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2008年の汽車旅1-4 [汽車旅2008]



「この電車は下関行きです。途中、西条まで各駅に停まります。西条から岩国間は快速列車として運転します。途中、停まらない駅がございますので、あらかじめ御了承下さい。岩国から先、終点下関まで、各駅に停車いたします」  

岡山を発車すると、車掌が放送を流す。岡山の行先案内板は「各駅停車」と表示しているので、適切な案内である。

 

北長瀬へ進んでいくと、ジョイフルトレイン、『サロンカーなにわ』が休んでいる。国鉄時代の昭和58年(1983年)、『サロンエクスプレス東京』と共にジョイフルトレインという、新しい列車の分野を誕生させたもので、25年が経過している。残念ながら『サロンエクスプレス東京』は平成9年(1997年)、お座敷客車、『ゆとり』に再改造され、2008年3月で幕を閉じたが、『サロンカーなにわ』はまだまだ活躍を続ける。ちなみに『サロンカーなにわ』は昭和61年(1986年)夏、臨時急行〈サロン銀河〉を運行しており、盛況したという。もう1度、臨時急行〈サロン銀河〉を運行して欲しいけど、“真夏の夜の夢”が再びやって来ることはないだろう。  

中庄を発車するものの、なぜかスピードはあがらない。

「もしもしーっ!!」  

と車内に突然、車掌の大声が流れてきた。いったい、なにがあったのか?

「大変失礼しました。次は倉敷、倉敷です」  

ほどなくして、スピードがあがると、車掌は放送を流し、お詫びをした。気が動転するような出来事があったのだろう。

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乗車している車両はいかにも国鉄という雰囲気を感じさせるもので、ドアは珍しく緑の化粧板(?)がついている。国鉄の通勤形・近郊形車両の内装は乗務員室と変わらないのが多く、暖かみを感じない。天井には空調吹き出し口と扇風機がある。のちに笠岡停車中、頭上を見上げたら、冷房改造車だとわかった。この空調吹き出し口も国鉄を感じさせるものがある。現在だと冷房装置は標準装備されているので、天井がスッキリしている。  

笠岡で快速〈サンライナー〉福山行きワンマンカーの待ち合わせ。停車中、運転士と車掌は乗務員室を出て、前から3両目に合流。

「どうしたん?」  

と運転士はきくと、車掌は事情を説明して謝罪。内容は聞き取っていないし、事故を起こしたわけでもないので、ここでは公表しない。

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笠岡停車中、車番チェックをするが、1番うしろの車両はリニューアル車だった(体質改善車ではない)。最初からわかっておれば、そこを選んでいるが、トイレが遠く、長距離利用であれば不向きな乗車位置である。また、リニューアル車のフェイスは昔、でかーい目玉のヘッドライトだった痕跡(Konseki)が残っていた。つまり、現在はヘッドライトのサイズが小さいということだが、目をこらすと、人間がなにかに驚いている様子に見えてしまう。テールランプがついているからだろうか(テールランプは頬が赤く染まっており、“ホの字”かもしれない)。  

広島県に入り、大門から車内は盛況。福山から立客が出るほどであるが、松永で大量下車。てっきり、尾道まで混み合うものと思っていた。  

東尾道に近づくと、瀬戸内海オーシャンショーだ。  

客層は青春18きっぷのほか、ジパング倶楽部の会員もおり、定期券、回数券、普通乗車券を合わせれば千差万別、十人十色。お客の中にはどう考えても旅人だが、停まるごとに降りて、駅名盤を撮りまくるオジサンもいる。  

岡山から乗務している車掌は広島までだが、運転士は糸崎でチェンジ。三原を発車すると、車掌はこう案内した。


「この列車は快速〈シティライナー〉下関行きです。西条-岩国間は快速列車として、運転します。途中、停まらない駅がございますので、あらかじめ御了承下さい。岩国から終点下関まで、各駅に停まります」  

お気づきの方も多いだろうが、西条にまだ到達していないのに、もう快速〈シティライナー〉と案内しているのだ。

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方向幕では「西条-岩国 快速」となっているが、実際は下りの場合、糸崎-岩国間、上りの場合、徳山-西条間は快速〈シティライナー〉と案内している。駅の行先案内板もそのように表示している。  

快速〈シティライナー〉は平成3年(1991年)3月16日(土曜日)、西条-広島間、ノンストップで結ぶものの、それ以外は各駅に停まるというパターンで登場。但し、愛称はつけられていなかった。  

