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2010年3月13日(土曜日)、JR線ダイヤ改正情報-前編- [鉄道評論]
2009年12月18日(金曜日)、JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州、JR貨物は、2010年3月13日(土曜日)にダイヤ改正を実施することになった。
それではJR各社のホームページの情報をカンタンにお伝えすることにしよう。くわしくはJR各社のホームページへどうぞ。
なお、JR旅客鉄道を2社以上走るものについて、列車名と車両は所属している会社に載せております。
◆JR東日本
http://www.jreast.co.jp/
①特急〈成田エクスプレス〉のE259系化を進め、2010年夏には完了の予定。また、増発を図り、一部時間帯を除き、横浜方面・新宿方面-成田空港間は30分間隔の運行をする。そして、高尾-成田空港間は1往復増発し、2往復体制となる。
②特急〈成田エクスプレス〉は渋谷、武蔵小杉に全便停車。また、品川は横浜方面発着の全便が停車し、新宿方面発着は一部の便が停車する。
③武蔵小杉に東海道本線支線ホームを新設。特急〈成田エクスプレス〉のほか、「横須賀線」「湘南新宿ライン」の電車が停まる。ただし、当分のあいだ、乗り換え通路は暫定的なものを使うため、幅員が狭く、30分以内の乗換えを条件に、改札の外に出て乗り換えることができる。
④「横須賀線-総武線」と表示する電車の平日朝ラッシュ時に、大船-武蔵小杉-千葉間(大船-品川間は普通電車、品川-千葉間は快速)を1本増発して、混雑緩和を図る。
⑤南武線は平日朝ラッシュ時に、西国立発川崎行きの各駅停車を1本新設し、混雑緩和を図る。また、夜間の時間帯は運行区間の見直しを行ない、混雑の緩和を図る。
⑥横浜線は平日朝ラッシュ時に東海道本線(京浜東北線)、根岸線の直通電車を3往復増発する。
⑦横浜線の日中時間帯に快速を毎時1往復増発。快速は毎時3往復体制となる。また、各駅停車は毎時6往復のままとなり、快速通過駅の利便性は維持される。
⑧武蔵野線の日中時間帯は、京葉線東京へ直通する快速を毎時1往復増発し、毎時3往復体制とする。その代わり、各駅停車南船橋行きは、毎時3往復から2往復に減る。ちなみに快速は武蔵野線内、各駅に停まる。
⑨総武本線の快速(通称、「総武快速線」)は、日中時間帯の内房線直通便を1往復増やす。
⑩休日ダイヤの埼京線(大崎-池袋間は山手線、池袋-赤羽間は赤羽線、赤羽-大宮間は東北本線支線を走る電車の総称)は、東京臨海高速鉄道の直通便を2往復増やす。
⑪京浜東北線及び根岸線の209系は、2009年1月24日(日曜日)にピリオドを打ち、翌日からE233系1000番代に統一される予定。これにより、6ドア車が姿を消す。
⑫2010年夏の予定で、京葉線にE233系(番代区分があるかどうかは不明)が投入され、201系、205系、209系500番代を置き換える予定。
⑬上越新幹線越後湯沢-新潟間のデジタルATC化により、東京-新潟間の〈とき〉は最大3分短縮される。ただし、すべての〈とき〉〈Maxとき〉に該当するわけではない。
⑭特急〈さざなみ〉の運行本数及び運行区間を見直す。
⑮寝台特急〈北陸〉は運行終了の予定。
JR東日本最大の目玉といえば、武蔵小杉だろう。従来、南武線のホームしかなかったところに、東海道本線支線(横須賀線、湘南新宿ライン)のホームを新設。ホームの位置は地下鉄なみに離れているため、乗り換えには数分かかる。また、工事が遅れたのか、なにかにあせっているのか、連絡通路が完成せず、暫定のものを使う。そのため、JR線では初めてかもしれない30分以内の改札外乗換え制度を新設し、柔軟な対応をとっている。
これに脅威を感じているのは、東京急行電鉄(通称、「東急」)だろう。東横線、目黒線からの“乗り換え”が予想され、全線に渡り、利用客の減少は避けられないと言っていい。
東横線の救いは始発が渋谷なので、“待てば坐れる”というメリットがあるものの、2012年度に予定されている東京地下鉄(通称、「東京メトロ」)副都心線の相互直通運転が始まると、そのメリットがなくなってしまう恐れがある。また、相互直通運転をしても、運賃はJR東日本と大差がないことが予想されるため、湘南新宿ラインの利便性(10両編成または15両編成の運行)が高まるに違いない。これは目黒線も同様で、東京都交通局都営三田線直通便の武蔵小杉-大手町(I-09)間に関しては、横須賀線の利便性が際立つことだろう(大手町駅は、東京駅に隣接しているも同然のため)。
おそらく、東急側も東横線、目黒線のダイヤ改正を2010年春に実施することが予想される。もしかすると、目黒線に特急が登場するかもしれないし、視点を変えて大井町線に直通する急行が現れるかもしれない。また、大井町線の急行が目黒線に直通し、東京メトロ南北線、都営三田線の相互直通運転も考えられるが、ATO運転が大条件となるため、実現は困難だろう。
このほか、209系がダイヤ改正を前に、京浜東北線及び根岸線から姿を消す。さいわい、廃車を免れた車両があり、減車のうえ、南武線や房総各線に活躍の場を移している。
“E233系旋風”は、常磐線(E233系2000番代)と京葉線で進むことになる。京葉線のE233系の車番は基本番代、1000番代のどちらかを継承するのか、「E233系4000番代」「E233系5000番代」というカタチになるのか? 多くのレールファンは興味津々だろう。
