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元旦終夜運転2011 [汽車旅2011番外編]
◆なつかしのステッカー健在!!
2011年1月1日(土曜日・元旦)、0時40分過ぎにJR東日本秋葉原へ。東北本線及び、東北新幹線と交差する5・6番線は総武本線ホームだ。ちょうど6番線には、各駅停車千葉行き(2号車サハ209-517:津田沼まで女性車掌乗務)が0時46分の発車を待っている。この電車(休日ダイヤ)は御茶ノ水始発(0時41分発)で、本来は津田沼まで運行する終電だが、この日は終夜運転により、千葉まで延長運転されている。
黄色の電車は「中央・総武線(各駅停車)」と案内されているが、中央本線三鷹―御茶ノ水―総武本線千葉間は「総武線」と認識する人が多い。総武本線は東京・御茶ノ水―銚子間の路線だが、御茶ノ水―千葉間は先述したとおりで、東京―千葉間は「総武快速線」、千葉以東は「総武本線」、「成田線」というふうに“分類”されている(千葉―佐倉間は成田線に直通する電車が運行されている)。
さて、各駅停車千葉行きは停車時間をとっており、足早に撮影し、電車に乗り込む。さいわい、隣の2号車は車端部に空席があり、妻面側に坐る。通常は休日ダイヤの終電であるせいか、乗車率はよく、若干空席があるものの、あえて坐らない乗客も少なくない。おそらく、都内の駅で降りるのだろう。
定刻通り、0時46分に発車。予想通り、都内の駅で降りる乗客が多く、錦糸町―千葉間は複々線となる。私は終点千葉まで仮眠をとろうとするが、亀戸―西船橋間で4人家族が“簡易ボックスシート”にして、だんらんのひとときを過ごしたため、眠れない。
津田沼で乗務員が交代。車掌は女性から男性に代わったが、発車後、自己紹介をする。どうやら千葉支社に所属する車掌は、自己紹介をするのが鉄則になっているようだ。ちなみに乗務員の自己紹介だが、車掌のみはJR東日本千葉支社のほかにJR西日本、運転士と車掌はJR東海、東京急行電鉄(通称、「東急」)がそれぞれ実施している。
各駅停車千葉行きは幕張に到着。「幕張」の名を聞くと、千葉が近づいていることを知らせているようなもので、結局、仮眠がとれなかった。とってしまうと熟睡と化し、秋葉原に戻ってしまう恐れがある。
209系500番代の車内にある車番ステッカーの下に、省エネのステッカーが貼ってある。一部の号車は撤去されていたが、209系全盛期はそのステッカーで103系よりも省エネであることをアピールしていた。また、209系は国鉄省エネ電車の201系、203系よりも省エネでもある。その国鉄省エネ電車は両形式とも2015年までには、JR東日本から姿を消すだろう。
◆千葉1・2番線のトリビア
西千葉発車後、自動放送の次駅案内を終えると、車掌は成田線終夜運転の案内をするが、「40分間隔で運転しております」という言葉が引っかかる。接続する電車の発車時刻、発車番線を案内してほしいところ。
1時35分、終点千葉2番線に到着。錦糸町―千葉間の複々線は、快速線の利用が多く、緩行線(各駅停車)の西船橋―千葉間は未乗だったが、これで“完全制覇”した。
この電車は折り返し、2時00分発の各駅停車中野行きとなるが、車内は清掃員が乗り込み、清掃と整備をしている。発車時刻まで25分待つことになるが、寒空の中で発車待ちをするのはコクである。JR西日本207系や321系は、寒冷地や緩急接続の長時間停車を考慮して、半自動ドアボタンを設けているが、209系500番代というより、首都圏の通勤形タイプは八高線用の209系3000・3100番代、205系3000・3100番代やオレンジ帯のE233系以外、ほとんどない。これは、寒冷地を走行するため、半自動ドアボタンを設けているが、八高線用の電車と、仙石線用の205系3100番代以外、東京23区内で使用することはないようだ。その代わりなのか、常磐線、成田線用のE231系通勤形タイプは、4つの側扉のうち、3つを閉める装置を設けている。
千葉1・2番線の行先案内表示を見ると、2時00分発の各駅停車中野行きはオール緑、2時30分発の各駅停車中野行きは種別だけオレンジをそれぞれ表示していることに気づいた。私は先発と次発で色分けしているのかと考えたが、大ハズレだった。
それは、種別の緑は209系500番代、オレンジはE231系通勤形タイプを表しているのだ。後者は5号車に6ドア車を連結しているため、色分けして5号車乗車口の列を乱さないように配慮しているというわけだ。ラッシュ時には色分け効果が発揮されていることだろう。もっとも、平日の朝ラッシュ時はロングシートを収納しているため、色分けを熟知している通勤客は敬遠して、4ドア車乗車口で並ぶか、次の電車を待つかを選択するような気がする。
余談だが、6ドア車は先述したもののほかに、横浜線と埼京線の205系、山手線E231系500番代、東急2代目5000系の大半に連結されている。山手線E231系500番代は可動式ホーム柵設置工事のため、2010年2月22日(月曜日)から4ドア車への置き換えが始まり、2011年度で完了する模様(これに伴い、6ドア車は、平日朝ラッシュ時の座席収納を取りやめている)。後者は当初、2両連結でスタートしたが、現在は3両連結に変わっており、平日の朝ラッシュ時は、三軒茶屋・渋谷方面の急行や準急で優先的に使われている。
◆成田線終夜運転は快速と特急のみ
1時55分まで209系500番代の車内で休憩し、9・10番線へ。原則として、千葉の1・2番線は総武本線各駅停車御茶ノ水方面、3・4番線は内房線(千葉―蘇我間は外房線を走行)、5・6番線は外房線、7・8番線は総武本線(錦糸町方面の快速や特急及び、八日市場・銚子方面)、9・10番線は成田線(千葉―佐倉間は総武本線を走行)に分けている。本文だけを見ると、「わかりやすい」と思われがちだが、内房線、外房線から東京方面へ向かう電車は、7・8番線から発車することができないため、上り電車はどこの番線から発車するのか、わかりにくい難点がある。
