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暴れん坊583系2010 [プラットホーム2010]

◆2010年2月26日(金曜日)

21時30分頃、JR東日本総武本線両国へ。3番線は通常、解放されることはなく、5人ほどの男性が通路の入口で待っている。

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21時40分にシャッターが開き、赤じゅうたんという、VIP待遇な雰囲気で、ホームへ直行しようとするものの、なんと受付がゆく道を阻む?! 今回はJR東日本の旅行代理店、びゅうの企画によるもので、時刻表に掲載されていない団体列車だ。ちなみに赤じゅうたんを敷いている理由は、“滑りやすい”からである。

受付のうしろには、ビニール製手提げ袋による参加者への記念品プレゼントがズラリと置いてある。今回は秋田車両センター所属の583系ゴロンとシートによる運行だが、企画が「寝台列車で行く鉄道浪漫銚子への旅」であるせいか、浴衣、スリッパ、タオル、シーツ、空気枕、記念乗車証がプレゼントされている。臨時特急〈ふるさとゴロンと号〉や寝台特急〈あけぼの〉の指定席ゴロンとシートでは、ありえないものばかりだが、旅行代金は下段17000円(子供15000円)、上中段16000円(子供14000円)という“高額”なので、納得がいく。

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通路の側壁に設置されている照明は、明治や大正時代を思わせ、風情がある。そして、側壁にはパネルがあり、一部は“3番線の全盛期”を展示しており、40代以上の方には懐かしさがこみ上げてくるのではないだろうか。

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ここは空気を読んで、2番線に移動し、千葉寄りでマツコデラックスじゃなくて、待つことに変更するが、ホームの先端は黄色い線の外にある。最近、身勝手なレールファンの行動や態度が社会問題になっているせいか、ほどなくして駅員や警備員が現れる。すると、ベテランの駅員は3番線の撮影を勧める。意外な展開に「いいんですか?」と声が裏返りそうになった。

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再び3番線への通路に戻り、「写真撮影したいんですが」と受付で訪ねると、「どうぞ」と通してくれた。普段は空気を読むのがうまい私だが、珍しく読み違えた(自分で言うのもなんだが)。 受付を突破すると、3番線への階段は、ひなまつりデラックス!! 季節はまだ冬だが、“銚子は春爛漫なんだよ”と語り掛ける。

2002年11月24日(日曜日)以来、8年ぶりに3番線へ。当時に比べると、“プレミアホーム”という位置づけなのか、大幅にリニューアルされており、特注の駅名盤で、旅情をかきたてる。かつて、3番線は優等列車(おもに急行)の起点駅で、“房総の玄関口”だった。 私が見た限り、リニューアルされている点はほかに、3番線の「3」の字は国鉄バージョンから、JR東日本バージョンへ。一部の上屋は平たいものに更新し、路面は6両分を現代的な仕様に変えて、黄色い線を設置。7~10両編成の列車が運行することを想定しないのか、上屋がないほとんどの部分は舗装し直している。

3番線の向かい側は旧4番線で、2002年に来訪した時にはホームの役割を終えており、架線を撤去し、ロープを張っていた。旧4番線とその外側は、保守用車両の基地と化しており、3番線のリニューアルに伴い、柵を設置。また、3番線の錦糸町寄り先端は柵がなかったため、併せて設置し、安全対策に万全を施している。



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21時54分、1番線に「各駅停車武蔵小金井行き」という、三鷹以西に足を延ばす珍しい行先の電車のあとを追っていたかのように、3番線に583系が入線。私はホームにある「6」の字を目安に動画撮影をしていたものの、先頭1号車は上屋から外れていた。3番線は10両か11両編成分あるものの、上屋は5両分しかなく、まるでE257系500番代に合わせているかのようだ。しかし、3番線の上屋の長さは、以前と変わらない。また、枕木は木製のままで、昭和の情緒あふれる雰囲気を残している。