ブルートレインのリストラは消えることなく、今度は寝台特急〈北陸〉が“被害者”となってしまった。のちほど後述する急行〈能登〉も運行を終了することになっているが、ここで大きな問題がある。
JR東日本のプレスリリースでは、「臨時列車を運転します」とあるものの、JR西日本は「臨時急行列車を運行します」となっており、どちらかが不正確な記述をした可能性がある。つまり、JR東日本は「寝台特急〈北陸〉、急行〈能登〉は臨時列車として運行します」、JR西日本は「急行〈能登〉は臨時列車として運行します」という解釈ができるのだ。
余談だが、EF81形を置き換えるEF510形500番代がお目見えし、2010年3月13日(土曜日)のダイヤ改正から、寝台特急〈北斗星〉〈あけぼの〉〈カシオペア〉を牽引することが考えられる。
★備考
鉄道ニュース「JR東日本のEF510-501,登場」
◆JR東海
http://jr-central.co.jp/
①東海道新幹線と山陽新幹線をまたぐ、定期便の〈のぞみ〉はすべてN700系化される。また、N700系〈のぞみ〉が増加し、ダイヤ改正以降も増備されるため、700系の〈こだま〉運用と300系の廃車が進む見込み。
②東海道新幹線上りは、8時20分から9時13分までに東京へ到着する〈のぞみ〉をN700系にそろえ、一部の便は所要時間が短縮される。
③東京-広島間の運行だった〈のぞみ7・13・19・53・59・6・12・42・48・54・60号〉は東京-博多間へ、東京-新大阪間の運行だった〈のぞみ101・114号〉は東京-広島間へ、それぞれ運行区間を拡大。
④東海道新幹線〈こだま673号〉新大阪行きは、東京-名古屋間に短縮される。これに伴い、後続の〈ひかり483号〉岡山行きは、岐阜羽島と米原に停車する(〈ひかり483号〉岡山行きは、名古屋から各駅に停まる)。
⑤在来線各線は、一部列車にダイヤの変更が行なわれる。
JR東海はN700系による快適性の向上を進め、2011年度の予定で300系を淘汰する予定だ。
N700系のグリーン車は全席、普通車は窓側と車端部にあるコンセントは好評で、ビジネス色がますます特化されている。こうなると、車窓を楽しむ時間が縮小され、“車内が社内と化してしまう”ことが懸念される。パソコンがずーっと使えるのはいいことだけど、仕事ではなく、息抜きで使えないものだろうか? 今の東海道新幹線は〈こだま〉以外、移動中もやすらげないのは、つらいところだ。私もそうなってしまうのかもしれないが……
2010年度は313系の増備、キハ25系がお目見えし、国鉄在来線車両を淘汰する予定だ。電車については、211系“元なごやカラー”以外、すべてJR東海産に統一される見込みである。
◆JR西日本
http://www.westjr.co.jp/
●アーバンネットワークなど
①エル特急〈くろしお1・11・15・24・30号〉、特急〈スーパーくろしお28号〉は、鳳停車を日根野停車に変更。
②関空特急〈はるか〉は21・25・29・33・37・41・16・20・24・28・32・36号を臨時便に格下げし、81・83・85・87・91・80・82・84・86・88・90号に改める。ただし、当分のあいだは毎日運行される。
③関空特急〈はるか〉は、すべて西九条を通過する。
④エル特急〈くろしお〉は、2往復の運行態勢を見直す。
⑤山陽本線須磨-西明石間の各駅停車は、日中時間帯に運転間隔の見直しを行なう。また、早朝の各駅停車の一部は、運行区間の見直しも行なう。
⑥山陽本線支線(兵庫-和田岬間)は、土曜日の夜の運行間隔を見直す。
⑦加古川線加古川-厄神間は、土休の朝と深夜の時間帯で、運転間隔を見直す。
⑧片町線は全線7両編成で運行する(従来、京橋-京田辺間は7両編成、京田辺-木津間は4両編成で運行)。また、一部の各駅停車を区間快速に変更する。
⑨奈良駅は桜井線ホームを高架化。これにより、ホームはすべて高架化される。
⑩紀勢本線は、和歌山-和歌山市間の各駅停車の初電を40分前後繰り下げ、終電を20分繰り上げる。
⑪新大阪発、紀伊田辺行きの快速を御坊行きに変更し、運行区間が短縮される。これにより、御坊-紀伊田辺間の終電が大幅に繰り上がる。
⑫紀勢本線新宮-紀伊勝浦間で運行する臨時普通電車の運行をとりやめる。
●山陰本線系統
⑬山陰本線京都-園部間は完全複線化され、快速と普通電車は221系、223系5500番代に統一される。これに伴い、京都-園部間の快速と普通電車は、最大9分短縮される。
⑭山陰本線京都-園部間は、平日朝ラッシュ時に快速2往復を増発。夕ラッシュ時は下り2本を増発する。
⑮北近畿ビッグXネットワークの特急は、上りのエル特急〈北近畿〉と特急〈はしだて〉の乗り換え回数を9回から13回に増やす。また、京都発着の特急は、最大5分短縮される。ちなみに北近畿ビッグXネットワークの特急は、福知山で改札内乗換えをする場合に限り、特急料金が通算される特例制度がある。
⑯特急〈きのさき1・3・4・6・8号〉〈はしだて1号〉は、綾部で接続する舞鶴線の普通電車〈リレー号〉との乗り継ぎ時間を5分以内に縮める。また、特急〈たんば1・5号〉は終点福知山で、山陰本線の普通電車〈リレー号〉に接続する(特急〈たんば1号〉は普通電車〈リレー号〉城崎温泉行き、特急〈たんば5号〉は普通電車〈リレー号〉豊岡行きに接続)。
⑰新大阪-宮津間の特急〈タンゴエクスプローラー3号〉は、福知山までの運行に短縮。
⑱京都-福知山間の特急〈タンゴディスカバリー3号〉は、宮津まで延長。