これは6番線と7番線のあいだの房総半島寄りに駅ビルがあるため、その付近からホームや線路は、枝分かれをしている構造のためである。特に7~10番線は、枝分かれするあたりから、電車とホームのあいだが空いており、外幌をつけても役に立たない。
千葉でもう1つ「わかりにくい」といえるのは、1号車の位置。先頭車を調べてみると、イエロー帯の各駅停車と特急〈あずさ〉は蘇我・佐倉寄り、それ以外については錦糸町寄りが1号車になっていることだ。これには修正が利かない事情がある。
国鉄時代から「1号車」というのは、基本的に東京から西南をさしている。ただし、東京を起終点とする“中央線(東京―神田間、代々木―新宿間は旧中央本線である)”は、東京を発車すると、下りは北へ針路をとるため、1号車は上り方、東京寄りに設定されている。このため、中央本線の特急〈あずさ〉〈スーパーあずさ〉〈かいじ〉ならびに、「中央・総武線」と案内される各駅停車などは、上り方先頭車を1号車にしなければならないのである。また、運行する可能性はきわめて低いが、塩尻からJR東海エリアに入る場合、進行方向を逆にしなければならず、その際、先頭車は1号車に変わる。名古屋に到着し、そのまま大阪方面へ向かう場合の先頭車も1号車になるため、“違和感がない”ことになる。
国鉄時代からの“1号車は東京から西南寄りの車両主義(?!)”により、総武本線、成田線、外房線、内房線の上り方先頭車は、西南を表す1号車になっている。ちなみに、山手線大崎―新宿―駒込間の1号車は、各駅停車のE231系500番代、貨物線を走る特急〈成田エクスプレス〉と埼京線は新宿方、湘南新宿ラインは大崎方となっている。こちらも修正が利かない状況で、そういうことを述べても、いちいち気にする人はいないと思う(私も普段、何気なく乗っているので、まったく気づかなかった)。「修正が利かない」ということは、広大なネットワークを誇っている証といえるだろう。
さて、千葉10番線には2時09分発、E217系15両編成の臨時快速成田行きが発車を待っている。総武本線千葉―佐倉間及び成田線佐倉以東の終夜運転は、千葉―成田間の臨時快速が中心で、各駅停車は一切運行されていない。成田は成田山新勝寺の下車駅で、速達性を重視しているようだ。
一方、京成電鉄も成田山新勝寺アクセスの終夜運転が行なわれており、目玉は2代目AE形で運行される、成田3時00分発の臨時〈シティライナー98号〉上野行きだろう。前日の夜も2代目AE形による臨時〈シティライナー99号〉を運行している(上野22時40分発、成田23時38分着)。2代目AE形は成田空港線経由となった〈スカイライナー〉のほか、本線の「通勤特急」という位置づけができる〈モーニングライナー〉〈イブニングライナー〉も充当しており、AE100形よりも“機動力”がある。
話をE217系の臨時快速成田行きに戻すが、発車5分前ぐらいだろうか、10番線で若い男性が線路にモノを落とすというハプニングが発生。さいわい、電車とホームのあいだが空いているところだったので、落し物を救出することができた。また、秋葉原方面からの臨時各駅停車が遅れていたため、定刻より3分ほど遅れて発車した。
9・10番線の佐倉寄りホーム先端から、千葉都市モノレールが見える。青白い光がロマンティックなムードを醸し出しており、その光を浴びているモノレールの車両を撮ってみたい。どういうふうに映っているのか興味がある。
次の臨時快速成田行きは209系2100番代で、4両車を2本つなげた8両編成である。この車両は京浜東北線用を4・6両に減車して改造されたもので、空気式ドアエンジン車は2000番代、電気式ドアエンジン車は2100番代に区分され、2009年10月1日(木曜日)に“再デビュー”した。
この車両の1番の目玉は、クハ208・209形2000・2100番代だろう。車内はセミクロスシートに改造され、レイアウトはE217系に準じているが、京浜東北線時代の後年(晩年に近い)に一部の側窓を固定式から開閉式に改造されているせいか、ボックスシートの多くは眺望に難がある。
ボックスシートの座席自体は、201系『四季彩』のように向かい合わせにしても、ヒザがぶつかる心配がないようにすればよかったのだろうが、そうしてしまうと定員が大幅に減ってしまう難点があり、苦心のセミクロスシート化改造といっていいのかもしれない。ちなみに編成全体の座席定員は113系に比べて、大幅に減少。その代わり、立客を含めた編成全体の定員は大幅に増加している。
中間車はロングシートのままで、京浜東北線時代のテイストを残しているが、2号車錦糸町寄りの車端部に車椅子対応の洋式トイレと、車椅子スペースを設けた(洋式トイレ設置により、その部分の側窓を埋め込んでいる)。これに伴い、2号車は優先席の位置を見直し、ほかの車両よりも“定員”が多く、携帯電話電源OFFスペースも広がっている。
先頭車はラッシュ時などの増解結を考慮し、自動電気連結器を装備。スカートも取り替え、前頭部は精悍さが増した。機器類のほうは、VVVFインバータ制御の素子をGTOからIGBTにチェンジ。補助電源装置、ブレーキ制御装置もそれぞれ新しいものに取り替え、“寿命”を延ばした(209系の前身、旧901系のコンセプトは、「重量半分、価格半分、寿命半分」である)。また、保安装置はデジタルATCからATS-Pに変更し、併せてEB装置を取りつけている。
行先表示は幕式からLED式にチェンジ。房総各線の主力であった113系は、ラインカラー地(総武本線は黄、成田線と鹿島線は黄緑、外房線は赤、内房線は青)にして行先を表示していたが、209系2000・2100番代はフルカラーLEDではないため、前頭部は路線名のみ、側面は路線名のみ&路線名と行先の交互表示にして誤乗を防いでいる。ちなみに、運転席の頭上にある、補助的な役割を持っていた小型の幕は撤去されなかったが、終日黒表示である。
あと、レールファンしか関心を持たないと思うが、改造種車の車番の跡が残っている車両があり、“調べるのは今のうち”といったところ。いつまで、その跡が残るか注目してみたい。