平成10年(1998年)3月14日(土曜日)、朝ラッシュ時の上り、柳井・岩国-広島間に快速が登場し、同じ年の10月3日(土曜日)、夕ラッシュ時の下りにも拡大した。  

2001年3月3日(土曜日)、日中時間帯の快速運転は広島-岩国間にも拡大し、快速〈山陽シティライナー〉が誕生。西条-岩国間の停車駅は広島-五日市間の各駅と宮島口である。但し、広島から快速〈山陽シティライナー〉に変わる便も存在している。  

2002年10月5日(土曜日)には瀬野、八本松に停車し、2003年3月15日(土曜日)から日中は快速〈シティライナー〉、ラッシュの時間帯は快速〈通勤ライナー〉に改称。また、広島で快速〈シティライナー〉から快速〈通勤ライナー〉にチェンジする便もあるが、停車駅はどちらも同じである(この場合は広島で列車番号が変わる)。  

2008年3月15日(土曜日)のダイヤ改正では宮内串戸、大竹も停車になり、速達性は薄れるものの、途中駅で普通電車に接続することがほとんどなく、西条-岩国間の普通電車、快速〈シティライナー〉〈通勤ライナー〉は独走である(上りの快速〈通勤ライナー〉は宮島口で普通電車に接続する)。

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電車は本郷に到着。改良工事を行なっており、橋上駅舎になる模様で、ホームも1面2線になりそうな感じである。完成すれば、下り電車の出口は左側から右側に変わるだろう。  

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次の河内(Kohchi)へは空港大橋の工事現場を通るが、まだまだ完成に時間がかかる模様。雄大かつ壮大な橋だが、ドライバーは高いところから走っているという感覚はないのではないだろうか。  

西条から快速運転となり、ウトウト。勾配を下っている途中、アルミ車体に青い帯を巻いた見慣れない電車とすれ違うが、すぐさま東武鉄道50090系を配達中だとわかった。  

東武鉄道50090系は東上本線の〈TJライナー〉に使われる車両で、4ドアだが、回転式クロスシートを装備。向きを変えればロングシートになるため、効率性を重視しているが、東上本線の顔になることは間違いないだろう。ただ、〈TJライナー〉で運行するならば、車内を綺麗に整備し、始発の池袋では1両につき1か所しかドアが開かないようにして欲しいところ。〈TJライナー〉は池袋乗車時のみ300円が必要なためだからである。ちなみに運行開始日はまだ発表されていないが、2008年6月14日(土曜日)が有力視されている。  

15時26分、広島1番のりばに到着。広島シティネットワークという名の通り、多くのお客が押し寄せる。車掌も女性に変わり、ここからは中盤戦といったところだろう。


「お手洗いはついておりませんので、御了承下さい」  

15時30分に広島を発車すると、女性車掌は誤った案内を流す。103系じゃないんだから(広島地区の103系は快速〈安芸路ライナー〉で使われることが多い)。  

横川(Yokogawa)はキハ40系体質改善車6両編成とすれ違い、圧巻!! 五日市では大量下車があり、宮島口でも更に減る。ここから岩国まではノンストップ運転で、速くもなく、遅くもない、ほどよいスピードで山陽路を駆け抜ける。  

大竹-岩国間では2008年3月15日(土曜日)にオープンする新駅、和木を通過。ここまでJR西日本新駅を3つ通ったが、いずれもホーム全体に上屋がなく、雨や雪の日はカサをさしたまま電車を待たなければならず、いかがなものかと思う。  

岩国から各駅に停まり、藤生(Fuju)-通津(Tsuzu)間の瀬戸内海オーシャンショーは相変わらず綺麗だ。日本の車窓では5本の指に入るだろう。  

余談だが、私が選ぶ日本の車窓ベスト5は次の通りである。  

第5位:JR東日本京葉線新木場-葛西臨海公園間の東京湾オーシャンショー。  

第4位:JR東日本五能線の日本海オーシャンショー。  

第3位:JR西日本山陽本線尾道近辺の瀬戸内海オーシャンショー。  

第2位:JR西日本山陽本線山口県内のオーシャンショー。  

第1位:大阪市交通局御堂筋線中津-西中島南方間。地上にあがると、クルマと一体となって淀川を渡る車窓は壮観である。

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大畠(Oh-Batake)を過ぎると、瀬戸内海オーシャンショーは終わりを告げ、暖房は弱まった。前のボックスシートでは岡山からずーっと乗っている男性2人、女性1人の若者3人組は下段の窓をちょっとだけ開けていた。“ガンガン暖房”に嫌気がさしたのだろう。  

時刻は17時となり、夕日が東へ。普通は西なのにどーなってるの?