⑲特急〈きのさき5・2号〉は京都-城崎温泉間から、京都-豊岡間に短縮される。
⑳エル特急〈北近畿19・21号〉福知山行きは石生(Isoh)と市島(Ichijima)、特急〈たんば1号〉福知山行きは胡麻(Goma)、特急〈たんば9号〉福知山行きは和知(Wachi)を通過する。
21.特急〈スーパーいなば1・12号〉の運行時刻を変更。1号は広島6時00分発の山陽新幹線〈のぞみ108号〉東京行きからの乗り継ぎができる。また。12号は岡山22時36分発の山陽新幹線〈のぞみ119号〉広島行きに乗り継ぐことができる。これにより、鳥取県内の滞在時間が大幅に拡大される。
22.特急〈スーパーいなば91・92号〉の運行を取りやめる。
23.特急〈スーパーまつかぜ3・7・9・2・4・6号〉〈スーパーおき5・4号〉を鳥取大学前に停車。
24.臨時特急〈スーパーまつかぜ81号〉米子行きを定期便に昇格。
25.山陰本線長門粟野-阿川間、長門二見-宇賀本郷間、美祢線於福(Ofuku)-渋木間、芸備線向原-志和口間は鹿対策のため、徐行する普通列車を増やす。これにより、山陰本線と美祢線は1往復、芸備線は下り1本と上り2本が徐行運転のため、所要時間が延びる。
26.姫新線姫路-上月間の線路改良工事の完成に伴い、所要時間が短縮され、2年間という期間限定で、試行的な普通列車の増発を行なう。
27.姫新線津山-美作江見間、因美線津山-美作加茂間、各1往復の運行をとりやめる。
28.津山線は岡山-福渡間の普通列車を岡山-金川間に短縮させる。
29.伯備線、津山線は最終列車の時刻を繰り上げる。
30.エル特急〈やくも2号〉は、宍道、生山にも停車。
●山陽本線系統
31.山陽本線の快速〈通勤ライナー〉全便を海田市に停車。
32.山陽本線で、平日夕ラッシュ時に運行されている快速〈シティライナー〉を快速〈通勤ライナー〉に置き換える。
33.快速〈シティライナー〉の一部を普通電車に格下げ。
34.山陽本線の普通電車1646M、1648Mを西条まで延長。
35.芸備線の快速〈みよしライナー〉は、1往復を広島-下深川間の普通列車に格下げし、下深川-三次間の運行を取りやめる。
36.快速〈マリンライナー〉は、2010年1月19日(火曜日)から順次、1両減車され、1月24日(日曜日)に完了する。これにより、5両編成を基本に、2・3・7両編成で運行される。
●山陽新幹線
37.〈のぞみ63号〉博多行き終電は、徳山に停車(23時12分着)。
38.700系7000番代で運行する〈ひかり〉レールスターは、新大阪-博多間5往復を臨時便に格下げ。
39.〈こだま〉は岡山-広島間3往復、広島-博多間1往復、小倉-博多間3往復の運行を取りやめる。
40.2010年2月28日(日曜日)で、500系〈のぞみ〉の運行が終了する。
●北陸本線系統
41.683系4000番代の増備により、特急〈サンダーバード〉が増発される。ちなみに683系4000番代は、1・3・11・17・23・25・27・31・39・45・2・10・16・18・22・24・30・38・42・46号で使用(休日ダイヤの場合は変更あり)。そのほかは681系と683系のいずれかで運用される。
42.大阪-和倉温泉間の特急〈サンダーバード〉は、3両編成から、グリーン車つきの6両編成に変更される。
43.683系4000番代の増備により、エル特急〈雷鳥〉はついに定期1往復となる(「エル特急」の冠が外される可能性がある)。このため、『雷鳥レールゴーサービス』が終了する。
44.エル特急〈雷鳥〉は下り2本、上り3本の運行態勢を見直す。このうち、エル特急〈雷鳥22号〉大阪行きは、特急〈サンダーバード20号〉大阪行きとして、定期便に格上げする。
45.特急〈サンダーバード19・29・37・12・20・28号〉、エル特急〈雷鳥33・8号〉は、平日のみ6両編成で運行する(土休と多客期は9両編成で運行)。
46.北陸本線福井-金沢間に521系を投入し、普通電車のサービス改善が図られる。
47.北陸地方各線は通勤・通学の少ない土休に減車や休日運休拡大を実施。学生の夏休み期間中の平日ダイヤは、減車が行なわれる。
48.大糸線南小谷-糸魚川間を運行するキハ52系をキハ120系に置き換える。
●夜行列車
49.特急〈スーパーいなば91・92号〉は、特急〈スーパーいなば1・12号〉に衣替えするため、寝台特急〈サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〉の上郡停車をとりやめる。ただし、寝台特急〈サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〉と特急〈スーパーいなば1・12号〉の乗継ができるため、上郡-岡山間は片道乗車券での往復乗車が認められる模様。くわしい運賃や料金体制は現時点、不明。
50.急行〈能登〉は定期運用を離脱。
JR西日本のダイヤ改正で目につくのは、“減量”であることだ。乗車率の少ない列車を切り捨て、または臨時運行に格下げるなど、経営が厳しくなっていることを物語る。
先日、関西へ行っていたが、東海道本線千里丘-岸辺間を走る関空特急〈はるか〉を見て、乗車率の低さに愕然とした。6両編成で50人も乗っていないありさまなのだ。グリーン車はゼロで、こうなると“特急券を払えば、青春18きっぷで乗車できる特例を作ったほうがいいんじゃないか”と考えたくなるほど。南海電気鉄道の空港特急〈ラピートα〉〈ラピートβ〉の低迷が続いているのは知っているが、関空特急〈はるか〉もそうなのである。そのため、西九条停車をやめるのもうなずける。おそらく、空路と関空特急〈はるか〉の乗り継ぎで、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ行く利用客は少なかったのだろう。