この転用改造は東京総合車両センター、大宮総合車両センター、長野総合車両センター、郡山総合車両センター、秋田総合車両センターで施行。大掛かりな改造のため、種車はあちこちの留置施設で順番待ちをする姿を見たが、2011年度で113系と、“首都圏グリーン車政策”で一部の編成がはじき出された211系3000番代を完全に置き換える予定である。
209系2100番代の臨時快速成田行きは、こちらも秋葉原方面からの各駅停車が遅れていたため、定刻より1分遅れの2時46分に発車した。
◆気になる臨時快速〈銚子初日の出〉の車両
10番線に臨時特急〈おいでよ犬吠初日の出〉成田方面銚子行きが到着。特急〈あずさ〉〈かいじ〉でおなじみのE257系9両編成で、ヘッドマークは「臨時」だが、貫通扉の窓には〈おいでよ犬吠初日の出〉のステッカーを掲出している。また、先頭3号車の乗務員室には、成田4時02分発の臨時特急〈犬吠初日の出号〉銚子行きの車両に掲出されるものと思われるステッカーを預かっていた。しかし、臨時特急〈犬吠初日の出号〉銚子行きはE257系500番代が充当され、LEDヘッドマークは「臨時」表示ではなかったため、謎のステッカーになりそう。
臨時特急〈おいでよ犬吠初日の出〉成田方面銚子行きは、中央本線の高尾を1時33分に発車し、途中、八王子、立川、国分寺、三鷹、新宿、秋葉原、錦糸町、新小岩、市川、船橋、津田沼、稲毛、千葉、成田に停まり、終点銚子には4時22分に到着する。高尾―千葉間はこまめに停まっているので、「特急」というよりも「急行」といった感じだが、千葉―銚子間は停車駅だけを見ると、特急らしさがある。ちなみに普通車はおおむね満員で、グリーン車は空席が多かった。
3時02分に発車し、私は7・8番線へ。臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行きを待つ。成田線経由なのに“所定の場所”といえる9・10番線でないのかがよくわからない。また、出かける前に『鉄道ダイヤ情報2011年1月号』(交通新聞社刊)で調べたところ、8両編成であることは確定しているものの、113系か209系2000・2100番代のどちらかになるという。こうなると、どこへ並べばいいのかわからなくなる。
私は3ドア乗車口、4ドア乗車口の位置がほぼ同じ、あるいはそれほど離れていないところに目をつける。ほどなくして、駅員の放送が入り、4ドア車両であることを告げる。つまり、209系2000・2100番代が運行するということで、私のねらいは正しかったことになる。
3時15分、佐倉方から臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行き(4号車クハ209-2140:セミクロスシート)が入線。各乗車口はそれなりに列ができており、側扉が開くのを待っている。
いよいよ側扉が開くと、みんなは殺気立っていた。私はダッシュでボックスシートをGETしたが、“眺望に難あり席”に坐ってしまったぁー。しかし、全区間夜景なので、気にすることはないだろう。
臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行きはヘッドマークを用意しておらず、方向LEDがむなしく光る。先ほどの臨時快速成田行きで気になっていたが、209系2100番代の方向LEDに「快速」という文字がなかった。車内の側扉上にある情報案内装置は、駅名しか表示しないため、駅や車掌の放送しか頼りにできない。ただ、終夜運転は快速か特急のみであることは事前に案内しているはずなので、気にすることはないのかもしれない。
千葉は発車ベルやメロディーを一切使わず、駅員の放送により側扉が閉まる。以前、帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)永田町でも「静かな駅を目指す」ことを理由に、発車ブザーを省略し、駅員の放送にゆだねていたが、乗客に浸透することはなかった。
さて、臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行きは先頭車で駆け込み乗車があり、定刻より1分遅れの3時38分に発車した。
◆8年ぶりの銚子電気鉄道乗車
車内の側扉上にある情報案内装置は、次駅案内、到着駅案内のみで京浜東北線時代と変わらないが、快速運行を想定していたのは素晴らしい。
四街道に停まり、隣のホームには209系房総車(209系2000・2100番代の混結か、オール209系2100番代かは不明)の臨時快速木更津行きが到着。臨時快速木更津行きは千葉で進行方向が変わるものの、どうやって外房線に入るのだろう? おそらく、錦糸町寄りのポイントまで進み、そこから進行方向を変えるのではないだろうか。つまり、番線は異なるが、千葉は2度ホームに入ることになる。ちなみに千葉は3時56分に到着し、4時15分に発車する。
佐倉から成田線へ。千葉県佐倉市といえば、御存知、長嶋茂雄さんの出身地である。
進行方向右側には三日月が見え、“初日の出確約”を言っているようなもの。これなら安心だ。
4時09分、成田に到着。ここで7分停車し、車内保温のため、4つのうち、3つの側扉が閉まる。唯一閉まらなかったのは前から3つ目で、冷たい風が足元に流れる。
隣のホームは、すべての側扉が開いて暖房がかかっても、寒いことが想像つくE217系の快速(東京から普通電車)久里浜行きで、4時30分に発車する終夜運転の“最終電車”となる。この電車は通常、千葉始発だが、この日に限り、成田始発に変更されている。
臨時快速〈銚子初日の出〉銚子行きは、4時16分に発車。成田山新勝寺への初詣下車客は少なく、ここからは佐原のみ停車。成田空港支線の分岐点で単線になり、終点銚子まで仮眠をとることにする。
松岸で再び総武本線に入り、5時28分、終点銚子3番線に到着。大半はその先にある銚子電気鉄道(路線名は「銚子電気鉄道線」)に乗り換える。
銚子電気鉄道は大晦日から元旦にかけて、終電の繰り下げと初電の繰り上げが行なわれているが、この時間帯は終点外川の1つ手前、犬吠で折り返している。千葉県銚子市の場合、初日の出スポットは犬吠崎が1番人気のようである。
