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小田急電鉄5000形、10000形、20000形フォーエヴァー THE LAST GREETING [汽車旅2012番外編]

◆最後の晴れ舞台

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2012年3月25日(日曜日)11時13分、小田急電鉄(以下、「小田急」)小田原線海老名へ。隣は相模鉄道本線のホームで、車両の新塗装化が進んでいる。ここはJR東日本相模線の乗換えでもあるが、下車して少々歩くため、隣の厚木のほうが乗換えしやすい。

さて、2012年3月16日(金曜日)、日本の鉄道は激動の1日だったが、小田急も5000形、10000形HiSE、20000形RSEが一挙に営業運転を終えた。5000形は天寿を全うしたように思うが、ベテランの7000形LSEが健在なだけに、10000形HiSE、20000形RSEの退役は早い。

同社は、3月24・25日(土・日曜日)に海老名検車区で「5000形・10000形・20000形お別れイベント THE LAST GREETING」を開催し、乗れなかった人、撮れなかった人にとっては福音である。同社の特設サイトでは10000形HiSE、20000形RSEのダイヤを公表していたが、5000形は非公表だった。このため、5000形を目にする機会をこの2日間に懸けた人が多いと思う。

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自動改札機を出て、左へ。スタッフの誘導で進むが、混雑を見込んでか、入口と出口のルートを変えている。入口は有料駐車場の使用を一時中止させ、遠回りをさせている。混雑が激しいときは銀行ATMのようなジグザグに並ぶことを想定しているからだが、幸い“渋滞”もなく、スムーズに海老名検車区に着いた。付近には保線用の車両を留置しており、このイベントに訪れる人たちに挨拶をしているかのようだ。また、同検車区入口では30キロレールと6番左分岐を展示しているが、毎年秋に「ファミリー鉄道展」が開催されているため、常設している。

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数箇所のテントでは、「みんなの想い出フォトライブラリー」があり、乗客から寄せられた思い出の写真が飾られている。中にはJR東海371系の写真を送った乗客もいたが、小田急は“友情出演”として、快く掲示した。371系も特急ロマンスカーの一員なのだ。仮にアルファベッドの車両愛称をつけるとするならば、「CSE(Central Super Express)」か「WSE(Wide View Super Express)」のいずれかになるだろう。

◆5000形

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車両展示コーナーに入ると、左から5000形、10000形HiSE、20000形RSEの順に展示しているが、パンタグラフを下ろしているため、照明と空調が作動していない。前日はあいにくの雨だったが、この日は晴れ時々曇り。やや不安定な空模様だが、雨が降ることはない。

5000形は昭和44年(1969年)に誕生した。新製当初からケイプアイボリーにロイヤルブルーの帯を巻き、その後の鋼製通勤形電車標準色となっている(1000形以降のステンレス車は、ロイヤルブルーの帯を継承している)。また、1900形で確立した“小田急顔”のスタイルを継承した最後の車両である。今回、車内見学がスムーズに行なえるよう、7・8号車コースと9・10号車に分かれていた(入口は7・9号車、出口は8・10号車)。

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私は9号車から入る。平成10年(1998年)にリニューアルされているが、ロングシートはオリジナルを堅持しているようだ。優先席は背もたれに白い太帯と細帯が各4本あり、明確化している。一方の通常席は国鉄車両を思い出すような濃い青だが、背もたれの中央は水色のラインが2つあり、1人分の着席区分を示している。その左右は3人掛けであることを示しているが、乗客にはわかりづらいかもしれない。

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出口の10号車を出ると、前方の車止めにタイヤをかけていた。車止めによってはタイヤの大きさが異なるが、珍しい光景だ。


◆10000形HiSE

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10000形HiSEは小田急開業60周年を記念し、昭和62年(1987年)に登場した。HiSEの由来は「High-Decker」、「High-Grade」、「High-Level」という3拍子そろった「Super Express」である。この時代、国鉄からJR初期にかけてハイデッカー車両が流行していたので、小田急はそれに“便乗”したようである。

車内見学は1~3号車(入口3号車、出口1号車)、9~11号車(入口9号車、出口11号車)に分けた。後述する20000形RSEともども、タダで特急ロマンスカーに“簡易乗車”できるため、来場者の人気が高く、待ち時間は15分程度かかった。

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私は9号車から入り、右手には喫茶カウンターがある。かつては客室で乗客が係員に飲食物に注文すると、喫茶カウンターで調理し、それを届けるというサービスが行なわれていたが、効率重視のため、ワゴンサービスによる車内販売に変更された。

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10000形HiSEはリクライニングをしない回転式クロスシートを採用している。昭和60年(1985年)に登場した国鉄100系新幹線電車で、普通車のリクライニングシート時代が始まっていた中、あえて回転式クロスシートを選んだわけだが、坐り心地はよく、同じ座席を採用している急行〈りょうもう〉でおなじみの東武鉄道1800系よりも居住性がいい。

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外観は連接台車に興味を持つ人が多く、撮影するレールファンも少なくなかったが、発泡剤内蔵型の外幌を眺めると、新幹線の全周幌っぽく見えるのは気のせいか。


◆20000形RSE

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20000形RSEは平成2年(1990年)に登場。RSEの由来は「Resort Super Express」である。JR東海との協定書に基づき製作された車両で、小田急ロマンスカーで長らく続いた連接車、展望車構造を取りやめた。7両編成中2両は2階建て、ほかの5両はハイデッカーで、外観は小田急ロマンスカー史上もっともボリューム感がある。

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車内見学は1・2号車の普通車、3・4号車のスーパーシート(特急ロマンスカー〈あさぎり〉では「グリーン車」と案内していた)、4号車のセミコンパートメントの3箇所。普通車は1号車の乗務員室が入口だ。

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普通車はリクライニングシートで、簡易的な足のせがある。この時代、普通車でも簡易的な足のせをつける優等車両があり、“ゆとり”というものに重きを置いていたことがうかがえる。
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スーパーシートは1人掛けと2人掛けで、座席幅も広い。客室が2階にあるため、空間確保の観点からデッキ付近に大型荷物置場を設け、ゴルフバックにも対応している。

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2階建て車両の1階にあるセミコンパートメントは4人用で、車窓の眺めが期待できない分、グループや家族連れが気兼ねなくくつろげる場であった。ただし、3・4号車は2階スーパーシートしか通り抜けができない。これはできるだけスーパーシートの定員を確保する目的があったからだが、3号車新宿寄り、4号車本厚木寄り1階に非常口を設け、2階スーパーシートのマガジンラックは脱出口を兼ねている。幸い営業運転で使われることはなかったが、今回のイベントでは開かずの扉が開き、貴重な経験をさせていただいた。

5000形、10000形HiSE、20000形RSE、お疲れ様でした。


★備考

①参考資料として、『鉄道のテクノロジーVol.12』(三栄書房刊)を使用。

②参考資料として、『鉄道ジャーナル』1991年4・7月号(当時、鉄道ジャーナル社刊)を使用。

③岸田法眼のRailway Blog.
「小田急電鉄2600形フォーエヴァー」 

④岸田法眼のRailway Blog.
「2002年の汽車旅6-後編-」 

★おまけ
























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