JR西日本の“ドル箱ライン”といえるアーバンネットワークでは、山陰本線京都-園部間の完全複線化、片町線の全線7両運行化が大きな話題になるだろう。前者は快速と普通電車が221系と223系5500番代に統一され、2011年春には287系特急形電車が入るため、一気に近代化される。後者は207系の分割併合がなくなるため、今後の動きが注目される。もしかすると、321系の増備で阪和線、奈良線などへ移ることが考えられるが、103系で体質改善工事を受けていない車両を、廃車させることができるだろうか。
新大阪発の紀勢本線に直通する快速の運行区間縮小は、衝撃といえるだろう。かつては新宮へ向かう夜汽車だったのが、紀伊田辺に短縮され、終点到着が1時台だった。それでも御坊以南の利用客が減ってしまったのだろう。それでまた減ってしまうと、将来は和歌山止まりになってしまうのではないだろうか。
北陸本線は、福井-金沢間の普通電車に521系が投入されるのは大歓迎だが、初の増備も2両編成のままなのが気になる。ラッシュ時は増結するのだろうが、座席定員は3両編成の国鉄車のほうが多いため、不満が噴出されないことを願う。また、金沢-直江津間で運行されないのは、北陸新幹線金沢延伸をにらんでいるからだろうか。
さて、個人的に納得がいかないのは2つある。
1つ目は大糸線にキハ120系が投入されること。どうやら、セミクロスシートの300番代になる模様だが、1両で運行するのであれば、姫新線で余剰になったキハ40系などが適任だったのではないだろうか。車体長はキハ120系よりあるので、定員が多いというのが最大の理由である。おそらく、キハ120系を大糸線にまわす背景には、当初から耐寒耐雪構造なのだろう。
2つ目は快速〈マリンライナー〉の減車。どうやら網干総合車両所から借りていた223系2000番代を返却する模様だが、ラッシュ時や多客期に不満が噴出すことは、確実ではないだろうか。
アーバンネットワークは、2010年5月頃に225系が投入され、新快速で使われる予定である。おそらく、223系2000番代の一部は余剰になるだろうから、4両車を岡山電車区に転属させ、快速〈マリンライナー〉に使えないだろうか。223系5000番代とは、車内の通り抜けができないデメリットはあるものの、性能は同一だし、ラッシュ時や多客期に4両車をつなげば、9両編成になり、混雑緩和にもつながる。
★備考
①鉄道ニュース「キハ120形3両が宮原(操)へ」
②鉄道ニュース「大糸線でキハ52形3両編成が運転される」
残るJR北海道、JR四国、JR九州などは、後日お知らせする予定です。
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◆JR東日本
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①特急〈成田エクスプレス〉のE259系化を進め、2010年夏には完了の予定。また、増発を図り、一部時間帯を除き、横浜方面・新宿方面-成田空港間は30分間隔の運行をする。そして、高尾-成田空港間は1往復増発し、2往復体制となる。
②特急〈成田エクスプレス〉は渋谷、武蔵小杉に全便停車。また、品川は横浜方面発着の全便が停車し、新宿方面発着は一部の便が停車する。
③武蔵小杉に東海道本線支線ホームを新設。特急〈成田エクスプレス〉のほか、「横須賀線」「湘南新宿ライン」の電車が停まる。ただし、当分のあいだ、乗り換え通路は暫定的なものを使うため、幅員が狭く、30分以内の乗換えを条件に、改札の外に出て乗り換えることができる。
④「横須賀線-総武線」と表示する電車の平日朝ラッシュ時に、大船-武蔵小杉-千葉間(大船-品川間は普通電車、品川-千葉間は快速)を1本増発して、混雑緩和を図る。
⑤南武線は平日朝ラッシュ時に、西国立発川崎行きの各駅停車を1本新設し、混雑緩和を図る。また、夜間の時間帯は運行区間の見直しを行ない、混雑の緩和を図る。
⑥横浜線は平日朝ラッシュ時に東海道本線(京浜東北線)、根岸線の直通電車を3往復増発する。
⑦横浜線の日中時間帯に快速を毎時1往復増発。快速は毎時3往復体制となる。また、各駅停車は毎時6往復のままとなり、快速通過駅の利便性は維持される。
⑧武蔵野線の日中時間帯は、京葉線東京へ直通する快速を毎時1往復増発し、毎時3往復体制とする。その代わり、各駅停車南船橋行きは、毎時3往復から2往復に減る。ちなみに快速は武蔵野線内、各駅に停まる。
⑨総武本線の快速(通称、「総武快速線」)は、日中時間帯の内房線直通便を1往復増やす。
⑩休日ダイヤの埼京線(大崎-池袋間は山手線、池袋-赤羽間は赤羽線、赤羽-大宮間は東北本線支線を走る電車の総称)は、東京臨海高速鉄道の直通便を2往復増やす。
⑪京浜東北線及び根岸線の209系は、2009年1月24日(日曜日)にピリオドを打ち、翌日からE233系1000番代に統一される予定。これにより、6ドア車が姿を消す。
⑫2010年夏の予定で、京葉線にE233系(番代区分があるかどうかは不明)が投入され、201系、205系、209系500番代を置き換える予定。
⑬上越新幹線越後湯沢-新潟間のデジタルATC化により、東京-新潟間の〈とき〉は最大3分短縮される。ただし、すべての〈とき〉〈Maxとき〉に該当するわけではない。