2・3番線の先に、オランダの風車小屋をイメージしたメルヘンチックな銚子電気鉄道の駅舎があり、手前には簡易Suica改札機を備えている。オシャレな駅舎は残念ながら老朽化しており、羽根を撤去していた。
ローカル線のたたずまいで、田舎を感じる銚子だが、JR東日本の駅舎には自動改札機が設置されており、Suicaに対応している。これに伴い、房総各線の東京近郊区間が拡大され、東京―銚子間の乗車券は2日間有効だったのが、1日のみに変更された。2日間以上有効の乗車券は、“旅”を感じさせるアイテムなのだが……
銚子電気鉄道の駅舎で乗車券を購入。弧廻手形(1日乗車券、620円)にしようか悩んだ末、あえて普通乗車券にした。
5時40分、臨時各駅停車犬吠行きワンマン電車(2502)が入線。2009年12月に伊予鉄道から移籍した2000系である(伊予鉄道時代は800形だった)。この車両はワンマン改造や整備を受け、2010年7月24日(土曜日)に“再々デビュー”した。この車両は京王帝都電鉄(現・京王電鉄)2010系からスタートし、半世紀近く生きており、大ベテランの域に到達しようとしている。銚子電気鉄道は単行車両が多い中、2両固定編成は目立つ存在で、早くも“エース”になった模様である。
新戦力2000系を投入するきっかけは、2002年に行なわれた国土交通省の安全性緊急評価だった。その際、デハ700形、デハ800形の老朽化が進んでおり、国土交通省の目に留まってしまった。
指摘を受けた銚子電気鉄道は、ただちに車両の取替えを決めたものの、完全新製車が投入できる状況ではなく、直流架線は600ボルトという珍しい存在も重なり、難航してしまう。直流架線の多くは1500ボルトが“普通”という時代になっていたからだ。もし、直流架線を1500ボルトに昇圧すると、すべての車両を取り替えなければならず、多額の費用を覚悟しなければならない。ちなみに、和歌山電鐵貴志川線も直流600ボルトだが、南海電気鉄道時代に自前の22000系を車体更新及び、複電圧改造を受け、2270系に形式変更されている。当時は将来の直流1500ボルト昇圧を想定していたのだろう。
話を元に戻すが、2006年11月15日(水曜日)、銚子電気鉄道は電車の修理代がないことを自社ホームページ上で告白し、ぬれ煎餅の購入を呼びかけた。この衝撃の告白が人々の心を動かし、ぬれ煎餅はメール注文者が殺到。電車も満員御礼になった。これにより、修理費用などを捻出することができたが、告白した同年夏に前社長の横領容疑があり、金融機関から白い目で見られるようになる。また、枕木や踏切など、安全性に問題があるとして、国土交通省から業務改善命令が出されるなど、存続が厳しい状況に追い込まれた。
そんな中、2007年1月14日(日曜日)に銚子電鉄サポーターズが誕生。当時、千葉ロッテマリーンズの守護神で、“幕張の防波堤”と呼ばれた小林雅英投手も銚子電鉄サポーターズに入った。サポーターらのカンパにより、安全性の問題を克服。2008年5月26日(月曜日)に活動休止を発表した。
2009年、新戦力車両は伊予鉄道800形の移籍で決まったが、導入にあたり、付帯工事費を含めて1億4000万円程度かかることになった。しかし、金融機関に融資を申し込んでも断られるところがあり、銚子電気鉄道を応援する人々が増えても、事件の傷跡は想像以上に大きかった。
そこで、車両導入工事費用の一部を債券化。車両支援オーナー募集(一口10万円)と、愛称命名権売却をすることになった。
こうして、多くの支援者により、伊予鉄道800形は予定通り銚子市に上陸し、2000系として沿線やレールファンから大歓迎を受けた。
◆終点1つ手前の駅で下車
8両編成の臨時快速〈銚子初日の出〉から、2両編成の臨時各駅停車犬吠行きワンマン電車に乗り換えるが、当然の如く、車内は首都圏なみの大入り満員御礼。JR東日本の駅員も応援に入り、より安全な発車に努めている。
積み残しが発生し、5時49分に発車。次の臨時各駅停車犬吠行きワンマン電車は6時13分まで待たなければならない。これは全線単線の上、行き違いできる駅は笠上黒生に限定しているからである。外川方面はスタフ、銚子方面は通票を持つ鉄則があり、この駅で運転士同士が交換している。
側扉が閉まることを案内する「発車します。御注意ください」の音声は、エコーがかかっており、衝撃を受ける。車体側面の方向幕は「銚子←→犬吠」だが、自動放送は「外川行き」になっており、これは御愛嬌。
「ワンマン電車」という案内だが、実際は車掌が乗務しており、すべての側扉が開閉する。これはありがたいものの、意外と途中駅から乗車する人がいて、混雑はさら増す。私は車内の中ほどにおり、どこをどう走っているのか、わからない状況だし、実は犬吠ではない駅に下車するため、降りられるかどうかが不安だ。
笠上黒生で臨時各駅停車銚子行きワンマン電車と行き違い、6時07分、君ヶ浜に到着。意外と下車客が多く、私もその1人である。
君ヶ浜は無人駅だが、この日は銚子電気鉄道の社員が待ち受けており、“臨時有人駅”と化す。銚子電気鉄道は2003年3月16日(日曜日)以来、8年ぶりの利用だが、途中駅で下車するのは初めてだ。駅前には初日の出の予定時刻と君ヶ浜しおさい公園への地図があり、観光客に対応している。
2011年1月1日(土曜日・元旦)、0時40分過ぎにJR東日本秋葉原へ。東北本線及び、東北新幹線と交差する5・6番線は総武本線ホームだ。ちょうど6番線には、各駅停車千葉行き(2号車サハ209-517:津田沼まで女性車掌乗務)が0時46分の発車を待っている。この電車(休日ダイヤ)は御茶ノ水始発(0時41分発)で、本来は津田沼まで運行する終電だが、この日は終夜運転により、千葉まで延長運転されている。
黄色の電車は「中央・総武線(各駅停車)」と案内されているが、中央本線三鷹―御茶ノ水―総武本線千葉間は「総武線」と認識する人が多い。総武本線は東京・御茶ノ水―銚子間の路線だが、御茶ノ水―千葉間は先述したとおりで、東京―千葉間は「総武快速線」、千葉以東は「総武本線」、「成田線」というふうに“分類”されている(千葉―佐倉間は成田線に直通する電車が運行されている)。