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17時15分、徳山4番のりばに到着。3人組の女性は電車とホームの段差が思いっきりあることに興味津々。地方を感じる光景と言えよう。  

17時18分に発車。福川を過ぎると、夕日は西に向いたが、戸田(Heta)を発車すると、また東へ。めまぐるしい夕日の位置だが、18時00分、新山口6番のりばに到着。ここで12分停車するので、晩メシを仕入れることにしよう。

下車してセブンイレブンへ駆け込んだが、高い駅弁を買いたがらない性分なので、「風情がない」と言われる。しかし、旅をしている時こそ、財布と気は緩まないよう、気をつけなければならない。

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新山口といえば、臨時快速〈SLやまぐち号〉を思いつく人も多いと思うが、2008年で運行30年目を迎える。国鉄初のSL動態保存列車で、分割民営化になってから一気に増えた。今後もSL動態保存列車は走り続けるのだろうが、原油の高騰が気がかりである。

車内に戻ると、日は沈み、徳山で交代した車掌は半自動ドア機能がないという放送を流したため、暖房能力をアップした。温かい心づかいである。

若者3人組も窓を閉め、18時12分に出発進行。暗くなりかける中、一般道路ではオレンジのガードレールが目立つ。これは山口県の特産品の1つにみかんがあり、それをアピールするため、オレンジにしたという。

すっかり暗くなり、電車は暗闇を走る。

幡生で快速〈みすヾ潮騒4号〉新下関行きとすれ違い、19時18分、終点下関6番のりばに到着。向かいの7番のりばにはJR九州の普通電車門司行き(クハ411-220:ロングシート)が発車を待っており、乗り換える。

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9番のりばに寝台特急〈はやぶさ・富士〉東京行きが到着。乗車率はよく、この日は土曜日だからということもあるのだろうが、存続を願う“暗黙の乗車運動”なのだろう。

普通電車門司行き編成表
乗車区間号車車両番号禁煙備考
門司なしクハ411-220ロングシート
 なしモハ414-120ロングシート
 なしモハ415-120ロングシート
下関なしクハ411-120ロングシート

19時27分に発車。関門トンネルを通り、九州へ上陸。いつもはここで電流を直流から交流にチェンジするため、車内の照明を一旦、切れることになっているが、消灯することはないまま、19時33分、終点門司2番のりばに到着した。

★備考

①今回の動画はこちらにクリック!!(うまく再生できない場合はこちらを御利用下さい)

②フリー百科事典『Wikipedia「シティライナー(列車)」』は
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③『今すぐ使える豆知識 クイズ雑学王』ホームページは
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※次回の「2008年の汽車旅1-5」はこちらにクリック!!

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コメント 6

kikuzou

車掌さんにはしっかりしてもらいたいですね。

by kikuzou (2008-03-13 07:07) 

サットン

TJライナーに出会えましたか、ラッキーですね。

日本5大車窓の第1位は大阪市交御堂筋線ですか!地下鉄路線からの風景というのが意外なところですね。
by サットン (2008-03-13 23:27) 

岸田法眼

kikuzouさん、どうもありがとうございます。

自動放送が普及したせいか、21世紀に入ってから駅名の言い間違いが多いように思います。JR西日本はワンマンカーと新幹線以外は導入しないのですが、駅名を間違えることはありますね。
by 岸田法眼 (2008-03-14 00:04) 

岸田法眼

サットンさん、どうもありがとうございます。

東武50090系は3月下旬、車両撮影会の臨時電車がオープン戦となりますが、そのあと、試運転を繰り返して開幕戦に備えるのでしょう。

御堂筋線は地下鉄ではありますが、風情がありますね。
by 岸田法眼 (2008-03-14 00:08) 

masaking

おはようございます。

最近、車掌の質が落ちたようです。
先日も京都〜名古屋まで新幹線に乗りましたが、車掌が車内放送で、「この列車の車内販売はありません」と言ってました。
by masaking (2008-03-14 06:41) 

岸田法眼

masakingさん、こんばんは。どうもありがとうございます。

新幹線でもそうなんですか。おそらく、〈こだま〉に乗ったものと思いますが、なんのために『ぷらっとこだま』があるのか、考えて欲しいですね。

いつもRailway Talkの御投稿、ありがとうございます。今週中にはそちらの掲示板におじゃまいたします。
by 岸田法眼 (2008-03-14 20:19) 

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