⑭特急〈さざなみ〉の運行本数及び運行区間を見直す。
⑮寝台特急〈北陸〉は運行終了の予定。
JR東日本最大の目玉といえば、武蔵小杉だろう。従来、南武線のホームしかなかったところに、東海道本線支線(横須賀線、湘南新宿ライン)のホームを新設。ホームの位置は地下鉄なみに離れているため、乗り換えには数分かかる。また、工事が遅れたのか、なにかにあせっているのか、連絡通路が完成せず、暫定のものを使う。そのため、JR線では初めてかもしれない30分以内の改札外乗換え制度を新設し、柔軟な対応をとっている。
これに脅威を感じているのは、東京急行電鉄(通称、「東急」)だろう。東横線、目黒線からの“乗り換え”が予想され、全線に渡り、利用客の減少は避けられないと言っていい。
東横線の救いは始発が渋谷なので、“待てば坐れる”というメリットがあるものの、2012年度に予定されている東京地下鉄(通称、「東京メトロ」)副都心線の相互直通運転が始まると、そのメリットがなくなってしまう恐れがある。また、相互直通運転をしても、運賃はJR東日本と大差がないことが予想されるため、湘南新宿ラインの利便性(10両編成または15両編成の運行)が高まるに違いない。これは目黒線も同様で、東京都交通局都営三田線直通便の武蔵小杉-大手町(I-09)間に関しては、横須賀線の利便性が際立つことだろう(大手町駅は、東京駅に隣接しているも同然のため)。
おそらく、東急側も東横線、目黒線のダイヤ改正を2010年春に実施することが予想される。もしかすると、目黒線に特急が登場するかもしれないし、視点を変えて大井町線に直通する急行が現れるかもしれない。また、大井町線の急行が目黒線に直通し、東京メトロ南北線、都営三田線の相互直通運転も考えられるが、ATO運転が大条件となるため、実現は困難だろう。
このほか、209系がダイヤ改正を前に、京浜東北線及び根岸線から姿を消す。さいわい、廃車を免れた車両があり、減車のうえ、南武線や房総各線に活躍の場を移している。
“E233系旋風”は、常磐線(E233系2000番代)と京葉線で進むことになる。京葉線のE233系の車番は基本番代、1000番代のどちらかを継承するのか、「E233系4000番代」「E233系5000番代」というカタチになるのか? 多くのレールファンは興味津々だろう。
ブルートレインのリストラは消えることなく、今度は寝台特急〈北陸〉が“被害者”となってしまった。のちほど後述する急行〈能登〉も運行を終了することになっているが、ここで大きな問題がある。
JR東日本のプレスリリースでは、「臨時列車を運転します」とあるものの、JR西日本は「臨時急行列車を運行します」となっており、どちらかが不正確な記述をした可能性がある。つまり、JR東日本は「寝台特急〈北陸〉、急行〈能登〉は臨時列車として運行します」、JR西日本は「急行〈能登〉は臨時列車として運行します」という解釈ができるのだ。
余談だが、EF81形を置き換えるEF510形500番代がお目見えし、2010年3月13日(土曜日)のダイヤ改正から、寝台特急〈北斗星〉〈あけぼの〉〈カシオペア〉を牽引することが考えられる。
★備考
鉄道ニュース「JR東日本のEF510-501,登場」
◆JR東海
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①東海道新幹線と山陽新幹線をまたぐ、定期便の〈のぞみ〉はすべてN700系化される。また、N700系〈のぞみ〉が増加し、ダイヤ改正以降も増備されるため、700系の〈こだま〉運用と300系の廃車が進む見込み。
②東海道新幹線上りは、8時20分から9時13分までに東京へ到着する〈のぞみ〉をN700系にそろえ、一部の便は所要時間が短縮される。
③東京-広島間の運行だった〈のぞみ7・13・19・53・59・6・12・42・48・54・60号〉は東京-博多間へ、東京-新大阪間の運行だった〈のぞみ101・114号〉は東京-広島間へ、それぞれ運行区間を拡大。
④東海道新幹線〈こだま673号〉新大阪行きは、東京-名古屋間に短縮される。これに伴い、後続の〈ひかり483号〉岡山行きは、岐阜羽島と米原に停車する(〈ひかり483号〉岡山行きは、名古屋から各駅に停まる)。
⑤在来線各線は、一部列車にダイヤの変更が行なわれる。
JR東海はN700系による快適性の向上を進め、2011年度の予定で300系を淘汰する予定だ。
N700系のグリーン車は全席、普通車は窓側と車端部にあるコンセントは好評で、ビジネス色がますます特化されている。こうなると、車窓を楽しむ時間が縮小され、“車内が社内と化してしまう”ことが懸念される。パソコンがずーっと使えるのはいいことだけど、仕事ではなく、息抜きで使えないものだろうか? 今の東海道新幹線は〈こだま〉以外、移動中もやすらげないのは、つらいところだ。私もそうなってしまうのかもしれないが……
2010年度は313系の増備、キハ25系がお目見えし、国鉄在来線車両を淘汰する予定だ。電車については、211系“元なごやカラー”以外、すべてJR東海産に統一される見込みである。
◆JR西日本
http://www.westjr.co.jp/
●アーバンネットワークなど
①エル特急〈くろしお1・11・15・24・30号〉、特急〈スーパーくろしお28号〉は、鳳停車を日根野停車に変更。
