拙著『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)、発売中!! くわしくは、こちらへ。
拙著『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)、2021年2月9日(火曜日)発売!! くわしくは、こちらへ。
拙著『大阪の地下鉄大研究』(天夢人刊)、2023年10月3日(火曜日)発売!! くわしくは、こちらへ。
●お問い合わせ、御依頼はこちらへ。
・Railway Blogのコメント、トラックバック承認制になっておりますので、御了承願います。
・Railway Blogに掲載されている本文、画像などの著作権は、各国の著作権法、各種条約及び、その他の法律で保護されています。これらのデータなどについて、私的使用、その他、法律で明示されている範囲を超えて、許可なく引用、複製、改編、転用、電磁的加工、送信、頒布、二次使用するなどの一切の行為は禁止しております。著作権法に関係なく、ルール、マナー、エチケットをすべて守っていただきますよう、お願いいたします(該当する行為があった場合、当方の顧問弁護士より、賠償金を請求させていただきます。必ずお支払いください)。また、新聞、雑誌など、各種メディア関係者で本文や画像の利用等を希望される場合は、お問い合わせフォームを御利用ください(原則として、本文や画像は有償とさせていただきます)。
暴れん坊583系2012-年末大暴れスペシャル!!- [プラットホーム2012]
①臨時寝台特急〈あけぼの81号〉弘前行き
◆マスコミと化したレールファン
2012年12月29日(土曜日)20時頃、JR東日本上野へ。東北本線14番線は、すでにレールファンが大集結し、“報道陣”と化している。鉄道に関心のない人々は、“何事か?”と思っている様子で、子細を警備員に訪ねていた。ある人はスーパースターがやってくるものと思っていたらしい。
20時07分、14番線に臨時寝台特急〈あけぼの81号〉弘前行きが入線した。多くのレールファンはカメラを高く上げて、夢中でシャッターを切っている。
14番線の車止めの先では、場所をわきまえず三脚2台を立てて撮影する未成年2人がいた。ホームの撮影では三脚、一脚を立ててはいけないのが基本だということをわかっていない(三脚、一脚を持ち上げるのはOKらしい)。数人の大人から怒号を浴びると、未成年2人は「わかりましたよ」と半ば逆ギレして、この場を去った。
発車まで30分近くあるせいか、ある程度撮影したら、後ろで待っている人々に譲っていた。後ろは満員電車に乗っているような感覚で、撮影を終えた人は集団を抜け出すのに手間取っていた。
◆久々に583系で運転
583系の臨時寝台特急〈あけぼの〉は、平成8年(1996年)夏季以来、16年ぶりの運転となる。久々にJR東日本の583系を見るが、年々重厚さが増していると思う。首都圏の在来線では、ステンレス車体の電車が圧倒的に多いからだろうか。
臨時寝台特急〈あけぼの81号〉は、「青森行き」ではなく「弘前行き」に疑問を感じる人が少なくないと思う(前回運転された1996年夏季も上野―弘前間で、当時は仙山線経由だった)。弘前―青森間を運転しない理由として考えられるのは、寝台特急〈あけぼの〉(定期)は、上野―秋田・大館間の乗車率が高いことや、翌朝に東京を発車する東北新幹線臨時〈はやて71号〉新青森行きの存在が大きいからだ。下記の行程表を御覧いただきたい。
■2012年12月29日(土曜日)旅立ち
上野(臨時寝台特急〈あけぼの81号〉弘前行き9081M)→837弘前855(普通電車青森行き639M)→933新青森934→940青森
■2012年12月30日(日曜日)旅立ち①
東京600(東北新幹線臨時〈はやて71号〉新青森行き8071B)→上野606→942新青森948(寝台特急〈あけぼの〉青森行き2021列車)→955青森