さて、各駅停車千葉行きは停車時間をとっており、足早に撮影し、電車に乗り込む。さいわい、隣の2号車は車端部に空席があり、妻面側に坐る。通常は休日ダイヤの終電であるせいか、乗車率はよく、若干空席があるものの、あえて坐らない乗客も少なくない。おそらく、都内の駅で降りるのだろう。
各駅停車千葉行き編成表 | |||||
乗車区間 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 | |
千葉 | 1 | クハ209- | 505 | ○ | なし |
2 | サハ209- | 517 | ○ | なし | |
3 | モハ209- | 509 | ○ | なし | |
4 | モハ208- | 509 | ○ | 弱冷房車 | |
5 | サハ209- | 518 | ○ | なし | |
6 | サハ209- | 519 | ○ | なし | |
7 | サハ209- | 520 | ○ | なし | |
8 | モハ209- | 510 | ○ | なし | |
9 | モハ208- | 510 | ○ | なし | |
秋葉原 | 10 | クハ208- | 505 | ○ | 女性専用車 |
この日は津田沼―千葉間、延長運転。 | |||||
女性専用車について | |||||
①西船橋を平日の6時57分から8時56分に発車する各駅停車は、千葉―御茶ノ水間が女性専用車となる。 | |||||
②男性は小学生以下、身体の不自由な方とその介助者に限り、女性専用車に乗車できる。 |
定刻通り、0時46分に発車。予想通り、都内の駅で降りる乗客が多く、錦糸町―千葉間は複々線となる。私は終点千葉まで仮眠をとろうとするが、亀戸―西船橋間で4人家族が“簡易ボックスシート”にして、だんらんのひとときを過ごしたため、眠れない。
津田沼で乗務員が交代。車掌は女性から男性に代わったが、発車後、自己紹介をする。どうやら千葉支社に所属する車掌は、自己紹介をするのが鉄則になっているようだ。ちなみに乗務員の自己紹介だが、車掌のみはJR東日本千葉支社のほかにJR西日本、運転士と車掌はJR東海、東京急行電鉄(通称、「東急」)がそれぞれ実施している。
各駅停車千葉行きは幕張に到着。「幕張」の名を聞くと、千葉が近づいていることを知らせているようなもので、結局、仮眠がとれなかった。とってしまうと熟睡と化し、秋葉原に戻ってしまう恐れがある。
209系500番代の車内にある車番ステッカーの下に、省エネのステッカーが貼ってある。一部の号車は撤去されていたが、209系全盛期はそのステッカーで103系よりも省エネであることをアピールしていた。また、209系は国鉄省エネ電車の201系、203系よりも省エネでもある。その国鉄省エネ電車は両形式とも2015年までには、JR東日本から姿を消すだろう。
◆千葉1・2番線のトリビア
西千葉発車後、自動放送の次駅案内を終えると、車掌は成田線終夜運転の案内をするが、「40分間隔で運転しております」という言葉が引っかかる。接続する電車の発車時刻、発車番線を案内してほしいところ。
1時35分、終点千葉2番線に到着。錦糸町―千葉間の複々線は、快速線の利用が多く、緩行線(各駅停車)の西船橋―千葉間は未乗だったが、これで“完全制覇”した。
この電車は折り返し、2時00分発の各駅停車中野行きとなるが、車内は清掃員が乗り込み、清掃と整備をしている。発車時刻まで25分待つことになるが、寒空の中で発車待ちをするのはコクである。JR西日本207系や321系は、寒冷地や緩急接続の長時間停車を考慮して、半自動ドアボタンを設けているが、209系500番代というより、首都圏の通勤形タイプは八高線用の209系3000・3100番代、205系3000・3100番代やオレンジ帯のE233系以外、ほとんどない。これは、寒冷地を走行するため、半自動ドアボタンを設けているが、八高線用の電車と、仙石線用の205系3100番代以外、東京23区内で使用することはないようだ。その代わりなのか、常磐線、成田線用のE231系通勤形タイプは、4つの側扉のうち、3つを閉める装置を設けている。
千葉1・2番線の行先案内表示を見ると、2時00分発の各駅停車中野行きはオール緑、2時30分発の各駅停車中野行きは種別だけオレンジをそれぞれ表示していることに気づいた。私は先発と次発で色分けしているのかと考えたが、大ハズレだった。
それは、種別の緑は209系500番代、オレンジはE231系通勤形タイプを表しているのだ。後者は5号車に6ドア車を連結しているため、色分けして5号車乗車口の列を乱さないように配慮しているというわけだ。ラッシュ時には色分け効果が発揮されていることだろう。もっとも、平日の朝ラッシュ時はロングシートを収納しているため、色分けを熟知している通勤客は敬遠して、4ドア車乗車口で並ぶか、次の電車を待つかを選択するような気がする。
余談だが、6ドア車は先述したもののほかに、横浜線と埼京線の205系、山手線E231系500番代、東急2代目5000系の大半に連結されている。山手線E231系500番代は可動式ホーム柵設置工事のため、2010年2月22日(月曜日)から4ドア車への置き換えが始まり、2011年度で完了する模様(これに伴い、6ドア車は、平日朝ラッシュ時の座席収納を取りやめている)。後者は当初、2両連結でスタートしたが、現在は3両連結に変わっており、平日の朝ラッシュ時は、三軒茶屋・渋谷方面の急行や準急で優先的に使われている。
◆成田線終夜運転は快速と特急のみ
1時55分まで209系500番代の車内で休憩し、9・10番線へ。原則として、千葉の1・2番線は総武本線各駅停車御茶ノ水方面、3・4番線は内房線(千葉―蘇我間は外房線を走行)、5・6番線は外房線、7・8番線は総武本線(錦糸町方面の快速や特急及び、八日市場・銚子方面)、9・10番線は成田線(千葉―佐倉間は総武本線を走行)に分けている。本文だけを見ると、「わかりやすい」と思われがちだが、内房線、外房線から東京方面へ向かう電車は、7・8番線から発車することができないため、上り電車はどこの番線から発車するのか、わかりにくい難点がある。