②関空特急〈はるか〉は21・25・29・33・37・41・16・20・24・28・32・36号を臨時便に格下げし、81・83・85・87・91・80・82・84・86・88・90号に改める。ただし、当分のあいだは毎日運行される。
③関空特急〈はるか〉は、すべて西九条を通過する。
④エル特急〈くろしお〉は、2往復の運行態勢を見直す。
⑤山陽本線須磨-西明石間の各駅停車は、日中時間帯に運転間隔の見直しを行なう。また、早朝の各駅停車の一部は、運行区間の見直しも行なう。
⑥山陽本線支線(兵庫-和田岬間)は、土曜日の夜の運行間隔を見直す。
⑦加古川線加古川-厄神間は、土休の朝と深夜の時間帯で、運転間隔を見直す。
⑧片町線は全線7両編成で運行する(従来、京橋-京田辺間は7両編成、京田辺-木津間は4両編成で運行)。また、一部の各駅停車を区間快速に変更する。
⑨奈良駅は桜井線ホームを高架化。これにより、ホームはすべて高架化される。
⑩紀勢本線は、和歌山-和歌山市間の各駅停車の初電を40分前後繰り下げ、終電を20分繰り上げる。
⑪新大阪発、紀伊田辺行きの快速を御坊行きに変更し、運行区間が短縮される。これにより、御坊-紀伊田辺間の終電が大幅に繰り上がる。
⑫紀勢本線新宮-紀伊勝浦間で運行する臨時普通電車の運行をとりやめる。
●山陰本線系統
⑬山陰本線京都-園部間は完全複線化され、快速と普通電車は221系、223系5500番代に統一される。これに伴い、京都-園部間の快速と普通電車は、最大9分短縮される。
⑭山陰本線京都-園部間は、平日朝ラッシュ時に快速2往復を増発。夕ラッシュ時は下り2本を増発する。
⑮北近畿ビッグXネットワークの特急は、上りのエル特急〈北近畿〉と特急〈はしだて〉の乗り換え回数を9回から13回に増やす。また、京都発着の特急は、最大5分短縮される。ちなみに北近畿ビッグXネットワークの特急は、福知山で改札内乗換えをする場合に限り、特急料金が通算される特例制度がある。
⑯特急〈きのさき1・3・4・6・8号〉〈はしだて1号〉は、綾部で接続する舞鶴線の普通電車〈リレー号〉との乗り継ぎ時間を5分以内に縮める。また、特急〈たんば1・5号〉は終点福知山で、山陰本線の普通電車〈リレー号〉に接続する(特急〈たんば1号〉は普通電車〈リレー号〉城崎温泉行き、特急〈たんば5号〉は普通電車〈リレー号〉豊岡行きに接続)。
⑰新大阪-宮津間の特急〈タンゴエクスプローラー3号〉は、福知山までの運行に短縮。
⑱京都-福知山間の特急〈タンゴディスカバリー3号〉は、宮津まで延長。
⑲特急〈きのさき5・2号〉は京都-城崎温泉間から、京都-豊岡間に短縮される。
⑳エル特急〈北近畿19・21号〉福知山行きは石生(Isoh)と市島(Ichijima)、特急〈たんば1号〉福知山行きは胡麻(Goma)、特急〈たんば9号〉福知山行きは和知(Wachi)を通過する。
21.特急〈スーパーいなば1・12号〉の運行時刻を変更。1号は広島6時00分発の山陽新幹線〈のぞみ108号〉東京行きからの乗り継ぎができる。また。12号は岡山22時36分発の山陽新幹線〈のぞみ119号〉広島行きに乗り継ぐことができる。これにより、鳥取県内の滞在時間が大幅に拡大される。
22.特急〈スーパーいなば91・92号〉の運行を取りやめる。
23.特急〈スーパーまつかぜ3・7・9・2・4・6号〉〈スーパーおき5・4号〉を鳥取大学前に停車。
24.臨時特急〈スーパーまつかぜ81号〉米子行きを定期便に昇格。
25.山陰本線長門粟野-阿川間、長門二見-宇賀本郷間、美祢線於福(Ofuku)-渋木間、芸備線向原-志和口間は鹿対策のため、徐行する普通列車を増やす。これにより、山陰本線と美祢線は1往復、芸備線は下り1本と上り2本が徐行運転のため、所要時間が延びる。
26.姫新線姫路-上月間の線路改良工事の完成に伴い、所要時間が短縮され、2年間という期間限定で、試行的な普通列車の増発を行なう。
27.姫新線津山-美作江見間、因美線津山-美作加茂間、各1往復の運行をとりやめる。
28.津山線は岡山-福渡間の普通列車を岡山-金川間に短縮させる。
29.伯備線、津山線は最終列車の時刻を繰り上げる。
30.エル特急〈やくも2号〉は、宍道、生山にも停車。
●山陽本線系統
31.山陽本線の快速〈通勤ライナー〉全便を海田市に停車。
32.山陽本線で、平日夕ラッシュ時に運行されている快速〈シティライナー〉を快速〈通勤ライナー〉に置き換える。
33.快速〈シティライナー〉の一部を普通電車に格下げ。
34.山陽本線の普通電車1646M、1648Mを西条まで延長。
35.芸備線の快速〈みよしライナー〉は、1往復を広島-下深川間の普通列車に格下げし、下深川-三次間の運行を取りやめる。
36.快速〈マリンライナー〉は、2010年1月19日(火曜日)から順次、1両減車され、1月24日(日曜日)に完了する。これにより、5両編成を基本に、2・3・7両編成で運行される。
●山陽新幹線
37.〈のぞみ63号〉博多行き終電は、徳山に停車(23時12分着)。
38.700系7000番代で運行する〈ひかり〉レールスターは、新大阪-博多間5往復を臨時便に格下げ。
39.〈こだま〉は岡山-広島間3往復、広島-博多間1往復、小倉-博多間3往復の運行を取りやめる。
40.2010年2月28日(日曜日)で、500系〈のぞみ〉の運行が終了する。
●北陸本線系統
41.683系4000番代の増備により、特急〈サンダーバード〉が増発される。ちなみに683系4000番代は、1・3・11・17・23・25・27・31・39・45・2・10・16・18・22・24・30・38・42・46号で使用(休日ダイヤの場合は変更あり)。そのほかは681系と683系のいずれかで運用される。