※寝台特急〈あけぼの〉青森行きは、立席特急券(500円)を購入した場合は2段式B寝台に、指定席特急券を購入した場合は、ゴロンとシートに乗車可能。
■2012年12月30日(日曜日)旅立ち②
東京600(東北新幹線臨時〈はやて71号〉新青森行き8071B)→上野606→942新青森1016(特急〈スーパー白鳥11号〉函館行き4011M)→1023青森
※特急〈白鳥〉〈スーパー白鳥〉〈つがる〉の自由席は、新青森―青森間利用のみ特急料金免除。
翌朝の東北新幹線臨時〈はやて71号〉新青森行きに乗れば、青森到着時刻は最短15分差なのである。さらに、上野から定期の寝台特急〈あけぼの〉青森行きに乗った場合、新青森へは臨時〈はやて71号〉が先に到着するのだ。
◆いよいよ発車
上野14番線は、「ララララララララ…」と発車ベルが鳴る。昔と変わらない音は、国鉄形車両の長距離列車がよく似合う。そして、側扉が閉まり、安全の確認をとると、運転士は警笛を高らかに鳴らし、20時35分に発車した。臨時寝台特急〈あけぼの81号〉弘前行きを見送ったレールファンの多くが上野を去り、一部は“残業”をする。ブルートレインの寝台特急〈あけぼの〉青森行きを撮影するためである。
20時50分、13番線に寝台特急〈あけぼの〉青森行きが入線した。頭端式ホームのため、電気機関車は推進運転を行なう。回送列車では先頭車となる24系25形100番代金帯の貫通扉が開いており、乗務員が注視している姿に緊張感が漂う。
急行〈あけぼの〉が消滅してから2年後の昭和45年(1970年)7月1日(水曜日)、臨時寝台特急〈あけぼの〉が登場した(3か月後に定期化)。当時は奥羽本線を全線走破し、一時期3往復運転されていた。その後、山形新幹線工事に伴い、福島―山形間を狭軌から標準軌に改軌することになった(一部区間は3線軌道)。このため、平成2年(1990年)9月1日(土曜日)から寝台特急〈あけぼの〉2往復は、2つのルートに分かれる。1往復は上野―小牛田―新庄―青森間のルート、もう1往復は寝台特急〈鳥海〉に改称し、上野―高崎―新津―新発田―秋田―青森間のルートとなった。
平成9年(1997年)3月22日(土曜日)に秋田新幹線〈こまち〉がデビューしたことに伴い、寝台特急〈あけぼの〉は上野―高崎―新津―新発田―秋田―青森間のルートに変わった。このため、同一ルートの寝台特急〈鳥海〉が消滅した(〈鳥海〉は急行、昼行特急、寝台特急で活躍した)。現在では、上野―青森間唯一の夜汽車である。
②臨時急行〈きたぐに〉大阪行き
◆気軽に乗れなくなった臨時急行〈きたぐに〉
2012年12月30日(日曜日)22時頃、JR東日本新潟へ。2013年まであと26時間となったが、万代口から東口までの通路を歩くと、師走という雰囲気がなく、“新年まであと少し”という実感が沸かない。
上越新幹線の終電は、〈Maxとき480号〉越後湯沢行きで、あと数分で発車する。長岡までなら信越本線の臨時普通電車長岡行き8458M(新潟22時49分発、長岡0時03分着。2003年2月28日までの平日運転。ただし、2012年12月31日から2013年1月3日まで運休)、普通電車長岡行き460M(新潟23時16分発、長岡0時30分着)に乗れば間に合うが、燕三条、浦佐、越後湯沢へは〈Maxとき480号〉越後湯沢行きに乗らなければならない。
東口の改札を通り、2番線へ。臨時急行〈きたぐに〉大阪行きが発車するホームだ。2012年3月17日(土曜日)のダイヤ改正で臨時列車に格下げされた。併せてダイヤも大幅に変更され、山科―近江塩津間は湖西線経由に変わった。大阪―新潟間の所要時間は、往年の寝台特急〈つるぎ〉よりも早い。
臨時急行〈きたぐに〉は、ゴールデンウィーク、お盆、年末年始に運転されている。定期時代は基本10両編成、多客期12両編成で運転されていたが、現在は7両編成だ。減車により、自由席、A寝台の設定をとりやめ、3段式B寝台とグリーン車のみとなったのがさびしい。私は「臨時寝台急行〈きたぐに〉」になると思っていたが、市販の時刻表及び、583系の絵入りヘッドマークと方向幕に星のマークはつかなかった。