これは6番線と7番線のあいだの房総半島寄りに駅ビルがあるため、その付近からホームや線路は、枝分かれをしている構造のためである。特に7~10番線は、枝分かれするあたりから、電車とホームのあいだが空いており、外幌をつけても役に立たない。
千葉でもう1つ「わかりにくい」といえるのは、1号車の位置。先頭車を調べてみると、イエロー帯の各駅停車と特急〈あずさ〉は蘇我・佐倉寄り、それ以外については錦糸町寄りが1号車になっていることだ。これには修正が利かない事情がある。
国鉄時代から「1号車」というのは、基本的に東京から西南をさしている。ただし、東京を起終点とする“中央線(東京―神田間、代々木―新宿間は旧中央本線である)”は、東京を発車すると、下りは北へ針路をとるため、1号車は上り方、東京寄りに設定されている。このため、中央本線の特急〈あずさ〉〈スーパーあずさ〉〈かいじ〉ならびに、「中央・総武線」と案内される各駅停車などは、上り方先頭車を1号車にしなければならないのである。また、運行する可能性はきわめて低いが、塩尻からJR東海エリアに入る場合、進行方向を逆にしなければならず、その際、先頭車は1号車に変わる。名古屋に到着し、そのまま大阪方面へ向かう場合の先頭車も1号車になるため、“違和感がない”ことになる。
国鉄時代からの“1号車は東京から西南寄りの車両主義(?!)”により、総武本線、成田線、外房線、内房線の上り方先頭車は、西南を表す1号車になっている。ちなみに、山手線大崎―新宿―駒込間の1号車は、各駅停車のE231系500番代、貨物線を走る特急〈成田エクスプレス〉と埼京線は新宿方、湘南新宿ラインは大崎方となっている。こちらも修正が利かない状況で、そういうことを述べても、いちいち気にする人はいないと思う(私も普段、何気なく乗っているので、まったく気づかなかった)。「修正が利かない」ということは、広大なネットワークを誇っている証といえるだろう。
さて、千葉10番線には2時09分発、E217系15両編成の臨時快速成田行きが発車を待っている。総武本線千葉―佐倉間及び成田線佐倉以東の終夜運転は、千葉―成田間の臨時快速が中心で、各駅停車は一切運行されていない。成田は成田山新勝寺の下車駅で、速達性を重視しているようだ。
一方、京成電鉄も成田山新勝寺アクセスの終夜運転が行なわれており、目玉は2代目AE形で運行される、成田3時00分発の臨時〈シティライナー98号〉上野行きだろう。前日の夜も2代目AE形による臨時〈シティライナー99号〉を運行している(上野22時40分発、成田23時38分着)。2代目AE形は成田空港線経由となった〈スカイライナー〉のほか、本線の「通勤特急」という位置づけができる〈モーニングライナー〉〈イブニングライナー〉も充当しており、AE100形よりも“機動力”がある。
話をE217系の臨時快速成田行きに戻すが、発車5分前ぐらいだろうか、10番線で若い男性が線路にモノを落とすというハプニングが発生。さいわい、電車とホームのあいだが空いているところだったので、落し物を救出することができた。また、秋葉原方面からの臨時各駅停車が遅れていたため、定刻より3分ほど遅れて発車した。
9・10番線の佐倉寄りホーム先端から、千葉都市モノレールが見える。青白い光がロマンティックなムードを醸し出しており、その光を浴びているモノレールの車両を撮ってみたい。どういうふうに映っているのか興味がある。
次の臨時快速成田行きは209系2100番代で、4両車を2本つなげた8両編成である。この車両は京浜東北線用を4・6両に減車して改造されたもので、空気式ドアエンジン車は2000番代、電気式ドアエンジン車は2100番代に区分され、2009年10月1日(木曜日)に“再デビュー”した。
この車両の1番の目玉は、クハ208・209形2000・2100番代だろう。車内はセミクロスシートに改造され、レイアウトはE217系に準じているが、京浜東北線時代の後年(晩年に近い)に一部の側窓を固定式から開閉式に改造されているせいか、ボックスシートの多くは眺望に難がある。
ボックスシートの座席自体は、201系『四季彩』のように向かい合わせにしても、ヒザがぶつかる心配がないようにすればよかったのだろうが、そうしてしまうと定員が大幅に減ってしまう難点があり、苦心のセミクロスシート化改造といっていいのかもしれない。ちなみに編成全体の座席定員は113系に比べて、大幅に減少。その代わり、立客を含めた編成全体の定員は大幅に増加している。
中間車はロングシートのままで、京浜東北線時代のテイストを残しているが、2号車錦糸町寄りの車端部に車椅子対応の洋式トイレと、車椅子スペースを設けた(洋式トイレ設置により、その部分の側窓を埋め込んでいる)。これに伴い、2号車は優先席の位置を見直し、ほかの車両よりも“定員”が多く、携帯電話電源OFFスペースも広がっている。
先頭車はラッシュ時などの増解結を考慮し、自動電気連結器を装備。スカートも取り替え、前頭部は精悍さが増した。機器類のほうは、VVVFインバータ制御の素子をGTOからIGBTにチェンジ。補助電源装置、ブレーキ制御装置もそれぞれ新しいものに取り替え、“寿命”を延ばした(209系の前身、旧901系のコンセプトは、「重量半分、価格半分、寿命半分」である)。また、保安装置はデジタルATCからATS-Pに変更し、併せてEB装置を取りつけている。
行先表示は幕式からLED式にチェンジ。房総各線の主力であった113系は、ラインカラー地(総武本線は黄、成田線と鹿島線は黄緑、外房線は赤、内房線は青)にして行先を表示していたが、209系2000・2100番代はフルカラーLEDではないため、前頭部は路線名のみ、側面は路線名のみ&路線名と行先の交互表示にして誤乗を防いでいる。ちなみに、運転席の頭上にある、補助的な役割を持っていた小型の幕は撤去されなかったが、終日黒表示である。
あと、レールファンしか関心を持たないと思うが、改造種車の車番の跡が残っている車両があり、“調べるのは今のうち”といったところ。いつまで、その跡が残るか注目してみたい。