42.大阪-和倉温泉間の特急〈サンダーバード〉は、3両編成から、グリーン車つきの6両編成に変更される。
43.683系4000番代の増備により、エル特急〈雷鳥〉はついに定期1往復となる(「エル特急」の冠が外される可能性がある)。このため、『雷鳥レールゴーサービス』が終了する。
44.エル特急〈雷鳥〉は下り2本、上り3本の運行態勢を見直す。このうち、エル特急〈雷鳥22号〉大阪行きは、特急〈サンダーバード20号〉大阪行きとして、定期便に格上げする。
45.特急〈サンダーバード19・29・37・12・20・28号〉、エル特急〈雷鳥33・8号〉は、平日のみ6両編成で運行する(土休と多客期は9両編成で運行)。
46.北陸本線福井-金沢間に521系を投入し、普通電車のサービス改善が図られる。
47.北陸地方各線は通勤・通学の少ない土休に減車や休日運休拡大を実施。学生の夏休み期間中の平日ダイヤは、減車が行なわれる。
48.大糸線南小谷-糸魚川間を運行するキハ52系をキハ120系に置き換える。
●夜行列車
49.特急〈スーパーいなば91・92号〉は、特急〈スーパーいなば1・12号〉に衣替えするため、寝台特急〈サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〉の上郡停車をとりやめる。ただし、寝台特急〈サンライズ瀬戸・サンライズ出雲〉と特急〈スーパーいなば1・12号〉の乗継ができるため、上郡-岡山間は片道乗車券での往復乗車が認められる模様。くわしい運賃や料金体制は現時点、不明。
50.急行〈能登〉は定期運用を離脱。
JR西日本のダイヤ改正で目につくのは、“減量”であることだ。乗車率の少ない列車を切り捨て、または臨時運行に格下げるなど、経営が厳しくなっていることを物語る。
先日、関西へ行っていたが、東海道本線千里丘-岸辺間を走る関空特急〈はるか〉を見て、乗車率の低さに愕然とした。6両編成で50人も乗っていないありさまなのだ。グリーン車はゼロで、こうなると“特急券を払えば、青春18きっぷで乗車できる特例を作ったほうがいいんじゃないか”と考えたくなるほど。南海電気鉄道の空港特急〈ラピートα〉〈ラピートβ〉の低迷が続いているのは知っているが、関空特急〈はるか〉もそうなのである。そのため、西九条停車をやめるのもうなずける。おそらく、空路と関空特急〈はるか〉の乗り継ぎで、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへ行く利用客は少なかったのだろう。
JR西日本の“ドル箱ライン”といえるアーバンネットワークでは、山陰本線京都-園部間の完全複線化、片町線の全線7両運行化が大きな話題になるだろう。前者は快速と普通電車が221系と223系5500番代に統一され、2011年春には287系特急形電車が入るため、一気に近代化される。後者は207系の分割併合がなくなるため、今後の動きが注目される。もしかすると、321系の増備で阪和線、奈良線などへ移ることが考えられるが、103系で体質改善工事を受けていない車両を、廃車させることができるだろうか。
新大阪発の紀勢本線に直通する快速の運行区間縮小は、衝撃といえるだろう。かつては新宮へ向かう夜汽車だったのが、紀伊田辺に短縮され、終点到着が1時台だった。それでも御坊以南の利用客が減ってしまったのだろう。それでまた減ってしまうと、将来は和歌山止まりになってしまうのではないだろうか。
北陸本線は、福井-金沢間の普通電車に521系が投入されるのは大歓迎だが、初の増備も2両編成のままなのが気になる。ラッシュ時は増結するのだろうが、座席定員は3両編成の国鉄車のほうが多いため、不満が噴出されないことを願う。また、金沢-直江津間で運行されないのは、北陸新幹線金沢延伸をにらんでいるからだろうか。
さて、個人的に納得がいかないのは2つある。
1つ目は大糸線にキハ120系が投入されること。どうやら、セミクロスシートの300番代になる模様だが、1両で運行するのであれば、姫新線で余剰になったキハ40系などが適任だったのではないだろうか。車体長はキハ120系よりあるので、定員が多いというのが最大の理由である。おそらく、キハ120系を大糸線にまわす背景には、当初から耐寒耐雪構造なのだろう。
2つ目は快速〈マリンライナー〉の減車。どうやら網干総合車両所から借りていた223系2000番代を返却する模様だが、ラッシュ時や多客期に不満が噴出すことは、確実ではないだろうか。
アーバンネットワークは、2010年5月頃に225系が投入され、新快速で使われる予定である。おそらく、223系2000番代の一部は余剰になるだろうから、4両車を岡山電車区に転属させ、快速〈マリンライナー〉に使えないだろうか。223系5000番代とは、車内の通り抜けができないデメリットはあるものの、性能は同一だし、ラッシュ時や多客期に4両車をつなげば、9両編成になり、混雑緩和にもつながる。
★備考
①鉄道ニュース「キハ120形3両が宮原(操)へ」
②鉄道ニュース「大糸線でキハ52形3両編成が運転される」
残るJR北海道、JR四国、JR九州などは、後日お知らせする予定です。
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E259 先日池袋で見ました 中々格好良かったです まだとても綺麗な車体で・・・・・・
by トータン (2009-12-20 08:35)
