を移籍させたことなどによって、コストを抑えたトロッコ列車が運行され、観光振興に貢献したことを高く評価。門司港レトロ観光線に廃線文化観光賞の贈呈を決定し、2009年10月14日(水曜日・鉄道の日)に受賞した。ただし、受賞したのは平成筑豊鉄道ではなく、北九州市である。ちなみに門司港レトロ観光線は、平成筑豊鉄道は第2種鉄道事業者、北九州市は第3種鉄道事業者である。

★備考

eyevio「2009年の汽車旅4」 



平成筑豊鉄道ホームページ 

③国土交通省ホームページ http://www.mlit.go.jp/

④参考資料として、国土交通省鉄道局監修、『平成二十一年度 鉄道要覧』を使用。

⑤参考資料として、交通新聞社刊行、『鉄道ダイヤ情報2009年5月号』を使用。

⑥参考資料として、鉄道ジャーナル社刊行、『鉄道ジャーナル1992年11月号』を使用。

⑦明治5年(1872年)までは天保暦(旧暦)、明治6年(1873年)からは太陽暦(グレゴリオ暦)を使っています。このため、明治5年(1872年)12月は、わずか2日で明治6年(1873年)に変わりました。


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