この転用改造は東京総合車両センター、大宮総合車両センター、長野総合車両センター、郡山総合車両センター、秋田総合車両センターで施行。大掛かりな改造のため、種車はあちこちの留置施設で順番待ちをする姿を見たが、2011年度で113系と、“首都圏グリーン車政策”で一部の編成がはじき出された211系3000番代を完全に置き換える予定である。
209系2100番代の臨時快速成田行きは、こちらも秋葉原方面からの各駅停車が遅れていたため、定刻より1分遅れの2時46分に発車した。
◆気になる臨時快速〈銚子初日の出〉の車両
10番線に臨時特急〈おいでよ犬吠初日の出〉成田方面銚子行きが到着。特急〈あずさ〉〈かいじ〉でおなじみのE257系9両編成で、ヘッドマークは「臨時」だが、貫通扉の窓には〈おいでよ犬吠初日の出〉のステッカーを掲出している。また、先頭3号車の乗務員室には、成田4時02分発の臨時特急〈犬吠初日の出号〉銚子行きの車両に掲出されるものと思われるステッカーを預かっていた。しかし、臨時特急〈犬吠初日の出号〉銚子行きはE257系500番代が充当され、LEDヘッドマークは「臨時」表示ではなかったため、謎のステッカーになりそう。
臨時特急〈おいでよ犬吠初日の出〉成田方面銚子行きは、中央本線の高尾を1時33分に発車し、途中、八王子、立川、国分寺、三鷹、新宿、秋葉原、錦糸町、新小岩、市川、船橋、津田沼、稲毛、千葉、成田に停まり、終点銚子には4時22分に到着する。高尾―千葉間はこまめに停まっているので、「特急」というよりも「急行」といった感じだが、千葉―銚子間は停車駅だけを見ると、特急らしさがある。ちなみに普通車はおおむね満員で、グリーン車は空席が多かった。
3時02分に発車し、私は7・8番線へ。臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行きを待つ。成田線経由なのに“所定の場所”といえる9・10番線でないのかがよくわからない。また、出かける前に『鉄道ダイヤ情報2011年1月号』(交通新聞社刊)で調べたところ、8両編成であることは確定しているものの、113系か209系2000・2100番代のどちらかになるという。こうなると、どこへ並べばいいのかわからなくなる。
私は3ドア乗車口、4ドア乗車口の位置がほぼ同じ、あるいはそれほど離れていないところに目をつける。ほどなくして、駅員の放送が入り、4ドア車両であることを告げる。つまり、209系2000・2100番代が運行するということで、私のねらいは正しかったことになる。
3時15分、佐倉方から臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行き(4号車クハ209-2140:セミクロスシート)が入線。各乗車口はそれなりに列ができており、側扉が開くのを待っている。
いよいよ側扉が開くと、みんなは殺気立っていた。私はダッシュでボックスシートをGETしたが、“眺望に難あり席”に坐ってしまったぁー。しかし、全区間夜景なので、気にすることはないだろう。
臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行きはヘッドマークを用意しておらず、方向LEDがむなしく光る。先ほどの臨時快速成田行きで気になっていたが、209系2100番代の方向LEDに「快速」という文字がなかった。車内の側扉上にある情報案内装置は、駅名しか表示しないため、駅や車掌の放送しか頼りにできない。ただ、終夜運転は快速か特急のみであることは事前に案内しているはずなので、気にすることはないのかもしれない。
臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行き編成表 | |||||
乗車区間 | 号車 | 車両番号 | 禁煙 | 備考 | |
銚子 | 4 | クハ209- | 2140 | ○ | セミクロスシート |
3 | モハ209- | 2168 | ○ | なし | |
2 | モハ208- | 2168 | ○ | なし | |
1 | クハ208- | 2140 | ○ | セミクロスシート | |
4 | クハ209- | 2007 | ○ | セミクロスシート | |
3 | モハ209- | 2185 | ○ | なし | |
2 | モハ208- | 2185 | ○ | なし | |
千葉 | 1 | クハ208- | 2007 | ○ | セミクロスシート |
千葉は発車ベルやメロディーを一切使わず、駅員の放送により側扉が閉まる。以前、帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)永田町でも「静かな駅を目指す」ことを理由に、発車ブザーを省略し、駅員の放送にゆだねていたが、乗客に浸透することはなかった。
さて、臨時快速〈銚子初日の出〉成田方面銚子行きは先頭車で駆け込み乗車があり、定刻より1分遅れの3時38分に発車した。
◆8年ぶりの銚子電気鉄道乗車
車内の側扉上にある情報案内装置は、次駅案内、到着駅案内のみで京浜東北線時代と変わらないが、快速運行を想定していたのは素晴らしい。
四街道に停まり、隣のホームには209系房総車(209系2000・2100番代の混結か、オール209系2100番代かは不明)の臨時快速木更津行きが到着。臨時快速木更津行きは千葉で進行方向が変わるものの、どうやって外房線に入るのだろう? おそらく、錦糸町寄りのポイントまで進み、そこから進行方向を変えるのではないだろうか。つまり、番線は異なるが、千葉は2度ホームに入ることになる。ちなみに千葉は3時56分に到着し、4時15分に発車する。
佐倉から成田線へ。千葉県佐倉市といえば、御存知、長嶋茂雄さんの出身地である。
進行方向右側には三日月が見え、“初日の出確約”を言っているようなもの。これなら安心だ。
4時09分、成田に到着。ここで7分停車し、車内保温のため、4つのうち、3つの側扉が閉まる。唯一閉まらなかったのは前から3つ目で、冷たい風が足元に流れる。
隣のホームは、すべての側扉が開いて暖房がかかっても、寒いことが想像つくE217系の快速(東京から普通電車)久里浜行きで、4時30分に発車する終夜運転の“最終電車”となる。この電車は通常、千葉始発だが、この日に限り、成田始発に変更されている。