東京と新潟は人口、列車本数とも歴然としており、1・2番線で臨時急行〈きたぐに〉大阪行きを待つレールファンや乗客は少ない。前日と違い、静かな雰囲気で撮影することができる。
◆雨の新潟に583系が現れる
22時27分、2番線に臨時急行〈きたぐに〉大阪行きがゆっくりとした速度で入線した。定期運転時代と同じ時刻に入線したが、発車時刻は大幅に繰り上げたため、ゆとりがなくなった。
JR西日本の583系は、塗装を変えているせいか、「重厚」というより、「軽快」なイメージを持つ。幸か不幸か、JR東日本新潟支社の電車は、国鉄鋼製車体が圧倒的に多く、115系は583系の“引き立て役”にならない。115系は一部を除き、塗装を変え、一部は車内をリニューアルされているが、国鉄の雰囲気がまだまだ残っている。
急行〈きたぐに〉が583系に変わったのは、昭和60年(1985年)3月14日(木曜日)のダイヤ改正からである。このダイヤ改正で消滅した583系の臨時急行〈立山〉に倣い、ひとつの編成に自由席、グリーン車、3段式B寝台を設定したほか、“急行〈きたぐに〉ならでは”として、サハネ581形をA寝台に改造したサロネ581形を連結させた(臨時エル特急〈雷鳥〉運転時のサロネ581形は、普通車扱い)。
583系置き換え当初のヘッドマークも臨時急行〈立山〉に倣い、「急行」のみだったが、昭和61年(1986年)8月中旬から向日町運転所(現・吹田総合車両所京都支所)職員の発案により、佐渡おけさを踊る女性と、日本海の海外線を描いたものに変わった。「試用」という名目で掲出した絵入りヘッドマークは、そのまま本採用となる。
平成6年(1994年)12月3日(土曜日)以降、急行〈きたぐに〉は583系唯一の定期列車として、ひときわ注目を集める存在となる。それとともに、急行〈きたぐに〉に“後継車”が現れず、夜行列車衰退の影響を受けていたといえる。
◆JR西日本583系、あと数年で消滅?!
臨時急行〈きたぐに〉大阪行きは、そこそこの乗車率で22時37分に発車し、闇の世界へ消えていった。
さて、国鉄が分割民営化された際、583系はJR東日本141両、JR西日本60両、JR北海道7両をそれぞれ保有した。その後、JR東日本所属車は徐々に廃車が進み、JR北海道所属車は1度も営業運転に就くことなく数年ですべて廃車(JR北海道所属車はすべてサハネ581形で、分割民営化直前に津軽海峡を渡った)、JR西日本所属車は20年以上安泰だった。現在、JR東日本所属車は6両、JR西日本所属車は21両しかない。
2012年12月19日(水曜日)、JR西日本は2016年春の予定で、京都市下京区観喜寺町に鉄道博物館(仮称)開業を発表した。展示車両は、500系量産車、489系ボンネット車、583系などを予定している。これにより、JR西日本所属の583系は、2016年春までに営業運転を終了する可能性が出てきた。2013年春季以降、臨時急行〈きたぐに〉を運転させるかどうかは未定だが、仮に1編成が廃車されてしまうと予備車がなくなり、上下列車とも隔日運転にして万全を期す可能性がある(突発的な車両故障が発生すると、運休になる恐れがあるため)。
JR西日本は、2013年3月16日(土曜日)のダイヤ改正で、485系改造の183系が定期運転を終える予定で、廃車になるのが目に見えている。同社は在来線の車両寿命を40年程度と考えており、485系、489系、183系、583系はそれに該当する。
現存する583系は、すべて車齢40年を超えている。JR東日本の現存6両については、2003年に大規模な修繕工事を行ない、美しい姿によみがらせた。不慮の事故がなければ、まだまだ活躍すると信じている。
一方、JR西日本は「体質改善工事」を確立していない、平成3・4年度(1991・1992年度)に特別保全工事を実施した。車両リニューアル実施年を“折り返し地点”と考えた場合、限界が近づきつつある。
★備考
581/583系を使用した列車について(東北・常磐路編)
コメント 0