トータンさん、どうもありがとうございます。
今年登場のニューフェイスですから、綺麗な車体であることは間違いありませんが、白がメインカラーですので、洗車をきっちりして、汚れが目立つことのないように気を配っていただきたいところですね。
おそらく、E259系は2010年鉄道友の会ブルーリボン賞最有力候補だと思います。興味がある車両なので、早く乗りたいところですね。
by 岸田法眼 (2009-12-20 10:27)
いつもながらに、詳しくてわかりやすい記事は、参考になります。
来年の時刻表改正、武蔵小杉駅が楽しみです♪
6両編成の京浜東北線は、どうしてなくなってしまうのでしょう。
by あーちゃ (2009-12-20 13:24)
改正の度にどきどきしますが、能登、北陸の定期運行廃止は大きいです。
北陸はもう少し残るかと思ってました。
by しおつ (2009-12-20 18:59)
あーちゃさん、どうもありがとうございます。
6両編成ではなく、6ドア車ですが、これは湘南新宿ラインの本格稼動で混雑が緩和されたことによるものです。また、昨年には山手線に可動式ホーム柵の設置が決まりました。これにより、山手線からも6ドア車が消える予定です(6ドア車が連結したままだと、スペースの都合で可動式ホーム柵を設置できないため)。ちなみに6ドア車は、山手線は7・10号車、京浜東北線209系は6号車にあります。
山手線と京浜東北線は年に数日、昼間に保線作業することがあり、京浜東北線の線路に山手線の電車が走ります(その逆もあります)。つまり、可動式ホーム柵の設置には、可動式ホーム柵と電車の側扉の位置を合わせなければなりません。ただ、山手線は11両編成、京浜東北線は10両編成で、なおかつ、先頭車は乗務員室を広く取っているため、後者には不利な点があります。おそらく、山手線の10号車部分の可動式ホーム柵の扉は広く取るでしょう。
武蔵小杉について補足ですが、横浜、渋谷、東京方面の運賃が安くなる可能性があります。これは東京近郊区間によるもので、駅の運賃表は最短経路で提示しておりますが、東京近郊区間内であれば、同じ駅を2度通らない限り、遠回りしても問題ありません。乗車券だと時間超過で自動改札機が“待った”をかけることがあるものの、Suicaは問題ありません。
つまり、武蔵小杉は南武線ルートだと、川崎で乗り換えなければならず、遠回りになってしまい、運賃や所要時間の面で、東急が有利なわけですが、2010年3月13日(土曜日)以降は拮抗することになるでしょう。
なお、東京近郊区間については『JR時刻表』のピンクページを御覧ください。
by 岸田法眼 (2009-12-20 19:34)
しおつさん、どうもありがとうございます。
北陸新幹線金沢延伸まで、〈北陸〉〈能登〉は健在だと思っていただけに、思ったより早い展開は残念でなりません。ただ、本文にもありますが、プレスリリースの記述が異なるのは気になります。どちらが正しいのか、その答えは来年の春の臨時列車情報まで待つことにします。
by 岸田法眼 (2009-12-20 19:35)
あ、6ドアでしたね。すみません。でも、またさらに丁寧に詳しい解説ありがとうございます。
湘南新宿ラインの効果ってすごいんですね。
ホームドアが設置されるのは、すごくうれしい限りです。
南北線に遅れが出にくいのは、ホームドアがあるおかげではないかと思うのです。
だから、早く、全部の駅に着いてほしいと思ってます。
情報ありがとうございます。
by あーちゃ (2009-12-20 20:33)
夜行列車がまた無くなるわけで寂しいかぎりです。
「北陸」or「能登」を使って旅行計画を考えていただけに衝撃…。
by 下総弾正くま (2009-12-20 21:10)
あーちゃさん、この記事2回目のコメント、ありがとうございます。
湘南新宿ラインは、横浜方面から新宿へ向かう利用客には朗報だったようですね。大宮側だと埼京線がありますが、こちらは湘南新宿ラインがあっても、混雑緩和にはつながっていないようです。それだから、防犯カメラ設置ということになるのでしょうか。
ホームドアは南北線のようなガラス張りと、いろいろなところで見られるゲート式があり、後者のほうが費用の面や既設路線に設置できることがあって、主流のようです。南北線は全通時及び、目黒線相互直通運転時に8両編成化する予定でしたが、いまだ実現していません。
普段、南北線を利用しているわけではありませんので、ラッシュ時の混み具合はよくわかりませんが、激しく混んでいないこともあると思います。また、ガラス張りのホームですから、よほどのことがない限り、人身事故は起こりません。ゲート状のホームドアは飛び越えることが可能ですから、安全面ではガラス張りより劣ります。
すべての駅でホームドアをつけるには、車両規格を統一しなければならず、有料特急の車両には不利な面があります。
なお、山手線のホームドア設置は数年後になります。これは古いホームの補強が必要なためです。
by 岸田法眼 (2009-12-21 23:38)
下総弾正くまさん、どうもありがとうございます。
2つの夜汽車は歴史があるだけに、残念ですね。〈北陸〉の場合、所要時間が短いため、充分に眠れないまま、終点に着いちゃいそうですね。つまり、“寝台料金を払うのがもったいない”ということですが、〈能登〉は座席だけなので、乗りドクな気がします。どちらも長岡で、進行方向が変わるのがシャクですけどね。
by 岸田法眼 (2009-12-21 23:38)