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乗車口は最後部6号車のみ。男女の係員各1人がきっぷを拝見する。募集人員は150人で、583系6両の寝台定員240人のため、少なめに設定している。これは2・5号車をボックスシートにしているためで、グループ客向けのフリースペースになっているからである(1・3・4・6号車の寝台定員は合計159人)。キュークツな3段式ゴロンとシートは“寝るだけ”の設備に特化している。こういう“簡易ロビーカー”は画期的なことで、国鉄時代なら営業休止の食堂車に相当するだろう。ちなみにJR西日本所属車は、サロ581形の一部座席をソファーに変えたサロンカーに改造している。

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ヘッドマークは1号車と6号車は異なったものを用意しており、前者は朝をイメージと思われる配色をした「いぬぼう」、後者は夕焼けをイメージしたと思われる配色をした「犬吠」である。ちなみに駅員は「寝台列車〈犬吠号〉」と案内していた。

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国鉄時代、両国―銚子間に急行〈犬吠〉を運行していた。2002年11月には翌年に退役することが決まっていた165系の花道として、臨時急行〈犬吠号〉を運行している(ほかに臨時急行〈内房号〉〈外房号〉〈鹿島号〉を運行)。2002年から2003年にかけて、583系や165系を使用した“なつかし列車”が大暴れをして、レールファンを魅了したが、なぜか鉄道ブームには至らなかった。

発車は23時17分のため、撮影する時間はたっぷりある。2番線から高みの見物で撮影するレールファンやヤジ馬もいるが、終電に間に合わないのか、発車時間が近づくことにレールファンは少し減る。雨が降っているため、大半は傘をささず、気合いを入れて撮影している。

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いよいよ発車時刻がせまってきた。3番線に発車メロディーがないため、駅員の放送が頼りだ。私は錦糸町寄りにいるので、推測になるが、車掌は笛を吹いて安全確認をしていることだろう。



「ホワーン」

23時17分、高らかな雄叫びをあげて、発車した。この電車は成田線経由で運行され、終点銚子には翌日の7時03分に到着。そのあとは銚子電気鉄道に乗って、観光をしていることだろう。

◆2010年2月27日(土曜日)

16時頃に再び両国へ。この日は総武本線千葉―銚子間、成田線佐倉―松岸・成田空港間で強風のため、遅延が発生しているという。そうなると、583系の到着時刻が遅れそうだ。

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3番線へは西口からでないと行けず、東口から入ると遠回りになる。西口は両国国技館、江戸東京博物館の最寄りで、いわば“両国の代名詞”だ。改札には大相撲の幕内優勝色彩写真額が2枚掲示されている。いずれも蔵前国技館の時代に優勝しており、左側は三重ノ海(現在の「武蔵川理事長」)、右側は“最強の関脇”という異名を持った長谷川である。両国国技館に掲げられている幕内優勝色彩写真額は、読んで字の如く、写真撮影していない。かなり巨大な額のため、フイルムでは思いっきり引きのばせなかったのかもしれない。カメラ知識がないので、シロートのたわごとに過ぎないが……

3番線へ向かうシャッターの上には横断幕があり、前日とは違うものを掲出している。両国駅員が総力をあげて飾った、ひな人形の観賞案内をするが、シャッターが下りていては眺められず、上がるのを待つのみだ。ちなみに16時20分の時点、シャッター前で上がるのを待っているのは、私のみである。

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前日から気になっていたが、トイレに関する案内放送がやたらと流れる。この駅のトイレは変則的で、左折して左側は女性用、右側は男性用だ。直進すると、男女共用の多目的トイレで、個室では唯一の洋式である。そういえば、ニューハーフはどちらを選ぶのだろうか?

16時30分、NEW DAYS(JR東日本のコンビニ)の女性店員がゴミ袋いっぱいの空き缶を抱えて、シャッター横の非常ドアを開ける。意外にもカギがかかっておらず、通路の照明スイッチを入れる。両国を利用する人々は、583系とひな人形、どちらを選ぶだろうか?