臨時快速〈銚子初日の出〉銚子行きは、4時16分に発車。成田山新勝寺への初詣下車客は少なく、ここからは佐原のみ停車。成田空港支線の分岐点で単線になり、終点銚子まで仮眠をとることにする。
松岸で再び総武本線に入り、5時28分、終点銚子3番線に到着。大半はその先にある銚子電気鉄道(路線名は「銚子電気鉄道線」)に乗り換える。
銚子電気鉄道は大晦日から元旦にかけて、終電の繰り下げと初電の繰り上げが行なわれているが、この時間帯は終点外川の1つ手前、犬吠で折り返している。千葉県銚子市の場合、初日の出スポットは犬吠崎が1番人気のようである。
2・3番線の先に、オランダの風車小屋をイメージしたメルヘンチックな銚子電気鉄道の駅舎があり、手前には簡易Suica改札機を備えている。オシャレな駅舎は残念ながら老朽化しており、羽根を撤去していた。
ローカル線のたたずまいで、田舎を感じる銚子だが、JR東日本の駅舎には自動改札機が設置されており、Suicaに対応している。これに伴い、房総各線の東京近郊区間が拡大され、東京―銚子間の乗車券は2日間有効だったのが、1日のみに変更された。2日間以上有効の乗車券は、“旅”を感じさせるアイテムなのだが……
銚子電気鉄道の駅舎で乗車券を購入。弧廻手形(1日乗車券、620円)にしようか悩んだ末、あえて普通乗車券にした。
5時40分、臨時各駅停車犬吠行きワンマン電車(2502)が入線。2009年12月に伊予鉄道から移籍した2000系である(伊予鉄道時代は800形だった)。この車両はワンマン改造や整備を受け、2010年7月24日(土曜日)に“再々デビュー”した。この車両は京王帝都電鉄(現・京王電鉄)2010系からスタートし、半世紀近く生きており、大ベテランの域に到達しようとしている。銚子電気鉄道は単行車両が多い中、2両固定編成は目立つ存在で、早くも“エース”になった模様である。
新戦力2000系を投入するきっかけは、2002年に行なわれた国土交通省の安全性緊急評価だった。その際、デハ700形、デハ800形の老朽化が進んでおり、国土交通省の目に留まってしまった。
指摘を受けた銚子電気鉄道は、ただちに車両の取替えを決めたものの、完全新製車が投入できる状況ではなく、直流架線は600ボルトという珍しい存在も重なり、難航してしまう。直流架線の多くは1500ボルトが“普通”という時代になっていたからだ。もし、直流架線を1500ボルトに昇圧すると、すべての車両を取り替えなければならず、多額の費用を覚悟しなければならない。ちなみに、和歌山電鐵貴志川線も直流600ボルトだが、南海電気鉄道時代に自前の22000系を車体更新及び、複電圧改造を受け、2270系に形式変更されている。当時は将来の直流1500ボルト昇圧を想定していたのだろう。
話を元に戻すが、2006年11月15日(水曜日)、銚子電気鉄道は電車の修理代がないことを自社ホームページ上で告白し、ぬれ煎餅の購入を呼びかけた。この衝撃の告白が人々の心を動かし、ぬれ煎餅はメール注文者が殺到。電車も満員御礼になった。これにより、修理費用などを捻出することができたが、告白した同年夏に前社長の横領容疑があり、金融機関から白い目で見られるようになる。また、枕木や踏切など、安全性に問題があるとして、国土交通省から業務改善命令が出されるなど、存続が厳しい状況に追い込まれた。
そんな中、2007年1月14日(日曜日)に銚子電鉄サポーターズが誕生。当時、千葉ロッテマリーンズの守護神で、“幕張の防波堤”と呼ばれた小林雅英投手も銚子電鉄サポーターズに入った。サポーターらのカンパにより、安全性の問題を克服。2008年5月26日(月曜日)に活動休止を発表した。
2009年、新戦力車両は伊予鉄道800形の移籍で決まったが、導入にあたり、付帯工事費を含めて1億4000万円程度かかることになった。しかし、金融機関に融資を申し込んでも断られるところがあり、銚子電気鉄道を応援する人々が増えても、事件の傷跡は想像以上に大きかった。
そこで、車両導入工事費用の一部を債券化。車両支援オーナー募集(一口10万円)と、愛称命名権売却をすることになった。
こうして、多くの支援者により、伊予鉄道800形は予定通り銚子市に上陸し、2000系として沿線やレールファンから大歓迎を受けた。
◆終点1つ手前の駅で下車
8両編成の臨時快速〈銚子初日の出〉から、2両編成の臨時各駅停車犬吠行きワンマン電車に乗り換えるが、当然の如く、車内は首都圏なみの大入り満員御礼。JR東日本の駅員も応援に入り、より安全な発車に努めている。
積み残しが発生し、5時49分に発車。次の臨時各駅停車犬吠行きワンマン電車は6時13分まで待たなければならない。これは全線単線の上、行き違いできる駅は笠上黒生に限定しているからである。外川方面はスタフ、銚子方面は通票を持つ鉄則があり、この駅で運転士同士が交換している。
側扉が閉まることを案内する「発車します。御注意ください」の音声は、エコーがかかっており、衝撃を受ける。車体側面の方向幕は「銚子←→犬吠」だが、自動放送は「外川行き」になっており、これは御愛嬌。
「ワンマン電車」という案内だが、実際は車掌が乗務しており、すべての側扉が開閉する。これはありがたいものの、意外と途中駅から乗車する人がいて、混雑はさら増す。私は車内の中ほどにおり、どこをどう走っているのか、わからない状況だし、実は犬吠ではない駅に下車するため、降りられるかどうかが不安だ。
笠上黒生で臨時各駅停車銚子行きワンマン電車と行き違い、6時07分、君ヶ浜に到着。意外と下車客が多く、私もその1人である。
君ヶ浜は無人駅だが、この日は銚子電気鉄道の社員が待ち受けており、“臨時有人駅”と化す。銚子電気鉄道は2003年3月16日(日曜日)以来、8年ぶりの利用だが、途中駅で下車するのは初めてだ。駅前には初日の出の予定時刻と君ヶ浜しおさい公園への地図があり、観光客に対応している。
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