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16時41分、カンテラを持った駅員が非常ドアに入り、ついにシャッターが上がる。時代が古いせいか、シャッターの高さは2メートルにも満たない。ちなみに東京地下鉄銀座線神田(G-13)の地下通路(JR東日本との連絡通路)は、それよりも低く、長身の方には利用しづらい。

さて、赤じゅうたんの通路は、前日に引き続き、階段を雛壇にみたてた、ひな人形が鎮座しており、これに衝撃を受ける家族連れが多い。3番線に上がると、一段高い2番線の錦糸町寄りでは、すでに3人ほどのレールファンが583系の到着を待っている。どうやら、583系が到着しない限り、3番線にまわる気がないらしい。3番線の錦糸町寄りは、デジイチを構えて、583系の到着を待つ。私もそうしたいところだが、デジイチの故障で修理に出しているため、1号車寄りで待つとしよう。さいわい、コンデジは健在だ。

17時05分、1番線に183系1000番代のデラックス車による団体が通過。珍しい光景にシャッターを切るレールファンが多い。今や両国に停車するのは各駅停車のみとなり、特急や〈ホームライナー千葉3号〉千葉行きは通過する。両国発着の優等列車は、それなりの風情があったのかもしれないが、東京へ行かないため、新幹線との乗り継ぎ割引が適用されない難点があった。これは、国鉄時代からJR西日本初期にかけて、全便天王寺発着だったエル特急〈くろしお〉もそうだった。



「ピーッ!!」

17時11分、ホームの錦糸町寄りにいる駅員が大きな音色で、勢いよく、笛を吹く。前方には583系の姿が見える。そして、「フォーン」と大きな雄叫びをあげ、定刻より4分遅れの17時12分、583系が3番線に戻ってきた。おそらく、強風の影響で、滑川と成田の休憩停車時間を切り詰めたのだろう。

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前日は6号車のみドアを開けていたが、復路はすべてのドアが開く。往路では実施されなかった車内販売員が乗務しており、のちに1号車寄りでは、モデル役を務めていた。

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往路、復路とも、JR東日本は583系の滞在時間をたっぷり取っているおかげで、撮影がスムーズに進み、先述したように家族連れが多い。21~23時台は大人の時間、17時台は家族の時間だ。 583系は老若男女問わず、人気の高い車両だ。JR東日本所属車は、絶滅の危機にあったが、“最後の12両”を徹底的に修繕し、再度のリニューアルで延命した。わずかにセレクトされて現場復帰したSLと同じように、動態保存の道を歩むのかもしれない。

一方、JR西日本は平成4年(1992年)にリニューアルされているが、経年に伴い、ボディーに傷みが見受けられる。ここは体質改善工事をして、再び延命を図るか、北陸新幹線金沢延伸まで、このままいくかが注目されるだろう。

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17時51分、再び雄叫びをあげて、583系の回送が発車。方向幕は「臨時」のままだが、そのあとを追うかのようにE231系通勤形タイプの各駅停車千葉行きも発車。錦糸町まで、どういうレース展開をしたのだろうか。

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583系の回送発車により、錦糸町寄り左側の総武本線では、地下から顔を出した快速君津行きが停止信号で止まった。珍しい光景だが、運転再開に意外と時間がかかり、電気笛を鳴らしたあと、数秒の間があって、ようやく発車した。

583系が去り、3番線は閉鎖の時間となるものの、ひな人形はかなりの人気があり、その熱はなかなか冷めなかった。もし、市販の時刻表に掲載されていたら、ここまで手の込んだことはしていなかっただろう。2011年はひな人形に加え、お相撲さんの博多人形も添えてほしいと思うのであった。

★備考

eye Vio「暴れん坊583系2010」



②参考資料として、鉄道ジャーナル社刊行、『鉄道ジャーナル1992年7月号』を使用。

さすらいのライターのRailway Voice.「暴れん坊583系2010Voice Version.」 

岸田法眼のRailway Blog.「暴れん坊165系2002Ⅵ(両国3番線秋場所3日目、臨時急行〈犬吠号〉銚子行き)」 

岸田法眼のRailway Blog.「583系備考一覧」  

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